働く業界にもよるだろうが、年々フリーランスとの取引が増えて来ていると実感している人は多いのではないだろうか。クラウドソーシングの台頭や、働き方への多様性が取りざたされることが多くなり、フリーランスという働き方は市民権を得てきているのだろう。

実際、フリーランスの経済規模が初の20兆円超となっていることがわかった。ランサーズ株式会社は、全国の20-69歳男女(3,096人)を対象に、国内初・今年で4度目となる「フリーランス実態調査」を実施した。

調査では、日本における副業・兼業を含む業務委託で仕事をする広義のフリーランスの経済規模が、初の推計20兆円を超える結果となった。フリーランス人口においては、前年と横ばいで1,119万人、人口に占める割合は17%となった。

また、副業(本業・副業を区別していない労働者を含む)フリーランスの人口は744万人、経済規模は7兆8,280億円と8兆円近い規模になり、報酬は堅調に増加し、業務委託ベースのパラレルワーカー数が伸長している傾向にあるという。

フリーランス個人の平均報酬は186万円

ランサーズは、過去12カ月に仕事の対価として報酬を得た全国の20-69歳男女(3,096人)を対象に「フリーランス実態調査」(2018年版)を実施した。今年で4年目となるこの調査では、広義のフリーランスの推計経済規模が初の20兆円を超え、日本の総給与支払額の10%を占めるという結果になっている。

また、広義のフリーランス個人の平均報酬は186万円となり、昨年比12%増加傾向となった。

現在では、インターネットやテクノロジーの進化で、フリーランス(副業含む)という立場で仕事をしやすい環境にある。たとえば、在宅勤務も可能で、これまでは難しかった主婦なども、簡単に仕事ができるようになったことが背景にあると思われる。

日本における広義のフリーランス人口は前年に比べ横ばい、日本の労働力人口に対して17%を占めるという割合になった。

アメリカの調査では、2027年にはフリーランス人口がノンフリーランスの人口を超えるという結果も出ており、今後日本においても広義のフリーランスが伸びる余地が見込めるとしている。

もともとアメリカは、日本と違い「個」の社会であるため、ノンフリーランス時代の到来は早いだろう。しかし、日本も過去4年間の成長率は22.6%とアメリカの8.1%という増加率の約3倍もあり、いずれはそのような時代になると思われる。

広義のフリーランスのうち、副業(本業・副業を区別しない労働者を含む)フリーランスの数は744万人、経済規模は7兆8280億円となり8兆円近い規模になった。業務委託ベースのパラレルワーカー数が伸長している傾向にあり、会社員から副業を経て個人独立オーナーのフリーランスとして独立するケースも見られるとしている。

また、副業フリーランスの職種として接客や作業の仕事が165万人、営業などのビジネス系の仕事が137万人と多くを占める結果となった。

IT・クリエイティブ系は81万人と3番目だった。この結果は、インターネットを介する仕事が多いであろう副業の環境からすると、少し意外でもある。

平均年収は自由業系や副業系が高い伸び率に

この調査では、副業系すきまワーカー、複業系パラレルワーカー、自由業系フリーワーカー、自営業系オーナーの4タイプが明らかになった。

このうち、昨年と比較すると特に複業系パラレルワーカーの人口が昨年比5%増と急増しているのが目立つ。

また、タイプ別の平均年収は、自由業系フリーワーカーが昨年比28%増加で約157万円、副業系すきまワーカーが23%増加で123万円と、高い伸び率となった。

フリーランスの仕事満足度の理由は「自分の能力がいかせている」が57%で最多だった。また、「ワークライフバランスが良くなった」という回答が昨年と比べ3%増加と、最も伸びている。

モチベーションは「時間や場所に縛られず、自由で柔軟な生活ができる」が44%で最多だった。

ここでは、「友人や家族との時間を増やすことができる」と回答した割合が2%増えており、働き方改革の動きはフリーランスにも良い影響が出ている。

自由である反面自己責任も大きい

フリーランスが考える働き方とは、「自由」、「プロフェッショナル」、「やりがいがある」という意見のほか、「自己責任」、「収入が不安定」であるという声が多くあった。

自由である裏には、スキルの習得などさまざまな局面において自己責任が求められる働き方だとフリーランスは考えているとしている。

ここで、具体的なフリーランスの声(一部)を紹介しよう。

  • 「自分の裁量で自由に仕事ができ、うまく行けば大きな収入を得ることができる。しかし、自分で常に仕事をとってくる必要があり、収入を安定させるのが非常に難しい職業だと思う。」(30代男性、副業系すきまワーカー)
  • 「仕事の枠にとらわれず、幅広く仕事ができる。自分の資格や経験に見合った働き方ができる。自分で自分のワークバランスを統制できる。」(40代女性、複業系パラレルワーカー)
  • 「企業に頼らない生き方。自分で仕事の管理から、自分の裁量で、仕事ができる。達成感が、全然違うと思う。今は、勉強中で、結果は出てないが、結果が出せるようになれば、最高である。」(60代男性、自由業系フリーワーカー)
  • 「自由でやりがいのある、達成感を見出せるとともに常に向上心を持って働くことが出来そう」(20代男性、ノン・フリーランス)

これらをみると、やはり「自由」という言葉がキーワードになっているのがわかる。しかし、その反面、収入が不安定なことにたいする不安もみてとれる。

最大の障壁は「収入が安定しないこと」

自由な働き方の障壁では「収入がなかなか安定しない」が45%と2位以下を大きく引き離してトップとなった。前述したように、フリーランスを継続する上で感じる障壁の最たるものであることがわかる。

また、フリーランス継続の障壁で3番目に多い回答として、「仕事がなかなか見つからない」とある。しかし、フリーランスの半数以上は知人の紹介などを含む人脈を通して仕事を得ている。

クラウドソーシングやシェアリングサービスなど、オンライン活用の割合も昨年から1%ずつ増加しており、今後も増えていくと考えられるという。なおアメリカは既に5割以上がオンライン化しているというデータがある。

スキルを磨き企業に頼らず生きる

このように、フリーランスワーカーがかなりのスピードで増加しているという状況がみて取れる。企業に頼らない働き方を選択する、その大きな理由は「自由」であることだ。

ただし、これをしっかりとした収入を確保しながら実現するには高い「スキル」が必要になってくるだろう。そうであるならば、企業でスキルを磨いたのち、独立するということが当たり前になっていくはずだ。

その構図が現実になっていくと、おそらく優秀なビジネスパーソンから企業に頼らないワークスタイルに移行していくと考えられるため、雇用している企業側もそれに対する策や働き方を講じることが必要になってくるだろう。そうなると、副業解禁への動きもなおさら加速していきそうだ。

「自分の思い描く生き方にフィットする働き方」を実現できる時代はもうすぐそこにあるのかもしれない。

img: @Press