食糧にまつわる問題をどう解決するか、これは食糧不足や廃棄の問題など、世界的に長らく語られてきた議題だ。世界の人口は増加の一途をたどっており、2100年には113億人になるとまでいわれている。そのため、人口に対する食糧をどう確保していくのかは、早急に解決の目処を立てたい課題だ。

一方、日本に目を向けると、少子高齢化が進み人口は減少していく傾向にはあるが、こと農業に焦点を当ててみると、継承者不足、農地不足、などの問題が山積しており、食料自給率は38%と低水準を記録してしまっている。

そんな農業の問題を独自のフリーエネルギーで解決しようという試みが行われる。ネイチャーダイン株式会社(ND社)は、同社独自のフリーエネルギー駆動の自動野菜栽培システムSoBiC(Solar Pneumatic Bio Cycle System)を活用し、高効率性で大規模な栽培生産にも対応できる「SoBiC-PRO(ソビック プロ)」を開発、2018年4月末から販売を開始する。

農業経営最大の課題を解決

農水省によると、農業経営において「農地の取得」と「農地の整備や維持管理」に関わる経費が最大の負担で、支出の40%以上を占めているという。

農業免許を取得して安く農地を手に入れても、整地や土壌改良、土留費などがかかる場合、最大で1平方メートルあたり6万円以上もかかる。また、広い農地ほど設備投資や運用管理費が相乗的に大きくなり、経営を圧迫する最大要因になる。

コストや電力、技術コストがかかり、生産できる作物もかなり限定されるため、抜本的な効率化には限界がある。SoBiCはこれら最大の負担を削減することができるという。

太陽の日射熱によるフリーエネルギー駆動

SoBiCシステムは太陽の日射熱による気圧変化を動力にした、フリーエネルギー駆動の自動野菜栽培システムだ。その構造技術はいたってシンプル。電気も機械も使用せず、天然培地に自然のリズムで水を自律循環させることで植物の生育に最適な環境を自動的に創り出す仕組みとなっている。

2015年に基本システムが発明されて以降実用化が進められ、2017年に家庭用単槽タイプ(1株栽培)の「オーガニックプランター」として製品化し「SoBiC-PRO」として販売を開始した。これは、家庭用の1株栽培ではなく、複数株の栽培を可能にする横置き型カートリッジバッグ形状の大型培土カプセルを採用している。

大規模生産にも対応できる簡易拡張型のパイプ型システムユニットにセットするだけで栽培生産ができ、より効率的な栽培が可能になる構造であるという。

設置場所は陽の当たる場所だ。ここに水道ホースを繋いで、培養土を入れたカートリッジバッグをセットし、種または苗を植える(トマトであれば3〜4株/ユニット)だけ完了する。これだけで、放置していても栽培が可能だ。

ベースユニットは、簡単に拡張が可能だ。スペースさえあれば需要に応じていくらでも柔軟に拡張できるという。

これまでの農業生産スタイルでは、農地の広さに応じて農地の整備や器具・設備が必要になるなど高額な投資が必要だった。このため、ビジネス的には非常に大きなリスクがあった。

しかし、SoBiC-PROを利用すれば、小さなスペースから始められ、需要に応じて柔軟に拡張できる。このため、従来までの事業リスクを劇的に抑制することができる。

農業生産効率を10倍上げることが可能に

また、SoBiC-PROを活用することで、農地に関わる支出の殆どを削減できる。設備コストもかからず、ビジネスとしての生産効率は飛躍的に向上できるという。加えて、その他の肥料や農薬などの農業資材費、農機具、雇用労務に関するコストも半分以下に削減することも可能だ。

さらに、単位面積当たりの収穫量も飛躍的に向上できる。たとえば、平成26年に農水省が発表したトマトの作付面積あたりの収穫量は約6kg/平方メートルで、1個100gと計算すると1平方メートルあたり約60個ほどだった。ところが、SoBiCで普通に栽培できた場合1平方メートル当たり300個以上の収穫が見込めるという。

また、カートリッジバックの設置と交換によって作付けが簡単にできるため、作付け回数を増やすことができる。このため、土壌改良の必要もなく、休耕期間による損失も大幅に削減できるなど、生産の根本基盤から相乗的に効率化が可能となり、従来と比較すると、全体効率として10倍以上の効率化が見込めるとしている。

家庭用一般小売希望価格は、基本ユニットの単体としては19,800円(税別)。これで、約60cmの幅の場所でトマトなど一般的な野菜を3~4株を同時に手間なく栽培できる。また、拡張したい場合は、家庭用一般小売価格15,800円(税別)を継ぎ足すことで拡張できる。

どこでも、誰でも、簡単に農業ができる

「オーガニックは体に良いが高価だ」とよく言われる。これは生産性が低いためであるが、もし、自分で低コスト作れるとしたらどうだろうか。

SoBiC-PROは、これまで考えられなかったことが実現できる可能性を秘めている。SoBiC-PROのキャッチフレーズは「どこでも、誰でも、簡単に生産ができる」というもの。工業技術の進化による経済発展が停滞を迎えている現在、自然分野への立ち帰りによる期待は大きいのではないだろうか。

img: PR TIMES