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テクノロジーの進化は、仕事のやり方に革新をもたらしてきた。ミレニアル世代の価値観は、柔軟なワークスタイルを生み出しつつある。だが、どんな仕事をする場合でも、個人それぞれの「健康」状態がその前提となる。
政策面でも、アベノミクス・働き方改革と並んで「健康経営」が推進されている。
健康管理のためには、何をすればいいのか。IT社会では、AIの発達などにより、サービスが、ユーザーにカスタマイズされる形で提供されることが多くなった。
ヘルスケアの部門では、遺伝子分析の技術開発が進んでいる。遺伝子分析の結果を利用し、健康管理に必要な情報を、個々人にカスタマイズして提供するサービスが始まっているようだ。
遺伝子分析により、カスタマイズされた健康増進カウンセリングを提供する「IDENSIL(イデンシル)」
2018年4月19日、株式会社グリスタは高精度の業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL(イデンシル)」の提供を開始した。グリスタは「高精度の遺伝子分析サービス」を2015年から展開してるメーカーだ。
遺伝子分析サービスは、「運動に対する潜在能力」や「生まれ持った身体の特徴(正しい情報)」を知るために有効だ。正しい情報をもとに、自分に合った食生活や運動・トレーニングが行える。これまでに五輪メダリスト、K-1世界チャンピオン、プロ野球球団などでの利用実績がある。これを業務用カウンセリングシステムとして提供するのが、IDENSILだ。
健康増進のためには、個人の体質に合った食事制限や運動が必要だ。ダイエットや体作りには正確な情報が必要となる。「IDENSIL」は「正しい結果×正しい情報」という考えのもと、最適な分析項目と最新のエビデンスを活用し、個人の体質に合わせたアドバイスが可能なレポーティングシステムを提供する。
「IDENSIL」は一般家庭向けではなく、対面型ソリューション持つ企業へ向けたサービスだ。検査結果を活用するための「カウンセリングツール」がWebシステムで提供され、食事指導や運動プログラム、健康機器などさまざまなジャンルへの応用が可能。企業や店舗ごとに異なるカウンセリングのメソッドにも、サービスをカスタマイズする事ができる。
結果レポートも視覚的にわかりやすく作られており、カウンセリングに利用しやすい内容だ。検査結果は目的別にパッケージされ、体質に合わせた食事や運動といった生活習慣のアドバイスが可能。既存のソリューションに加えることで、顧客満足度をの向上を実現する。
こういった遺伝子分析によるカウンセリングを受けるなどして、健康に活かそうとする個人が増えている。その一方で、企業として社員の健康増進により生産性を上げようとする「健康経営」の考え方の広がりも見られる。
個人の健康は企業の利益。広がる「健康経営」対応サービス
企業は利益のために個人の健康を犠牲にする、といったイメージがある。しかし長い目で見ると、社員の健康増進が生産性を高め、企業の利益も増やすという考えが広がり始めている。業務の生産性に対する影響はもとより、労働災害や自殺による裁判リスクを減らすといった観点もある。
従業員の健康増進を実現し、生産性を向上させる「健康経営」の考え方が広がり、それに対応したさまざまなサービスが登場している。
アイ・タップ株式会社が提供する「Aiglea.move(アイグレア・ドット・ムーブ)」では、個人単位での活動ではなく部門や課などのチーム単位で健康維持・増進活動を実施、記録する。AIがレコメンドするエクササイズ動画を見て、チーム単位で行う。チームごとの達成率をランキングで表示し、参加と継続へのモチベーションを高めている。
ミレニアル世代では、働き方が柔軟になっているが、フリーランスの働き方と健康を応援する新サービスには「Work Wellnessサービス」がある。コワーキングスペース/シェアオフィス施設にライフクリニックの医師が定期的に回診し、利用者が健康の疑問や悩みを相談する。
また株式会社バックテックが提供する「ポケットセラピスト」は、デスクワークに多い腰痛などの痛みに対応。国家資格を保有する専門家からチャットを通じたサポートが受けられる。
そして「ポップアップ社食」と呼ばれる「食」にフォーカスしたサービスも登場している。社員食堂のない中小企業などを対象に、必要なときだけ調理スタッフが来社し、いつものオフィス風景を社食に変えるサービスだ。家事代行サービスを提供する株式会社CaSyは、2017年9月法人向けに料理代行サービス「出張型社員食堂」を開始している。
株式会社おかんが提供する「オフィスおかん」では、企業に冷蔵庫や専用ボックスを設置し、健康的な総菜やスープ等を常備する。「さばの味噌煮」「ひじき煮」「玄米ごはん」といった食事を、1品100円からいつでも購入可能。企業の仕事と食事のバランス=“ワーク・フード・バランス”の改善を推進する。
個人や企業のヘルスケアに対するマインドを、テクノロジーが後押し
個人も企業も、健康増進・ヘルスケアへの関心が高まっている。遺伝子分析によるカウンセリングでは個人にフィットした情報を提供し、運動や食事へのアドバイスをカスタマイズする。運動や食事の効果を最大限に引き出すことが可能だ。
企業も長期的な視点から「健康経営」を推進するようになった。従業員全体の健康増進のためには何をすべきか、という視点を持ってさまざまな施策を行う企業が増えている。
個人や企業のヘルスケアに対するマインドが転換し、テクノロジーがその後押しをするという流れが、これからも続くことになるだろう。
img: PR TIMES