働き方、暮らし方、コミュニケーションの取り方など、さまざまな分野での多様化がここ数年で行われている。それは宿泊の形態の多様化もしかりだ。

Airbnbの台頭によって民泊は多くの人が知るところになり、2020年に開催される東京オリンピックパラリンピック時の外国人旅行者の宿泊先確保の手段としても注目されている。

しかし、民泊を始めるにあたってはさまざまな手続きが必要となる。実は、これがかなりめんどうで、そのため、開業はしたいものの二の足を踏んでいるという人もいるのではないだろうか。

今回、この手続きをサポートしてくれるというサービスが登場した。freeeは、民泊予約サイト運営の株式会社百戦錬磨と業務提携し、新たに民泊事業を始める人向けに新サービス「民泊開業 freee」を3月15日より提供開始する。

世界で関心が高まる民泊。しかし、税制上のメリットの認知度は低い

世界各国で民泊サービスが急速に拡大する中、訪日外国人観光客の増加や宿不足、少子高齢化社会を背景に増加している空き家の有効活用など、地域活性化の観点から民泊への関心が高まっている。

その一方で、地域住民などとのトラブルや住宅地域の公衆衛生の確保など、新たな課題も生まれてきた。今後、国内での健全な民泊サービスの普及を目指し、住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立し、2018年6月15日より施行開始となる。

3月15日からは住宅宿泊事業の事前届出も開始し、今後は要件を満たし、届出を行うことで誰でも民泊を始められるようになる。(一部地域によって条例は異なる。)

一方で民泊は税制上では青色申告のメリットが大きいが、そのメリットの認知はまだまだ低い状況にあるという。

確定申告は65万円控除、青色申告10万円控除、白色申告の3種類の方法が存在し、それぞれ申告に必要な手続きや、税制上のメリットが異なる。例えば、月の収入が10万円の個人事業主の場合、白色申告と比較して、青色申告65万円控除の場合では約11万円も見込み納税額が低くなるという。

全国的な民泊解禁により、新たに確定申告の対象となる人が増加する見込みである一方、申告方法の種類への認知や、それぞれのメリットの認知はまだまだ低い状況だという。

2016年に freee が行なった調査では、個人事業主の約3割は青色申告承認申請書を提出しておらず、提出していない人のうち約3割は「提出するメリットがわからない」、約6割は「特に理由はない」と答えるなど、確定申告時のメリットを最大限受けられていない事業者の存在が明らかになったとしている。

開業時に必要な手続きや書類の作成を一気通貫でサポート

このような背景のもと、freeeは、百戦錬磨との提携開始に伴い、新たに民泊事業をスタートする人に向けて、必要な手続きや書類の作成を一気通貫でサポートする新サービス「民泊開業 freee」を共同開発した。

住宅宿泊事業の届出に必要な情報や手続きをステップごとにわかりやすく解説、より簡単に民泊をスタートできるようになるという。

運用や物件が適法かどうかを判定するサービスも

民泊については、以前、AMPでも「民泊・簡宿適法チェッカー」というサービスを紹介した。これは、民泊運営管理ツール「m2m Systems」を展開するmatsuri technologies株式会社が宿泊事業者向けに提供している、民泊運用および物件が適法かどうかを判定するサービスだ。

用途と地域の住所を入力するだけで、最短1分で適法かどうかの判別が可能になっている。新法民泊や特区民泊、簡易宿泊所として運営可能かどうか、入力された物件情報と運用状況を元に判定するというものだ。

現在(2018年3月12日時点)では、東京都と大阪府が対応エリアとなっているが、今後、福岡県をはじめ順次拡大するという。

「誰もが創造的な活動ができる社会」の実現を目指すfreee

今回の提供者であるfreeeはもともとクラウド会計ソフト「freee」を展開しているFintech企業だ。昨年11月には、「freee」とビジネスメッセンジャーツール「Slack」との連携を発表した。

クラウド会計ソフトfreeeは中小企業の事務管理(バックオフィス)向けのサービス。ウェブ口座の取引明細からデータを取得し、会計帳簿を自動的に生成することができる。取引明細のテキスト解析をおこない、自動で会計帳簿にデータを振り分けていく。

この連携によって、クラウド会計ソフトfreeeで申請した経費精算、支払依頼、稟議ワークフローなどの通知がSlackに届き、Slack上で承認や差戻し、却下などの操作を行えることになった。

freeeが目指すのは、「誰もが創造的な活動ができる社会」「スモールビジネスが強く、かっこよく活躍する社会」の実現だという。今回の「民泊開業 freee」スタートも、このようなコンセプトからはじまった。

手軽にビジネスが始められる時代の到来

従来は、ビジネスをスタートさせるということは大変なことだった。資金の確保はいうに及ばず、事業所や店舗の確保や人材の確保などお金と手間のかかるものだった。

ところが、昨今のテクノロジーやインターネットなどの進化によって、ビジネスのスタートは我々の身近なものになりつつある。今回の民泊事業もその一つ。部屋さえあれば、開業できるため、その注目度は大きい。

民泊物件データ検索サイト「SPIKEデータ」によると、民泊市場は東京オリンピック開催の2020年までには2,000億円前後まで急成長するという。今回の民泊開業 freeeが、民泊市場拡大にどこまで寄与できるか、期待したい。

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