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昨年から、日本で立て続けに販売され始めた「スマートスピーカー」。2017年には、Google Home、Amazon Echo、LINEのClova WAVEが発表された。2018年にはAppleのHome Podも出揃い、各社のシェア争いが今後続いていくことになりそうだ。
音声でセットしたアラームで目覚め、音声でスケジュールとニュースをチェックし、寝る前に「おやすみ」と話しかけるなど、「スマートスピーカー」が生活の一部になっている人も多いだろう。
「スマートスピーカー」の機能の1つに「音楽の再生」がある。定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)との連携で、音楽の楽しみ方が1つ増える、ということだ。現状「音楽の再生」機能は、どのように利用されているのだろうか。
今回、インプレス総合研究所が発表した、「定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)の利用実態調査」では、「スマートスピーカー」に関するデータが多く示されている。
定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)の利用に関する調査結果2018
2018年3月30日、インプレス総合研究所は、「定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)の利用実態調査」の結果を発表した。株式会社インプレスは、IT関連出版メディア事業、及びデジタルメディア&サービス事業を幅広く展開する企業で、インプレス総合研究所は、そのシンクタンクだ。
調査は、2018年3月5日~3月9日、スマートフォン上でのウェブアンケートの形式で、20,271人に対して行われた。定額制音楽配信サービスを現在利用していると答えた1,300人に対して、より詳しい調査を行っている。
日本国内での、定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)は2012年に始まった。スマートホンやタブレットを利用して、いつでもどこでも聴き放題なのが特徴だ。2017年に、音声AIアシスタントを搭載する「スマートスピーカー」が国内で発売され、サブスクリプションサービスとの連携が注目されることとなる。
「スマートスピーカーの保有率」の調査結果は、7.4%だった。認知率は、63.6%。保有するスマートスピーカー(複数回答)は、Google Home/Google Home Miniが39.2%、Amazon Echoシリーズが32.4%、LINEのClova WAVE/Clova Friendsが21.6%と続く。
世帯にスマートスピーカーがある人の、定額制音楽配信サービス「有料プラン利用率」は、43.1%と高い。非保有者の11.8%と大きく差がついた。「スマートスピーカー」所有者は、サブスクリプションサービスの有料プラン利用に積極的であることがわかる。
定額制音楽配信サービスの「有料プランの利用実態」を見ると、トップは「Prime Music」(47.6%)で、以下、「Apple Music」「LINE MUSIC」「Spotify」「dヒッツ」と続く。昨年調査と比較すると、他のサービスが伸びていてもその増加率が1%以下、もしくは有料プランの利用者数が下がっているなか、「Prime Music」の比率の増加が7%と他を圧倒する形で顕著だ。
利用のきっかけは「おまけ的に利用できる」がトップだった。スマートスピーカー利用者の2割はスマートスピーカーの入手がきっかけと答えている。Amazonの「Prime Music」の利用者が多い理由といえるだろう。
定額制音楽配信サービスを利用する機器についての調査も行われている。スマートフォンが89.2%、パソコンが25.2%、タブレットが22.6%、スマートスピーカーが8.9%となった。「スマートスピーカー」で利用する人の64%は、スマートスピーカーによって定額制音楽配信サービスの利用頻度が増えたと回答している。
定額制音楽配信サービスで不満なことについての調査では、「好きなアーティストの曲が配信されていない」が39.7%で最も高く、「楽曲数が少ない」が22.5%と続いている。「保有するスマートスピーカーに対応していない」は、1.3%だった。
定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)を、「スマートスピーカー」と連携して楽しむ利用形態が浸透しつつある様子が見て取れる。「スマートスピーカー」の利用方法は、音楽再生にとどまらない。家電との連携による「スマートホーム」実現でも、重要な役割を期待されている。
「スマートホーム」との連携が今後の市場拡大の鍵?
定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)との連携などの楽しみ方が浸透すると、スマートスピーカー市場の盛況は一旦落ち着くだろう、と考える人がいるかも知れない。
しかし今、家電をインターネットで繋ぐ「IoT」の普及が進んでいる。家全体が「スマートホーム化」するようになると、「スマートスピーカー」の役割が更に増える。これが、スマートスピーカー市場をさらに盛り上げる可能性を秘めている。
2018年1月30日に株式会社SOCINNO(ソシノ)は、スマートリモコン「sRemo-R(エスリモアール)」を発表している。これは、家電をネットに接続しIoT社会を実現するスマートリモコンだ。
「sRemo-R(エスリモアール)」は、「IFTTT(イフト)」や「AmazonAlexaスキル」を利用して、スマートスピーカーやスマホのGPSと連携したサービスを実現する。「AmazonAlexaスキル」は、スマートスピーカーのAmazon Echoに追加できる機能。「IFTTT(イフト)」は、「きっかけ」と「行動」のコンビネーションでつくる「レシピ」を使って、Webサービスを連携するプラットフォームだ。最近では、GoogleAssistantやamazon alexaとの連携も進んでいる。
「sRemo-R」を利用すると、Google HomeやAmazon Echoへの音声操作で、家電の制御が可能になる。スマートスピーカーへ「テレビつけて」などと話しかけることにより、音声操作ができる。全141リモコンボタンに設定可能で、設定数に制限はない。今ある家電(赤外線リモコンのある家電)が、音声で操作できるようになるのだ。
こういった、家電とスマートスピーカーを連携させるプロダクトの開発が進めば、スマートスピーカーへの需要は更に伸びそうだ。
音楽再生からスマートホームをこえて、「スマートスピーカー」の可能性が広がる
日本での「スマートスピーカー」普及は、2017年から始まっている。AIアシスタントを通じた、音声によるスケジュールやニュース読み上げ機能などを利用がよく知られるようになった。
また、スマホやタブレットに続いて、定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)と連携することにより、音楽の楽しみ方を増やすという役割も演じている。
「スマートスピーカー」の役割は、そこにとどまらない。これからは、「IoT社会」の実現が待っている。「スマートホーム」の中で、家電の音声操作を受け持つデバイスとなることが期待される。「スマートスピーカー」は、その役割が増えると共に、利用する人や場所の数も増えていくことになるだろう。