IoTという言葉が世に出てから長い年月が経つが、夢に描いたIoT社会の実現がすぐそこまできていると、ここ最近は実感することが多いように思う。

たとえば、コネクテッドカーだ。これは、インターネットへの常時接続機能を具備した自動車のこと。自動運転、安全性向上、車内エンターテイメント、快適な運転、車両管理、走行管理などさまざまな分野で発展すると期待されており、自動車業界はもちろん、さまざまな業界から大きな注目を集めているという。

そして、今回、この期待を裏付けるようなサービスが登場した。株式会社スマートドライブは、最新のIoTデバイスを新車に標準搭載し、安全運転をすることで独自のポイントがたまるサービスなどを、最短1年から毎月定額で利用できる業界初のコネクテッドカーサービス「SmartDrive Cars」の申し込み受付を開始した。

2035年には新車の96.3%がコネクテッドカーに


「コネクテッドカー関連市場の現状とテレマティクス戦略 2018」(富士経済)

株式会社富士経済がまとめた「コネクテッドカー関連市場の現状とテレマティクス戦略2018」によると、外部通信ネットワークと常時接続を可能とするコネクテッドカーの世界市場は2017年に2,375万台、コネクテッドカー比率34.1%が見込まれるという。

EV/PHV型を除く通信モジュールを標準搭載した「エンベデッド型」とMirrorLink対応DAを除くモバイル端末の通信機能を利用しIVIシステムと連携する「モバイル連携/テザリング型」が大半を占める。2035年には販売される新車の96.3%がコネクテッドカーになるとみられ、1億1,010万台(2016年比5.3倍)と予測している。

北米と欧州で普及が先行しているエンベデッド型は、今後は中国や日本、その他地域でも普及が進み、市場は拡大するとしている。大衆車クラスまで標準搭載の裾野が広がっていくことが市場拡大要因であるという。

一方、モバイル連携/テザリング型は、エンベデッド型へと需要がシフトしていくことから緩やかな伸長が予想されるとしている。

最短1年から毎月定額で利用できる新サービス

スマートドライブでは、自家用車にデバイスを装着し、アプリと連携させることで運転を診断してくれる「DriveOn」、法人の営業・運送車両などにデバイスを装着してクラウド管理する「DriveOps」を提供している。

これまでに約2万台近い車のデータ収集・解析をしており、ドライバーがより安全でエコに運転できるようになるような運転スキル診断や、多くの車両を経済的かつ効率的に管理するサービスを提供しているという。

そして今回、さらに進化したデバイスを厳選した新車に初期搭載し、「コネクテッドカー」として最短1年から毎月定額で利用できる新サービス「SmartDriveCars」をまずは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県にて申し込み受付を開始した。

また、サービスの開始にあたり、先行ユーザープログラムを実施する。プログラムでは、2018年6月30日までに契約締結し、フィードバックインタビューや座談会の参加などのサービス向上に協力する、最大20,000円相当のSmartDriveポイントを還元する。

サービスでは、「N-BOX」や「プリウス」などの軽自動車・コンパクトカーから「CX-5」や「C-HR」などのSUVまで、安全機能や環境性に優れた車種を厳選した。

契約期間は最短1年から可能であるため「将来勤務地がどこになるかわからないが、今は車で通勤したい」、「子供が小さい時だけ車を所有したい」、「ゴルフやサーフィンなど趣味で車を使用したい」など仕事や家族のニーズに合わせて車種や期間を選択することができる。

また、カーナビやETC、メンテナンスや車検、各種自動車税、自賠責保険など、すべて込みのパッケージで毎月定額で利用することができる。車種・価格例としては、NISSAN NOTE e-POWER 5年リースの場合が40,100円/月。

欧州では2020年までにほぼ100%がコネクテッドカーに

冒頭でも述べたが、コネクテッドカーには各方面から大きな期待が寄せられ、市場の成長も予測されている。AMPでも紹介したが、Counterpoint社のIoTトラッカーサービスの最新の調査によれば、EUにおけるeCall(事故時などの緊急通報システム)の義務化と中国における採用の高まりが市場を牽引し、接続機能を搭載して出荷される乗用車は、2018年から2022年の間に1.25億台に達すると予測している。

欧州では、eCall義務化による早期導入の効果もあり、経済大国であるドイツ、イギリス、フランスなどにおいては2020年までにコネクテッドカーがほぼ100%になると予想されるとしている。

2017年現在、中国と米国が出荷の45%を占めているが、今後、日本でも早い成長が見られると予測している。また、接続に使用する技術が5Gになると、日本と韓国が市場のけん引役となる可能性があると予測している。

実際、トヨタ自動車は、LINEが開発するクラウドAIプラットフォーム「Clova」と、トヨタをはじめとする自動車メーカーや自動車周辺機器メーカー各社が推進する車載機器とモバイルアプリの連携規格「Smart Device Link(SDL)」を活用しようという協業を行っている。

Clovaは2017年3月に開催されたMobile World Congress 2017の場で発表されたLINEのAIプラットフォームだ。LINEと親会社の韓国NEVERが共同で研究開発を進めている。

アジア圏でトップシェアを持つコミュニケーションアプリ「LINE」を通して集めたコミュニケーションデータと、韓国内の主要検索ポータルである「NEVER」の検索データを活用した開発が行われている。

トヨタが目指しているのは、AIの搭載により、自動車がドライバーを理解した上で、車側から会話を誘導したり、ドライバーの趣向に応じた話題や関心の高いニュースを提供したりといった運転中の情報提供や、趣味趣向に合わせた運転ルートの変更などを行うことだ。

また、疲労などドライバーの運転時の状況に合わせて、自動運転への切り替えを促すなど、あらゆる角度からドライバーをアシストし、AIがより快適な運転体験を提供するためのアシスタントとなることなのだ。

そこまできた夢のIoT社会の実現

SmartDrive Carsの登場で、自動運転時代がすでに到来したと言っても良いだろう。5年リースで、月額約4万円という価格を高いと思うか安いと思うかはその人の判断だが、まずはリースから試してみる価値はあるだろう。

今回のサービス範囲は首都圏だけだが、いずれは範囲も広がり、同様のサービスも出てくるだろう。夢のIoT社会の実現はもうそこまで来ているのだ。

img: PR TIMES