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ライフステージの変化によって、人はその暮らしぶりを変えることが多く、自身の働き方も鑑みる機会が多いのではないだろうか。こと女性においてはライフステージの変化が及ぼす影響は大きい。
昨今のビジネスの現場を見てみると、女性の活躍はめざましく、女性の働き方に合った変化を企業は行なっていく必要性に迫られて行くだろう。
しかし、政府が掲げる「20年までに女性の管理職比率を30%にする」という目標は、16年度の管理職の女性比率12.1%という結果をみると、まだまだ難しい状況であることがわかる。
では、このような変化の中、女性自身の意識はどうなっているのだろうか。リビング新聞グループのシンクタンクである株式会社リビングくらしHOW研究所では、働き方改革によって広がった多様な働き方について、ミレニアル世代を中心とした働く女性を対象にアンケート調査を実施。
人生100年時代の長期的な働き方、有期労働契約者の無期転換の意向など、自身の働き方への意識を聞いた。今回はその結果をご紹介する。
定年後の働く意思
まず、オフィスで働く40代以下の女性に、勤務先の定年を聞くと「60歳」の55.0%が最多だ。
定年制の対象者で、勤務先に継続雇用制度(勤務延長制度・再雇用制度)がある人は7割超だった。その人たちに、制度を利用して定年後も働き続けたいかを聞くと、「思う」「思わない」「分からない」がほぼ均等に分かれた。
「思う」人の主な理由は、“年金不安” “健康維持” “やりがいや社会とのつながりが必要”など。「思わない」人では、“定年後はパートなど、仕事の比重を減らした働き方をしたい” “現在の職場環境(年を重ねると居づらいなど)”といった理由が見られた。
「分からない」とした人からは、“先過ぎて考えられない” “定年時の状況によって決めたい”といった声があった。長く働くメリットは感じつつも、年を重ねてからのベストなワークスタイルがイメージできない…という様子が窺えるとしている。以下、アンケートの回答である。
- 「思う」
- 年金だけでは不安なので働けるうちに働く(42歳)
- 身体が元気な内は働くのが健康にも精神的にも良いと考えるから(37歳)
- とても良い会社なので、体力が続く限り仕事も頑張れます(34歳)
- 「思わない」
- 仕事内容とストレス度が半端ないのに給料はだだ下がり、かつ上司は自分より一回り以上下。どんなモチベーションで働けばいいのか(39歳)
- 若い人が多く、歳を重ねると居づらい環境(27歳)
- 現在の年齢でも仕事がしんどいので1日3~4時間、週3、4日位のパートがいい(47歳)
- 「分からない」
- 今の仕事を60歳過ぎで確実に処理できるかわからない(41歳)
- 今はまだ定年時の貯金額や社会情勢、自身の体力などが想像つかない(42歳)
定年後の不安や今後の年金不安については、男性も女性も同じだろう。しかし、健康問題などもあり、特に女性の場合、できるだけ長く働くというよりも、歳を重ねたなりの生活を楽しみたいといった考えが多いようだ。
働き方への魅力度はモチベーションに左右される?
周りに65歳以上で働いている人がいる率は約7割だった。「素敵だと思う働き方の人」について自由回答で聞くと、経験や知識、好きなことなどを生かした働き方や、本人のあり方(働くことが好きでイキイキしている、周りに必要とされている)などの意見が目立った。
「ちょっとどうかなと思う働き方の人」についての自由回答では、本人のモチベーションが低かったり、仕事内容と収入・待遇などのバランスが悪いといった意見もあった。素敵な働き方の先輩が増えることが、“長く働く”モチベーションにつながりそうだとしている。以下、アンケートの回答である。
- 特技の裁縫を活かして、ネット販売をしている方。好きなことを仕事にできるってとても素敵だと思う(29歳)
- 同じ部署のシニアスタッフの方。現役時代と変わらずバリバリと働いておられ立派。シニアになった途端給料が減るからやる気もなくなり、正直邪魔な存在になってしまう方もいるが、この方は変わらず頑張っているのでもっと評価してもらいたい(34歳)
- お姑が、看護師の資格を活かして アルバイトでグループホームで 今も活躍している(44歳)
- 社内の嘱託職員は役職についているため、仕事も多く責任も重い。それなのに給与はかなり低く不憫に思う。それだけ給与が下がってどうやってモチベーションを保つのかわからない(28歳)
- 社内に再雇用制度で働いている女性がいるが、特に仕事もなく時々出社しては油を売っている。給与面に対する不平不満を話していることが多く、「同一労働同一賃金」を考えさせられる(25歳)
女性が先達者の働き方に感じることは、やはり、現役時代と変わらずモチベーション高く働いているかどうかに左右されるようだ。経験や特技を活かして、バリバリ働いている人は素敵だと感じる反面、不平不満の多い人や出社しているだけの人に対しては、いい印象を持たないということがよくわかる。
「無期転換ルール」を「知らなかった」が多数派
ここで、2018年4月にスタートする「無期転換ルール」をご紹介したい。これは条件を満たせば、有期労働契約から無期労働契約に転換できるというルールである。有期労働契約者にとっては働き方の選択肢が増えることになるのだ。
このルールを知っているか、正社員や派遣社員、パート・アルバイトなど多様な働き方の女性に聞いたところ、「知らなかった」が多数派だった。
働き方別にみると、自身に関係のある人が多い嘱託・契約社員、派遣社員のポイントは高く、約7割だった。「無期転換ルール」により生まれる派遣社員の新しいスタイル「無期雇用派遣」を知っている人は、全体の4割弱だった。こちらも、自身に関係がある派遣社員の認知度は高く、約7割だった。
無期転換ルールを知った情報源は「ニュース、新聞」63.8%が最多で、「勤務先や派遣元からの説明」は、ポイントが最も高い派遣社員でも44.7%とあまり多くなかった。なかなか勤務先での説明がなされるということはなさそうな状況だ。
また、有期労働契約の嘱託・契約社員、パート・アルバイトの人で、「条件を満たしていたら、現在の勤務先で無期転換したい」という人は6割弱であり、その理由の上位は「雇用の安定」「慣れた仕事を続けられる」で各73.9%。実際に無期転換する予定の人は約1割と少なく、「まだ具体的には動いていない」という人が大多数だ。
しかし、「実際に行動に移すのは難しい」という人も約4分の1にのぼり、その理由を自由回答で聞くと、「勤務先の意向が分からない」「自分からは言いだしにくい」という意見が見られた。
また、約4割いる「現在の勤務先で無期転換したくない」という人の理由は、「現在の立場のほうが働きやすい」39.1%、「契約が無期になるだけなので、あまりメリットを感じない」32.2%、現在の勤務先で長期で働くことを望まない」28.7%が上位だった。
働き方の選択肢が増える中、より自分らしい働き方や働きやすさを模索している人が増えているといえそうだという。
登録型派遣社員(有期労働契約)の人で、無期雇用派遣に興味がある人は7割弱。その理由は「雇用の安定」97.1%がダントツで、「長期的なキャリア形成ができる」47.1%、「仕事への意欲がアップする」35.3%、「現在の派遣会社が気に入っている」23.5%と続く。
無期雇用派遣に興味がある人のうち、今年中に条件を満たして無期雇用派遣になる予定の人は20.6%。「条件を満たしたらなりたい」という人は50.0%、「条件を満たしてもなるかどうか分からない」という人が20.6%という結果になっている。
多くの女性が迷う定年後の身の振り方
女性が企業で働くということは、出産の問題や女性独特の人間関係などもあり、ある意味男性よりも複雑で難しい部分があるだろう。
今回のアンケート結果からすると、多くの女性が定年後の身の振り方を迷っているように思える。再雇用制度などによって、長く働くことのメリットを感じている一方で、その時になっても働くモチベーションを維持できるか、どうか不安を感じているように思える。
今働き方は変革期を迎えている。ミレニアル世代の女性の働き方も、今までとは一変した形になっていく可能性があるだろう。女性のライフステージの変化に伴った働き方の変化を提供できる企業でなければ、今後の女性社員の定着は難しくなることは目にみえている。
女性のポテンシャルを最大限に引き出す雇用形式を創り出すことができれば、それが今後のトレンドになっていくことだろう。
img: PR TIMES