普段オフィスで仕事をしているなかで、ランチ時間などを利用して、職場ではない環境に身をおくことにすることにしている。環境を変えるということはリフレッシュという効果だけでなく、新しい視点が生まれやすい傾向にあると考えているからだ。
それと同じく、企業でも事業開発合宿など、いつもと違った環境で新しい何かを生み出そうという動きがある。
これはオフサイトミーティングと呼ばれ、いつもの場所(オフィス)から離れた場所(off-site)で行われる会議のことを言う。
非日常空間の特別な環境でリフレッシュしながら集中して会議や研修を行うことにより、柔軟な発想やアイデアが出やすいことが期待されていて、社員数の多くないベンチャー企業などを中心に注目されている。
今回、観光地の住込み求人サイト「はたらくどっとこむ」を運営する株式会社アプリは、企業のオフサイトミーティングや研修、開発合宿、チームビルディングのための国内旅行を一括手配する業界初の法人向けオフサイトミーティング専門旅行サービスだという「OFFSITE(オフサイト)」をスタートした。
地ビールを飲みながらのほろ酔い事業合宿会議などを提案
オフサイトミーティングの目的は開発合宿や若手社員のチームビルディング研修などさまざまだ。しかし、いざ手配するとなると宿泊地や交通手段の選定だけでなく、合宿で行うコンテンツの企画や会議に必要な備品などオフサイトミーティングならではの準備が必要となり、手間がかかる。
そこで、アプリでは宿泊だけでなくオフサイトミーティングに係る企画や準備物なども併せて一括手配する、同サービスをスタートした。
このサービスは、たとえば、
- 地ビールを飲みながらのほろ酔い事業合宿会議
- ビーチで雪合戦。野外でチームビルディング
- システムエンジニア向けオフサイトで開発合宿会議
などを提案する。
特徴は、
- 各都市圏を中心に、2時間以内のアクセスが可能
- 金~土、日~月など、1泊2日のプランからOK。受注型企画旅行の形で日程・人数・テーマに沿ってアレンジが可能
- 全国各地への人材派遣、観光支援事業を展開しているからこそできる「オンリーワン」の旅程を手配
などとされており、OFFSITEでは、観光客を呼び込みたい地方にオフサイトミーティングを誘致することで地方活性化への貢献も目的としているという。
さらに、同社では2017年4月から産学連携事業を行っており、大学生のインターンを受け入れている。
ツアープランには“古民家カフェ×モザイクアートの24時間眠らないチームビルディング合宿”や“田舎のおばあちゃんの家で行うかのようなオフサイトミーティング”など、大学生考案のユニークなものもある。これらは同サービスのFacebookページでも公開している。
予算は最低15,000円/人から開催可能で、平均ツアー価格は20,000円。
組織や制度を作る時にはカルチャーが重要
組織や制度を作る時には今回のオフサイトミーティングのようなカルチャーが重要だ。
AMPがアメリカン・エキスプレスと共同で展開している、国内スタートアップの成長をより支援する企画「AMERICAN EXPRESS INSIGHT for STARTUPS」の第2回となるイベント「HRスタートアップ3社から学ぶ、急成長スタートアップを支える人材戦略」(2017年12月11日開催)では、社内制度や環境づくりのためのカルチャーについて議論された。
それによると、創業者の思う「カルチャー」が制度や環境をつくっていくことが大切だという。
また、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」のプロダクトマネージャー副島智子氏は、カルチャー作りはかなり早い段階から行っていたという。年に2回の合宿でその都度、全社員で価値観を見直しを行い、議論している現場の人が「議論で決まっていった過程」を共有し、納得感を高めるのが大事だとしている。
そして、合宿は価値観を決めていくことに社員が参加でき、それを自ら広めていくというモードになれる、ひとつの手だと語っている。
オフサイトミーティングのすべてを一括手配し「何かを生み出す」
こうしてみると、オフサイトミーティングはこれからの企業や組織にとって非常に重要なものだといえる。これからは新しい価値観を持ったミレニアル世代が本格的な働き手となってくる。このため、従来通りの毎日、同じオフィスの同じデスクでアイデアや企画を絞り出すというやり方は通用しなくなるだろう。
今回のOFFSITEは、宿泊だけでなく企画や準備物なども併せて一括手配してくれるユニークなサービスだ。非日常のオフィス体験が生み出す新しい何かを、果たしてOFFSITEはどこまで後押しできるだろうか。
img; @Press