これからの広告運用に必要な「広告の統合分析」。実践済みと未実践企業数が2年で逆転

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現在ではインターネットを利用しないでのビジネス拡大はなかなか難しいものがあるだろう。そして、インターネットを利用するうえで避けて通れないのは「インターネット広告」だ。

そのインターネット広告に加え、従来からのオフライン広告の媒体数は近年、飛躍的に増えている。そのため、インターネット広告とオフライン広告の区分を越えた広告予算の最適な配分を導くためのデータ活用・分析手法が注目を集めている。

株式会社サイカは、「企業の広告宣伝担当者に聞いた、広告の効果測定に関するアンケート調査」を実施した。今回は、その調査結果をもとに、データ活用・分析に対する企業の取り組み状況の変化や分析に取り組む上での課題を紹介していく。

広告の統合分析を「現在取り組んでいる」企業が2年で増加

同社によると、インターネット広告・オフライン広告の統合分析について、2016年の調査では「今後取り組みたい」が「現在取り組んでいる」を上回っていたが、今回の調査では「現在取り組んでいる」が30.2%で、「今後取り組みたい」の18.9%を上回ったという。

2016年当時は、課題観を持ちながらも実践できている広告宣伝担当者が少なかったインターネット広告・オフライン広告の統合分析だが、2年が経過し、現在では実践を始めている広告宣伝担当者の方が多く、実践していないのはむしろ少数派だったとしている。

一方、インターネット広告・オフライン広告に加えて、外部的な影響要因(季節要因、競合の状況など)までを含めた統合分析については、2016年の調査と同様に、「今後取り組みたい」が34.0%、「現在取り組んでいる」の15.1%を上回っており、回答率の差異も18.9ポイントと最も大きい結果となった。

外部的な影響要因までを含めた統合分析は、依然として必要性は認識されながらも、何らかの事情から実践できている企業は多くない、という状況にあることがうかがえるとしている。

この調査では、「何らかの事情」としているが、後述するような「データ収集の難しさ」や「人手不足」が原因で、まだ外部的な影響要因までを含めた統合分析にまで至っていないというのが現状ではないだろうか。

データの分析はExcelやBIツールが主流。AI導入はこれから

また、データ分析を実施している広告宣伝担当者に対し、分析を実施する手段として、どのような分析手法を用いているかを調査した。

それによると、「過去の出稿額などのデータを参考にした、前年度ベースでの判断」「収集したデータの集計」「Excel、BIツールを用いた、収集したデータの可視化」までは、いずれも「現在取り組んでいる」が「今後取り組みたい」を上回っており、ExcelやBIツールによるデータの可視化まではすでに一般的に用いられるデータ分析手法となっていることがうかがえるとしている。

一方で、「統計モデル・AI・機械学習などの技術を用いた広告効果の数値化、および最適な予算配分のシミュレーション」は、「現在用いている」が4.9%と最も少なく、また、「今後用いたい」の39.0%との差異も34.1ポイントと最も大きい結果となった。

この調査結果から、統計モデル・AI・機械学習などの技術を用いた高度な分析に対するニーズは高いものの、まだ一般化していない現状がうかがえるとしている。

しかし、AI関連の技術がどんどん進化している現状からすると、この分野でのAI導入も早急に進むと思われる。

課題は「データの収集が難しい」こと

次に、広告の効果測定のためにデータ分析に取り組む上で課題となる要因について調査した。

その結果、分析に取り組む上で課題となる要因として、「オフライン領域のデータや、外部のデータを収集することが難しい」が最も多く挙げられ、次いで「社内のリソース(人手)が足りない」「分析に関する知見が足りていない(分析できる人間がいない、等)」が多く挙げられた。

この調査結果から、マーケターがより分析を実践できるようになるためには、オフラインデータ・外部データの取得が容易になるソリューションや、分析工数の削減、分析を容易にするソリューションが必要であるとしている。

しかし、このようなソリューションもいずれ近いうちに登場するであろう。たとえば、日立製作所、富士通、大日本印刷、オムロンなどで構成される「一般社団法人 データ流通推進協議会」といったデータ流通を後押しする団体もあり、データ利用者が欲するデータを簡単に収集・活用できる技術的・制度的環境の整備などを推進しているからだ。

分析を実施する理由は「投資効果を把握するため」

最後に、インターネット広告・オフライン広告・外部的な影響要因などについて、区分を越えて統合的に分析を実施すべき理由について調査した。

その結果、「各広告施策の投資効果を横断的に把握するため」が35.7と最大の理由であった。次いで、「各広告施策に対する予算配分を最適化するため」が33.3%、「統合的に分析しないと、広告施策の評価が感覚的になってしまうため」が21.4%だった。

これをみると、投資効果と予算配分というコスト面での理由が主なようだ。

これからは広告の統合分析が必須の時代に

インターネットの進化で、広告をうちやすい時代になった。しかしその分、広告の質の高さや対費用効果といったものが以前よりも求められるのも事実である。

インターネット広告に限っていえば、PCやスマホでおそらく毎日目にするだろうが、その中でも目を引くものとそうでないものとの差は大きい。その差にはもちろんクリエイティブの力も大きいが、今回の調査のように、出稿者が広告の分析を行っているかどうかの努力も関わってくるのだろう。企業にとって、これからは広告の統合分析が必須の時代になるだろう。

img: @Press

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