昨今の技術革新のスピードは目覚しく、AIというワードも頻繁に目にするようになった。私たちが利用するサービスにもAIが用いられたものが増え、いまやAIは日常生活の一部となりつつある。
しかし、AIの活用、研究分野はさまざまで、「今、AIで何ができるのか」という部分の全貌を捉えるのは難しい。また、産学提携なども盛んになっており、AIについて学びたい学生にとっても、AI研究のトレンドを追うことは重要になっている。
総合求人情報サイトを運営するディップ株式会社は、人工知能専門メディア「AINOW(エーアイナウ)」にて、国内約300件の研究者・大学別テーマを集約したAI研究のトレンドがわかる「AI Lab Map 2018」を公開した。
AIに関連する研究分野を4つに分類し研究室を一覧化
「AI Lab Map 2018」は、AIの導入を検討している企業とAIを研究している研究室の双方が繋がり、AIに関わる事業促進やAIを研究する学生の就職活動に役立てることなどを目的としたもの。昨年2月に公開した「AI Lab Map 2017」から、掲載数は1.8倍の約300件となった。
AIに関連する研究分野を大きく「ソフトコンピューティング」「ロボティクス」「汎用AI」「関連領域」の4つに分類し、それらを扱う大学の研究室を一覧化した。
どの大学に、どのような専門性を持つ研究室があるのかが一目でわかる。また、地方別に色分けされており、近隣の研究室を探す際に役立つ。
また、「AI Lab Map 2018」では、各研究者・大学が公表している研究キーワードを収集し、リストにしている。地域別に色分けもされているので、共同研究先を探すだけでなく、学生の進学先検討などにも活用できる。
SFが現実に。AIの今後のトレントは?
冒頭でも述べたがAIの進化が目覚ましい。かつてはSFの世界のことでしかなかったことがどんどん現実化してきている。では、今後AIについてどのようなことがトレンドになるだろうか。
まず、自然言語の使用が挙げられる。今後は、デバイスが人間に対して何をしようとしているのかを自ら質問できるようになるだろう。
次に、ロボット人間の関係強化である。現在のAIが直面している他の大きな問題は、人の感情を認識する能力だ。今後はこの能力が飛躍的に向上し、人間との関係がさらに強化されると思われる。
また、AIにより、ビッグデータの分析が一般人でも可能になることも考えられる。AIと機械学習の技術が発展するなかで、ビッグデータとの関わり方は完全に根底から変わっていくだろう。
AIの進化に伴い、新たな課題となっているのがAIの倫理の問題である。たとえば、AIが犯罪を犯した場合、その責任の所在はだれにあたるのかなどだ。法的に人と同等と見なせるAIボットは何年も先のことだが、必ず現れてくる。いずれは、何を基準にボットを人間扱いするかを決めなくてはならなくなるのは間違いない。
また、人間の仕事の多くが、AIによって奪われるといった予測が多いが、実際は相当先の問題なのではないだろうか。このようなネガティブな考えにとらわれず、まず、必要なのはAIの信頼の向上である。我々人間にとって、有益な機能の信頼性の向上が大切なのだ。
産学連携で実現した不動産業界の業務時間55%削減
ここで、産学連携によるAIへの取り組みの実例を見てみよう。株式会社 GA technologiesは、首都大学東京の高間研究室と共同で、AIを活用した物件レコメンドシステムの共同研究を行っている。
この産学共同研究では、AIの機械学習を活用した物件レコメンドシステム導入により、リノベーション業務における物件提案までの時間(中古不動産仕入れ業務のスピード)を最大55%まで削減することに成功している。
また、AIの画像解析技術を活用した不動産業界初のマイソク自動読み取りを始めとするRPA実現では、物件仕入れ業務に係る時間を1/3に圧縮することに成功した。
学生やビジネスマンの進路活動に大きく寄与
AIがここまで我々の生活に浸透してきている現在、AIを学びたい学生やそれにかかわる職業に就きたいと思う学生や、転職者も多いだろう。
しかし、いくら現在のようなインターネットが普及した情報化社会でも、情報収集は大変だ。今回の「AI Lab Map 2018」は、そんな彼らにとって大きな戦力となってくれるだろう。
img :AI Map2018