月々500円からインテリアをシェアリング。サブスクリプションサービスは生活基盤のニーズをもシェアで満たすか?

新生活を始めるときの大きな出費の一つがインテリアだ。個人ライフスタイルの変化するスパンが短くなった現代では、引越しのたびに送料などの出費がかさんでしまったり、長く使うことを見越して高いものを購入することが難しい一方、安価なものはすぐに壊れてしまい、結果的に多くの費用がかかってしまうなど、悩みの種になることも多いだろう。

そこで、登場したのがインテリアのシェアリングサービスだ。株式会社クラスは、月々500円からインテリアを買わずに利用する、インテリアのシェアリングサービス「CLAS(クラス)」を2018年下旬から、首都圏より順次サービス開始すると発表した。

サービス開始に先立ち、ティザーサイトをオープンした。

ミレニアルズ世代が好むシェアリング

これまで日常的に使っていたサービスが月額サービスとして生まれ変わる、「生活の定額化」現象ともいうべきサブスクリプション化が加速している。

あらゆる領域でサービスのサブスクリプション化が流行り始めた背景として、ミレニアルズ世代の行動様式が所有から共有(シェアリング)を好むようになった傾向がある。

ミレニアルズ世代は他世代と比べて4.6倍の高さで、「オンラインサービスを使って自分の所有物を貸し出しても良い」と感じていたり、「シェアリングサービスを利用したいニーズ」が2.3倍高いとのデータがあるほどだ。

それではなぜ、ミレニアルズを中心にシェアリング意識が高まったのだろうか。

大量生産・大量消費社会が終焉を迎え、商品やサービスそのものの提案力が求められる時代になったことがその理由に挙げられるだろう。つまり、顧客に応じてパーソナライズした体験がより求められるようになったわけである。

サブスクリプションサービスを通じて、顧客データが大量に集まる。そのビッグデータを使って、各顧客に対する最適なサービス展開を効率的に行うことができる点がサブスクリプションの強みである。

月々500円からインテリアの利用・交換が可能

このような背景から、インテリアのシェアリングサービスがスタートする。

CLASは月々500円からインテリアの利用・交換が行える、日本初の個人宅向けインテリアシェアリングサービスだ。

特徴は以下の通り。

  1. 初期コストが抑えられる
    CLASのインテリアは、月々500円から利用できる。これにより、送料や保証金などもかからないため、初期費用が不要で、引っ越し後でもわずかな負担でインテリア一式が揃えられる。また、季節の節目などの部屋の模様替えも気軽に行える。
  2. 交換が容易
    転勤・転職・結婚・出産、ライフステージの変化で、必要なインテリアも変わる。買い換えには、多くの手間と費用が伴うが、CLASならば送料や追加費用なしで、利用しているインテリアの交換が可能だ。また、現在手持ちの不要となったインテリアもCLASが買取ってくれるため処分にかかる手間と費用も節約できる。
  3. 上質な素材とシンプルなデザイン
    CLASでは、上質な素材を使い、職人がメンテナンスすることで長期間の利用が可能なインテリアを提供する。またデザインも、多くの家庭で利用しやすい、シンプルで洗練されたものを用意する。

ミレニアルズをターゲットにしたさまざまなサービス

前述したように、ミレニアルズを中心にシェアリング意識が高まっっている。そして、彼らに向けたさまざまなサブスクリプションサービスが登場している。

たとえば、米国のサービス「Omni(オムニ)」がある。Omniの基本的な機能を一言で説明すれば、「レンタル倉庫サービス」である。しばらく使わないであろう荷物を段ボールに収納し、倉庫に預けることができるのだ。

預けた荷物の状態を写真で定期的に確認することができ、欲しいときに自宅まで配達してもらうことも可能だ。

Omniが類似サービスと異なる点は、倉庫に格納した私物を、他人に有料でシェアすることができる点にある。部屋に置けない私物を倉庫に格納しておくだけで、お小遣いが稼げてしまう、一挙両得なサービスといえる。

日本の類似サービスとしては寺田倉庫が提供する「minikura」が挙げられる。また、ユニークなのは同社のサービス「minikura teburaTRABEL」だ。

基本的な機能は「minikura」のようなレンタル倉庫と同様。だが、旅行にいく際に必要なものを選定し申し込むと、旅行先まで専用のスーツケースに入れて届けてくれる。旅行が終わると返送が可能で、洋服などはクリーニングされ、大切に保管される(要追加料金)。サービス名のとおり、「手ぶらで旅行ができるサービス」なのだ。

「minikura」シリーズは、ほかにもECや実店舗で購入したモノを直送・保管し、自分の好きなタイミングで受け取ることができる「minikura LOCKER」や、レンタル倉庫機能にグループ限定のSNS機能や、スケジュール共有などのコミュニケーション機能を追加した「クラウド部室」など、倉庫を起点とした新しいサービスを次々に展開している。

さらに、特筆すべきはこのようなサービスはビジネスウェアにまで及んでいるということだ。AOKIの「suitsbox」はユーザーのサイズ・要望に合わせたビジネスウェア(スーツ・シャツ・ネクタイ)のフルセットを専門のスタイリストがトータルコーディネートし、自宅に宅配する国内初の月額定額制サービスだ。

この事業にあたり、同社は株式会社マクアケが運営するクラウドファンディングサイト、「Makuake」で資金調達を行っている。目標金額1,000,000円に対し、2018年2月22日時点で、2,236,000円と2倍以上の資金を集めることに成功している。

サービス検討のために、消費者心理の調査(デプスインタビュー・自宅訪問)を行い、ターゲット層であるミレニアル世代の都市部ビジネスパーソンのリアルな意見を引き出してきたそうだ。

具体的なサービス内容は、同社がこれまで専門店として蓄積したスーツやビジネスウェアのサイジングデータと独自のロジックを活用。WEBでの申し込み時に簡単なQ&Aで最適なサイズを分析して、スーツ・シャツ・ネクタイのビジネスアイテムをまるごと提供するというものだ。

所有欲にとらわれない時代に対応したサービス

月々のレンタル料金はチェアが500円、ローテーブルおよび収納が1,000円という価格だが、これを高いとみるか、安いとみるかは、個人の価値観次第だろう。たとえばチェアにしても、3年レンタルすれば18,000円と、購入するのとほとんど変わりない価格になってしまうからだ(商品の品質によるが)。

とはいっても、CLASが主張するように、初期費用が抑えられることや、引越しの際の送料などを考慮すればこのサービスのメリットは確実にある。

前述したように、これから社会の中核を担うことになるミレニアル世代の価値観はモノを「所有」することよりも「共有」することを好む傾向にある。

これから、所有欲にとらわれない人たちが増えてくるだろう。そういう意味では、今回のサービスは現れるべくして登場したサービスといえるだろう。

img: PR TIMES , minikura

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