コンビニや自動販売機など、キャッシュレス化がいたるところで進む今、現金を使用する必要性がなくなってきている。さらに話題である仮想通貨の広まりによって、キャッシュレス化の波はますます加速しそうな状況を見せている。
そんななか、店舗独自の電子マネーを簡単に作れるというサービスが登場した。
GMOインターネットグループでインターネット上の集客サービスを展開するGMO TECH株式会社は、店舗・施設独自の(ハウス型)電子マネーを簡単に作れる「GMOアップカプセル電子マネー」を開発、2018年2月28日(水)からサービスサイト「アップカプセル」を公開し、2018年4月上旬よりサービスを提供開始する。
高まるハウス型電子マネーの導入ニーズ
近年、日本では、政府を中心に官民が一体となり、キャッシュレス化に向けた取り組みが進められている。
このうちキャッシュレス決済手段の一つである、電子マネー(非接触IC型/サーバー管理型)を含むプリペイドカード決済市場は、2017年時点で約9兆6,000億円に到達、2020年には最大12兆6,000億円へと利用規模を拡大すると推定されている(『電子決済総覧 2017-2018』電子決済研究所/山本国際コンサルタンツ/カード・ウェーブ)。
プリペイドカード決済の中でも、企業や店舗独自で発行するハウス型電子マネーは、チャージした顧客のリピート来店が期待できるといった利点から、導入する企業・店舗が増えている。
さらに最近では、従来の磁気やICカード型のみならず、より携帯しやすく利便性の高い、モバイル端末やスマホアプリを活用したハウス型電子マネーの導入ニーズが高まっている。
しかし、モバイル端末やスマホアプリを活用した電子マネーの導入には、専用システムの構築に時間やコストがかかることが多く、導入の障壁となっていた。
そこで、GMO TECHは、ブロックチェーン技術の活用により、店舗独自の電子マネーの発行から、スマホアプリを利用した店頭でのチャージや支払いの仕組みまでを簡単に構築できる「GMOアップカプセル電子マネー」を開発した。
電子マネーの決済処理に関わる一連のフローが簡単に完結
GMOアップカプセル電子マネーは、ブロックチェーン技術の活用により、独自の電子マネーの発行から、店舗アプリを利用した店頭でのチャージや支払いの仕組みまでを、システム構築の手間や時間をかけず、簡単に導入できるサービスだ。
GMO TECHのO2Oアプリ作成サービス「GMOアップカプセルPRO」のオプション機能として提供するほか、SDK(ソフトウェア開発キット)も提供するので、「GMOアップカプセルPRO」で作成した店舗アプリだけでなく、自社開発したアプリへも簡単に独自の電子マネー機能を導入することができる。
また、電子マネー専用アプリとして展開することも可能だ。
ユーザーはユーザー向けスマホアプリ、店舗側はスタッフ向けアプリが搭載されたタブレット端末1台を用意するだけで、電子マネーの決済処理に関わる一連のフローが完結。
店舗は専用のシステム構築や、カードリーダーなどの専用機器の設置が不要なため、簡単に店舗独自の電子マネーを導入することが可能である。
また、電子マネーのチャージ・支払いは、ユーザー向けスマホアプリと、店舗用のスタッフ向けアプリが搭載されたタブレット端末を利用した以下の簡単なフローで、リアルタイムに行える。
- 電子マネーのチャージ
- [ユーザー]店頭で、スタッフにチャージしたい金額分の現金を支払い
- [店舗]スタッフ向けアプリに受け取った現金分のチャージ金額を入力して、QRコードを生成し、ユーザーに提示
- [ユーザー]ユーザー向けアプリでQRコードを読み取るとチャージ完了
- 電子マネーによる支払い
- [店 舗]支払い(会計)金額をユーザーに提示
- [ユーザー]ユーザー向けアプリに支払い金額を入力して、QRコードを生成し、店舗スタッフに提示
- [店 舗]スタッフ向けアプリでQRコードを読み取り、支払い金額と電子マネーの利用額が合っていることを確認し、決済が完了
ユーザーのチャージ履歴や支払い情報をデータとして記録・蓄積
また、ユーザーのチャージ履歴や支払い情報(金額・残高・使用日時・使用店舗/施設)は、データとして記録・蓄積される。
このデータは店頭でのチャージ時にスタッフ向けアプリから一時的に閲覧できるほか、管理者向けに用意する管理画面(PC用)からいつでも確認することが可能である。
これにより、店舗独自の電子マネーの導入によるユーザーのリピート来店が期待できるだけでなく、チャージ履歴などをマーケティングデータとして活用することで、販促活動につなげることもできるという。
さらに、管理画面からは、チャージ可能金額やチャージした電子マネーの有効期限の設定なども行える。
2018年4月上旬より、「GMOアップカプセルPRO」のオプション機能として、SDK(ソフトウェア開発キット)として、電子マネー専用アプリとしての3つの形式で提供する予定。また、いずれの形式も、App StoreおよびGoogle Playへのアプリ申請は、GMO TECHが行うという。
子どものお小遣いにも広がるキャッシュレス化の波
日本だけだはなく、もちろん世界各地でキャッシュレスの波が起きている。INGが今年4月にアメリカと14のヨーロッパ諸国の18歳以上を対象にした調査では、78%が「過去12ヶ月でキャッシュを使う頻度が減っている」と答え、ヨーロッパではすでに20%の人がほとんどキャッシュを使わないと回答した。
そして、キャッシュレス化の波は、子どものお小遣いにも広がっているという。米国アトランタのスタートアップ「Greenlight」が提供している子ども向けデビットカードも、その波を広げている事例の一つ。
Greenlightは、親と子がお小遣いを管理できるデビットカードアプリ。親は子どもが使える金額や、買い物を許可する店舗を事前に設定する。子どもがいつ、どこで、何にお金を使ったかは、リアルタイムでアプリから確認可能だ。
また、ニューヨーク発のデビットカード「Current」では、お小遣いを「Spending(支出)」、「Saving(貯金)」、「Giving(寄付)」の3つに分けて管理を行う。子ども自身に、持っているお金をどう配分するか考えさせる仕組みになっている。
イギリスのサービス「Osper」では、定期的なお小遣いをベースに子どもがアプリ内でお金の使い道を考えさせるというコンセプトだ。次のお小遣いまで何日あって、いくらお金が残っているかがアプリ内に表示されるため、計画的にお金を使う習慣をつけることができるという。
ハウス型電子マネーの障壁を打ち崩す
このように、キャッシュレス化は世界各地で、子どもにまで広がっている。
今回のGMOアップカプセル電子マネーは、これまでのハウス型電子マネーの障壁を打ち崩したといってもいいだろう。
ニーズがどんどん高まっているモバイル端末やスマホアプリを活用したハウス型電子マネーの導入をどこまで促進し、キャッシュレス化をさらに加速するか、今後の展開に期待したい。
img; PR TIMES