ブロクチェーンにICO、トークンエコノミーなど、仮想通貨周りの用語は日々耳にするようになってきている。特に最近話題にのぼることの多いICOは、迅速かつ簡単に資金調達を世界を相手に行うことができるため、スタートアップなどが行う例が多いが、もちろん個人で行うことも可能であるため、世界中で注目を集めている。
ただし、このようなビジネスで成功するためには、それなりの知識や海外とのやりとりが必要になるため語学力が必要になる。今回、カンボジア人の運営するスクールと日本人の社会起業家集団の合同チームであるヤマトICTチームは、仮想通貨ヤマトコイン「YMT」を発行し資金調達を行い、カンボジアで世界に通用するICT人材を育成すると発表した。
無料の全寮制スクールで世界に通じるICT人材育成を目指す
同チームが発行したホワイトペーパー「世界が必要とする人を育てる持続可能な無償のスクール運営」によると、ICT技術の多様化によって、需要が拡大し、世界的に慢性的なICT人材不足にあるという。
これはもちろんカンボジアでも同じで、同国では調和のとれたICTスキルはもちろん、英語や中国語など第二外国語を身に付けた人材が必要だという。
同チームが構想しているのはこのような人材を育成し、国際貢献をすることだ。この人材育成のためのスクールを、無料・生徒を全寮制食事付きで設立する。
しかし、これには大きなコストがかかる。このため、ヤマトコイン(YAMATO Coin)を発行し、ICOによって集まった資金をスクール運営と収益事業に充てるという。また、このスクールでは実践的なカリキュラムを行い、生徒たちが即戦力として利益を生み出すことを目指す。
そしてその利益によって、翌年度のスクールを運営し、新たなスクールも開講するというサイクルを考えており、その生徒数は50人、教師数は10人となっていて、修学年限は1年としている。
一人一人に高性能なPCやタブレットを支給し、実践的な能力が付くようなカリキュラムを進めるという。なお、2年目からは生徒数100人を目指すという。
収益を上げる3つの事業とは?
また同チームは、運営する事業会社でこのスクールの生徒を雇用し、上がった収益の一部をスクール運営に充てるという。そして、その生徒のレベルに合い、収益を上げることができる事業を以下の3つ計画している。
- 暗号通貨取引所運営
同チームが運営する暗号通貨取引所運営は、コールドウォレット・マグネシグチャー・ハードウェア・セキュリティーモジュールを使用したシステムで暗号通貨を保管。このシステムは高いセキュリティーを備えているという。大規模なコンプライアンスデータベースを利用し、一件ずつ徹底的に顧客身元確認を行う。また、フィルタリング、取引モニタリングなど高度なアンチマネーローダリング管理体制を構築する。 - システム開発会社
同チームでは米国、日本、韓国とネットワークを構築しているという。そして、これらの国でのICT人材不足を補うための海外発注の受け皿となるシステム会社を運営している。 - マイニング事業
同チームでは、アジアおよびヨーロッパの数カ国でマイニング事業を運営する。これは同チームが開発したマイニングマシンを利用するという。
仮想通貨ヤマトコイン「YMT」を発行
同チームが発行する仮想通貨ヤマトコイン(YAMATO Coin:YMT)の発行総数は200億枚。発行されたYAMATOトークンは、ICOによる資金調達に75%、創立チーム・サポーターリザーブに15%、プロモーション費用に5%、予備費リザーブ費用に5%使用される。
また、ICOで集めた資金は、すべてスクール運営や収益事業につかわれる。内訳は、暗号通貨取引所60%、マイニング20%、システム開発会社10%、スクール運営10%となっている。
ICOの日程は2018年3月14日~5月31日。また、ICO期間にサインアップした登録者には最大200YMTが無料配布されるというAirDropも人気の要因であり、1stセールまでに総発行量の25%以上が完売となっているという。
2018年6月にマイニング事業を開始し、10月にYMTトークン上場、およびスクール開設を予定している。
世界を商圏とした情報と価値の流通網を構築
同チームが目指すのは、「世界に通用するICT人材を育成し、国際貢献をするとともに、ヤマトコインの流通により世界を商圏とした情報と価値の流通網を構築」という。
仮想通貨によって人材育成スクールを開設、運営する発想は今だからできることだ。世界中からの出資を募ることができ、その還元は社会貢献であることで、その波及効果は大きいものになるかもしれない。ここで育成された人材が収益をもたらし、さらにスクール運営に寄与するというエコシステムがつくられることを期待したい。