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お風呂あがりにテレビをつけると、ここ数年でブレイクした芸人が、とあるトーク番組のゲストとして登場していた。
彼の特徴は、まだ若い年齢の割に薄くなっている頭皮。辛口で有名な司会者は、遠慮せずに彼の薄毛をイジるような発言をする。もちろん彼は怯むことなく、自分のコンプレックスをネタにし、周りの笑いを誘っていた。
彼のように、身体的なコンプレックスを武器にして前向きに生きていくことは難しい。だが、自分のコンプレックスと向き合うための第一歩は、わたしたちにとっては身近な方法だったりする。
それは、“誰かに打ち明けてみる”こと。その一歩を後押ししてくれる新しい医療サービスも少しずつ整い始めている。コンプレックスを一人で抱えて生きる必要は、もうないのだ。
深刻化する日本人の薄毛にまつわる悩み
個人が抱える身体的なコンプレックスはさまざまだが、薄毛に悩みを抱える人は少なくない。
事実、株式会社毛髪クリニックリーブ21が2017年に発表した「頭髪に関する悩み度調査」によると、脱毛が進んでいると感じている人の割合は、30・40代の男性で42.6%。およそ二人に一人が薄毛を気にしている。
女性に関しても30代が20.2%、40代は24.2%とおよそ四人に一人。日本には性別に関わらず、薄毛に関するコンプレックスを抱いている人が多いと認めざるを得ないだろう。
本データにおいて印象的だったのは、薄毛の悩みを誰にも相談しないという人の割合だ。男性は約7割、女性でも約5割という結果を出している。薄毛に悩む人が多い中、そのコンプレックスを誰にも打ち明けられない人の絶対数も増えている。
遠隔で薄毛を診療する「Keeps」の役割
そんな中、薄毛率が世界6位の米国で、薄毛の悩みを打ち明けられない人に向けたサービスが誕生した。先日、AMPの別記事でも紹介した、2018年1月にGoogleの出身者が立ち上げた薄毛専門の遠隔診療サービス「Keeps(キープス)」だ。
Keepsは、オンラインで医師の診察を受け、必要に応じ米国食品医薬品局(FDA)認可の薄毛対策薬を処方して郵送してくれる。
スマホ一台で診察を受けられるため、外の医療機関で診てもらうときほどの恥じらいや抵抗も軽減できる。センシティブな課題を抱える人にとって、通院よりも心的ハードルが下がることが期待される。
現時点でのサービス対象者は、男性のみ。薄毛の悩みは男性が抱えやすいイメージが強いが、先でも述べたように女性でも薄毛にコンプレックスを感じている人は少なくない。今後「Keeps」が、サービス対象者の範囲を広げるのも時間の問題かもしれない。
WEBメディアにみる日本のコンプレックスビジネスの興隆
一方、日本ではKeeps同様、コンプレックスビジネスのさきがけとして、コンプレックスメディアが台頭してきている。
薄毛の悩みを持つ人向けの「ヘアラボ」は、薄毛予防の方法から薄毛治療薬のレビューまで、薄毛にまつわる実用的なニュースを掲載する。
運営会社のゴロー株式会社をユナイテッド株式会社が8億円で買収したことに伴い、2017年11月17日付けでサイト名を「ハゲラボ」から改名。
ユナイテッドは買収にあたり、同社が持つ“人材などの経営資源をゴローに積極的に投入し、既存メディアを継続的に拡大するとともに、新規メディアも積極的に立ち上げ、その成長スピードを上げていく”とコメント。コンプレックスに寄り添った役割にかける期待の大きさが伺える。
身体的なコンプレックスに悩み、誰にも打ち明けられなかった人が、遠隔診療のサポートで一歩前に踏み出せる。そんな世界が、すぐそこまで近づいてきている。
img: Keeps official site