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今、「人手不足」が深刻化している。
「少子高齢化」がその一因だ。総務省の予測では、2060年の生産年齢人口は今の約57%になるといわれている。現在でも、国民医療費の対GDP比が上昇を続けるなど、危機感を持つ人も多いだろう。
また、景気が上向くと同時に、「団塊世代の退職」が進み、有効求人倍率は1974年以来の水準まで押し上げられている。大企業や人口が、東京に「一極集中」することにより、特に地方の中小企業で、人手不足が深刻になっているようだ。
解決策としては、副業・フリーランス・夫婦共働きといった、働き方の多様化があげられる。2018年1月に、厚生労働省が事業主向けに示した「モデル就業規則」では、「原則副業・兼業を認める方向」へと改定された。
これから広がるであろう、「副業」の現状を見てみたい。
「副業」の実態調査
2018年3月、「プロの副業」を運営する株式会社ホールハートは、副業に関する意識調査結果を公開している。「プロの副業」は、プロフェッショナル人材の副業紹介サービスだ。
調査対象はマーケティング・広告・デジタル・PR業界で働く113名(20歳以上)となっている。
「現在働いている企業では副業が認められていますか?」の問いには、36.3%がYESと答えている。別統計ではあるが、2014年度の中小企業庁の調査からは、2倍以上に増加している。
副業が認められている企業で働く人の内、「現在副業をしていますか?」の問いにYESと答えたのは、26.9%にとどまっている。副業を認める企業が増えているが、実際に副業する人はまだ多くないようだ。
一方、副業が認められていない企業で働く人に、「副業をしたいと思いますか?」と質問した結果、77.6%が「副業したい」と答えている。副業への意欲は高いが、実行へ移せていない状況が読み取れる。
その一因としては、「情報不足」が考えられる。現状、転職に関する情報は充実しているが、副業に関しては「副業を紹介する機関」自体がまだ少ない。副業を始めようと検索しても充分な情報が得られない状況だ。
そんな中、首都圏のプロ人材と地方の中小企業を「副業」などの形でマッチングさせるサービスが登場した。
地方中小企業の人材不足を解決する。時間発注型人材マッチングサービス「relocal(リロカル)」
ネクストレベル株式会社は、地方の中小企業に特化した新しい時間発注型求人サービス「relocal(リロカル)」を、2018年5月にオープンすることを発表した。現在は、サービスリリースに向け、プロ人材の事前登録を受け付けている。
「relocal(リロカル)」は、首都圏のプロ人材が地方の中小企業のプロジェクトにリモートワークで参加するためのマッチングサービスだ。地方の中小企業は、首都圏のプロ人材を時間発注することができる。例えば18時から20時の時間で働きたい、依頼したい、というニーズを繋ぐような形だ。
人手不足の状況が続く中、首都圏の大企業に比べ、情報が少ない地方の中小企業では人材不足がより深刻になっている。その一方で、副業・フリーランス・夫婦共働きなど、働き方が多様化し「副業人材」が増加しつつある。この両者をマッチングすることで、首都圏のプロ人材の有効活用し、地方の求人の人材不足を解決、中小企業の経済発展・活性につなげようという狙いだ。
「週1の打ち合わせと在宅勤務で、子育てと両立したい」「キャリアを活かし、地方の少人数のプロジェクトで責任のある仕事に挑戦したい」「会社経営の経験を活かし、地方の抱える課題を解決したい」「地方の中小企業特有の、人や職種やプロジェクトと出会いたい」といった人材の登録を想定している。
欧米では、本業ではないサイドプロジェクトを「Side Hustle(サイドハッスル)」と呼び、新しい副業のあり方として、欧米を中心に注目を集めている。
これからの時代の副業「サイドハッスル」
副業を「サイドハッスル」と呼ぶとき、副業はよりポジティブな意味を持つ。
「Forbes Japan」では、
「お金以上に、何か価値のあるものを与えてくれる。人生に対して感じる行き詰まりや退屈さ、裏切られたような気持ちに対する防衛策だ。ミレニアル世代が副業にのめり込む本当の理由は、こうした心理的な利益なのだ・・・年齢に関わらず、読者の皆さんもこうした副業を持ちたいと考えるかもしれない」
と、解説されている。
人は個人として、たくさんの「やりたいこと」を持っている。しかし、会社に勤めながらそれら全てを実現することはかなり難しいことだろう。それを可能とするものとして、本業以外の「副業~サイドプロジェクト~サイドハッスル」が存在するということだ。
お金を稼ぐだけなら、Uberでドライバーをすることも、TaskRabbitで簡単な雑用をこなすこともできるが、それは雑用に過ぎず、人生の資産にはなりえない。
企業が「サイドハッスル」を積極的に進める事例もある。
ニューヨークに拠点を置き、企業のイノベーションやブランディングを支援するエージェンシー「Sylvain Labs」は、社員のサイドプロジェクトを支援し、会社として事業化している。
Sylvain Labsのウェブサイトを見ていくと目にとまるのが、「SIDE HUSTLES」という項目だ。そこにはSylvain Labsで働く社員が手がけるサイドプロジェクトが掲載され、中には社員が個人で行っていたプロジェクトを会社で事業化したものもある。
ハイエンドのヘッドホン「Master & Dynamic」、「影響力とは何か?」をテーマにした書籍「The Dots」、アメリカの鉄道博物館「northlandz」のドキュメンタリー映像、そして「LILO」というスーパーフードのブランドと、本業から離れた広範なサイドプロジェクトが並ぶ。
人手不足が深刻になる中、首都圏の「副業人材」は地方中小企業で「サイドハッスル」できるか
少子高齢化は進み、この先もその解決の兆しはどうにも弱そうだ。そうなってくると、冒頭でも述べたように生産労働人口の減少は続き、慢性的な人材不足に陥る可能性が高い。しかしその一方で、新しい働き方として副業・フリーランス・夫婦共働きという考えが浸透し、「副業人材」が増加する見込みだ。
人口が首都圏に集中する中、今回のrelocal(リロカル)のように、首都圏の「副業人材」と地方の即戦力人材が欲しい中小企業を、リモートワークとマッチングサービスで繋ぐサービスがどんどん登場し、解決の糸口となることが期待される。
地方中小企業のプロジェクトに参加することは、首都圏の「副業人材」にとって、本業以外の関心を満たす「サイドハッスル」となる可能性を秘めている。お金以上の価値を求める「ミレニアル世代」にとっても、副業を検討する際の選択肢となりえるのではないだろうか。
img: PR TIMES