予防ヘルスケア× AIテクノロジーで「健康なワークスタイル」の実証実験。健康経営の確立に向かうか

ここ数年、カフェで仕事をしている人を多く見かけるようになった。コワーキングスペースなどの広がりもあり、働き方はパーソナライズされてきている。

そして現代では、働く方法のワークスタイルだけではなく、「健康」という観点でのワークスタイルも重要視されてきている。このような働き方に対する考え方の変化に伴い、企業側にもそれに対応した環境づくりなどが求められている。

予防ヘルスケア × AIテクノロジーに特化したヘルステックベンチャー株式会社FiNCと株式会社竹中工務店は、竹中工務店の従業員を対象に、就労時のワークスタイルデータとFiNCウェルネスサーベイから得られた心身の健康状態に関するデータを相関分析し、「健康なワークスタイル」について共同で実証すると発表した。

心身の健康と結びつくワークスタイルを検証

今回の実証では、FiNCウェルネスサーベイにより得られた主観的健康観、身体的愁訴、心理的ストレス反応などの心身の健康状態データと、竹中工務店のオフィス内に設置したビーコンで得られた位置情報に基づくワークスタイルデータ(歩数・階段利用頻度・コンビニなどの活用頻度など)を相関分析する。これにより、オフィスワーカーの心身の健康と結びつくワークスタイルについて検証する。

両社は、今後も実証を継続し、最終的には社会全体の健康的なワークスタイル実現に貢献を目指すという。

FiNCウェルネスサーベイは、従業員の心身の健康を、「フィジカル・メンタル・エンゲージメント」の3つの要因に分解し、それぞれの状態をスコア(数値)にして可視化することで、従業員の心身の健康状態を正確に把握することができるツールだ。

また、可視化されたリスク要因(生産性低下やメンタルヘルス不調等の要因)を分析し、改善アドバイスも行う。

慶應義塾大学大学院 特任教授 岩本隆氏、筑波大学大学院 スポーツ医学専攻教授 田中喜代次氏、精神科産業医 吉野聡氏といった各分野の第一人者であり、最新の知見を有する専門家が監修している。

予防ヘルスケア×AIテクノロジーに特化したFiNC

FiNCは、「すべての人にパーソナルコーチを…」をミッションに掲げる予防ヘルスケア×AIテクノロジーに特化したヘルステックベンチャーである。

社内には医師や薬剤師、栄養⼠やトレーナーなどの予防領域の専⾨家と、データサイエンティストやエンジニア、遺伝子や生物学などのライフサイエンス領域の研究者で構成されている。

主な提供サービスは以下の通り。

AI活用や食にフォーカスした健康経営サービスの数々

健康経営については、これまでも多くの企業が経営課題として捉えており、さまざまなサービスが登場している。

たとえば、アイ・タップ株式会社の健康経営を導入・推進する企業・自治体向けの支援サービス「Aiglea.move(アイグレア・ドット・ムーブ)」はAIを活用したものだ。

このサービスは、オフィス環境で気軽にできるエクササイズやストレッチの動画をラインナップしており、継続利用することで症状や実施状況をAIが学習し、気になる症状の改善により適したエクササイズの提案を行うという。

また、フリーランスの働き方と健康を応援する新サービス「Work & Wellnessサービス」は、八ヶ岳の麓にあるコワーキングスペース/シェアオフィス施設 富士見 森のオフィスと、長野県茅野市で予防医学による健康づくりをサポートするライフクリニック蓼科(たてしな)」が運営している。

同サービスでは、スペース利用者を対象にライフクリニック蓼科の院長が森のオフィスに定期的に回診し、利用者が健康の疑問や悩みを相談することができる。

さらに、「食」にフォーカスしたサービスもある。「ポップアップ社食」と呼ばれるこれらのサービスは、社員食堂のない中小企業などを対象に、必要なときだけ調理スタッフが来社し、いつものオフィス風景を社食に変えてくれるのだ。

家事代行サービスを提供する株式会社CaSyは、2017年9月法人向けに料理代行サービス「出張型社員食堂」を開始した。

同サービスでは、中小企業やスタートアップなどを対象に、家事代行スタッフがポップアップで社食を提供する。キッチンがないオフィスでも、空いたスペースに簡易コンロを並べ、即席キッチンを用意。準備から片付けまでに要する時間はおよそ3時間ほどだという。

また、株式会社おかんでは、企業に冷蔵庫や専用ボックスを設置し、健康的な総菜やスープ等を常備するサービス「オフィスおかん」を展開している。

「さばの味噌煮」「ひじき煮」「玄米ごはん」といった食事を、1品100円からいつでも購入できるという。

ミレニアル世代の「働き方」の根幹にある「健康」

「24時間闘えますか」。これは、バブル期にサラリーマンの間で流行った言葉だ。夜遅くまで働いて、その後朝まで飲んで、また働いて、お金を稼ぐ。かつては、こういった「自己犠牲」が美徳とされていた。

しかし、これから社会の担い手となるミレニアル世代の「働き方」に対する価値観は全く異なる。これまでの古い価値観とは異なり、柔軟な働き方ができることを重要視する傾向にある。

ミレニアル世代の「働き方」の根幹にあるのは「健康」ということだろう。「健康」という実は人間にとって最優先事項でありながら、かつてはないがしろにされがちであったことに、やっと焦点が当たる時代になった。今回の実証が「健康経営」をさらに推し進める結果となることを願う。

img: PR TIMES

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