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現在は、さまざまなものがオンライン化している。それは、スポーツにもおよんでおり、対戦型オンラインゲームを競技として行うeスポーツが盛り上がりを見せている。
eスポーツではそれを生業とするプロも登場しており、さらに、オリンピック種目になるかもしれないとの噂も流れるほど注目を集めている。しかし、日本においては他の国に比べ、普及していないのが現状だ。
そんな中、モバイルゲーム開発会社Supercellは、リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)」の、公式eスポーツ「クラロワリーグ」について、「クラロワリーグ アジア」に参加する日本4チームのプロ選手全メンバー、1stシーズン概要を発表した。
アジア諸国から計12チームが参加
同社によると、日本や韓国、その他アジア諸国および地域(中国を除く)が所属するクラロワリーグ アジアには、計12チーム(日本4チーム、韓国4チーム、東南アジア4チーム)が参戦する。
プロ選手選考を兼ね、ゲーム内で開催したクラロワリーグ 20勝チャレンジやプロ選手選考会、特別選手枠により、日本の4チームに所属するプロ選手全16選手(各チーム4選手)が決定したという。
プロ選手の中には、2017年に開催したクラロワ 世界一決定戦に日本代表として出場したフチ選手、アマテラス選手をはじめ、クラロワリーグ 20勝チャレンジで世界最多突破者となったみかん坊や選手など、活躍実績のある選手も参加する。
クラロワリーグ アジア1stシーズンは4月27日に開幕し(日本チームの初戦は4月29日)、計12チームの総当たり戦で、韓国や台湾での遠征試合、海外チームを招致した日本国内での試合など、約4カ月にわたり開催される。
まずはシーズン戦にて約70試合の総当たり戦を行い、日本・韓国・東南アジアの各1位チームがプレイオフに進出できる。
なおワイルドカードとして、全体順位4~7位のチームによるトーナメント戦が行われ、その中での1位チームもプレイオフに進出することができ、プレイオフは計4チームによる勝ち抜きトーナメントとなる。
クラロワリーグ アジアに所属する日本チームは以下の通り。
- DetonatioN Gaming(デトネーションゲーミング)
世界大会出場経験もあるプロeスポーツチーム DetonatioN Gaming。 - FAV gaming (ファブゲーミング)
FAV gamingは「Gzブレイン(ファミ通App)」のeスポーツチーム。 - GameWith(ゲームウィズ)
ゲーム情報メディアの運営や動画配信を行う「GameWith」初のeスポーツチーム。 - PONOS Sports(ポノススポーツ)
チーム監督はみかん坊や選手が兼任する。
クラロワは、最⼤8枚で構成されるキャラクターのカードデッキを駆使し、3分間の戦闘中、自分のタワーを守りつつ敵のタワーを攻める、戦略性の⾼いリアルタイム対戦型のアクションゲームだ。
誰でも気軽に楽しめるゲームでありながら、頭脳戦を駆使して世界一を目指すプレイヤーが多く存在するなど、2016年3月のリリース以来、好評を博しているという。
Appleが選ぶ2016年iPhoneベストゲーム「Best of 2016」や、App Apeが選ぶ「Game of the year 2017 優秀賞」に選出されるなど、現在(2018年3月時点)では、187の国で楽しまれているゲームである。
市場規模、観客数ともに増加の一途をたどるeスポーツ
ゲーム・eスポーツ市場専門の調査会社Newzooeは、eスポーツ市場に関するレポート「2017 Global Esports Market Report」で、2017年のeスポーツ市場規模を前年比41.3%増の6億9,600万ドル(約730億円)と推計している。
国・地域別のシェアは最大が北アメリカで37%(2億5,700万ドル)、続いて中国が15%、韓国が7%、その他が41%となっている。北アメリカ市場ではスポンサーシップの比重が高く、域内市場全体の2億5,700万ドルのうちスポンサーシップが1億1,300万ドルを占めた。
また、スポーツに欠かせないファンや観客数であるが、eスポーツおいては、2017年には観戦者数が前年比で20%近い伸びとなった。これでその数は3億8,500万人に達したと推計されている。
このうち熱心な観戦者は1億9,100万人、カジュアルな観戦者は1億9,400万人となっている。
熱心な観戦者の地域別割合はアジア太平洋が51%で最大。次いで欧州が18%、北アメリカが13%という順になっている。さらに、熱心な観戦者数は2020年には5億8,900万人に増える見込みだとしている。
米国では高校でeスポーツを採用。まずは15州から
このように盛り上がりを見せるeスポーツであるが、米国ではなんと高校での採用が進んでいる。
全米州立高校協会(NFHS)とNFHSネットワークは、オンラインゲームプロバイダPlayVSと提携し、eスポーツを全米の高校で採択する方針を発表した。2018年秋から高校や州協会でeスポーツが正式に導入され、少なくとも15州での展開が予定されているという。
対象となるゲームの種類は、スポーツゲームのみならず格闘ゲームやMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ。RTSゲームの要領で操作するチーム戦ゲーム)まで。ただし、FPSを初めとした銃を撃つシューターゲームは除外されている。
その狙いは、まずスポーツをしない学生でも参加できることがある。これにより、これまで以上の学生に課外活動をさせようというもの。
また、コスト面でもメリットもある。eスポーツは、従来のスポーツのように機器や施設を必要としないため、コストが最小限で済むということだ。
eスポーツはキャズムを超えるか?プロ選手の活躍がカギ
残念なことに、他のeスポーツ先進国に比べて、日本ではまだまだ普及していないのが現状だ。日本を「eスポーツ後進国」と呼ぶ声さえあるほどだ。
その理由の一つとして、プロの選手が少ないことが挙げられる。プロが少なければ、やはり競技として企業スポンサーもつきにくく、賞金も少なくなる。それによってプロを目指す人も少なくなる、という負のループに陥る。
今回のようなプロのチームが活躍し、注目を集めることが、日本におけるキャズムを越えるカギとなるかもしれない。
img: クラロワ