どこかに出かけよう、買物にいこうと思った際に、自動車に乗り込み、目的地を設定するだけでその場所まで連れて行ってくれるのであればどんなに便利だろう、そんな想像をしたことがある人は多いだろう。

そんな生活はちょっと前までは夢のようなものだったかもしれない。しかし自動運転技術の進化は、その夢を近い将来、現実のものとしてくれるかもしれないところまできている。

自動運転に関する実証実験はすでにさまざま行われているが、今回、日産自動車株式会社と株式会社ディー・エヌ・エーは、無人運転車両を活用した共同開発中の新しい交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を2018年3月5日より神奈川県横浜市のみなとみらい地区周辺で開始すると発表した。

この実証実験には、公式サイトで募集した一般モニター約300組が参加する予定だという。

専用のモバイルアプリで目的地まで自動で無人運転

Easy Rideとは日産とDeNAが共同で開発を進めているもので、誰でもどこからでも好きな場所へ自由に移動できる交通サービスだ。

具体的には、スマホアプリで無人車を呼び出し、乗り込むと目的地を設定する。そうすると、目的地まで自動で連れて行ってくれるというサービスである。

専用のモバイルアプリで目的地の設定から配車、支払いまでを簡単に行え、目的や気分に合わせて地元のスポットやおすすめの観光ルートなどの行き先を自由に選択できるようにする。

さらに遠隔管制システムにより、無人運転時でも安心して利用できるサービスを目指すとともに、訪日外国人なども利用してもらえるよう多言語対応も予定している。

約4.5Kmのコースを往復運行しサービス仕様の評価・確認を行う

実証実験では、自動運転技術を搭載した実験車両に一般モニターを乗せ、日産グローバル本社から横浜ワールドポーターズまでの合計約4.5Kmのコースを往復運行する。実験を通じてEasy Rideのサービス仕様の評価・確認を行う。

また、実証実験では、モニター参加者に目的地の設定や配車などの基本的なサービスに加え、Easy Rideの強みである新しい乗車体験を提供。

目的地は専用のモバイルアプリで設定するが、行きたい場所を直接指定する以外に、「やりたいこと」をテキストまたは音声で入力し、おすすめの候補地を表示させてその中から選択することもできる。

乗車中には走行ルート周辺のおすすめスポットや最新のイベント情報など約500件の情報が車載タブレット端末に表示されるほか、店舗などで使えるお得なクーポンを40件程度用意している。

さらに、走行中の車両の位置や状態をリアルタイムで把握することが可能な遠隔管制センターを設置した。実証実験では両社の先進技術を融合させたシステムによる遠隔管制のテストも行うという。

乗車後に実施する一般モニター向けアンケートでは、乗降時や乗車中の体験についての評価や周辺店舗と連動したサービスの利用状況、実用化した場合の想定利用価格などについて情報を収集。得られた情報は、さらなるサービス開発や今後の実証実験に活用する予定だ。

なお、両社は実証実験終了後に無人運転環境でのサービスの検討や運行ルートの拡充、有人車両との混合交通下での最適な車両配備ロジックや乗降フローの確立、多言語対応などの検証を進め、限定された環境でのサービスを経て、2020年代早期に本格的なサービス提供を目指す。

実証実験は、横浜市が「IoT」「ビッグデータ(オープンデータ含む)」AIの産業利活用や新ビジネス創出を促進し、横浜経済の成長と社会課題解決への貢献を目指して、2017年4月に立ち上げた「IoT オープンイノベーション・パートナーズ(I・TOP 横浜)」の取り組みの一つである。

また、「自動運転ロボット利活用サービス」として、神奈川県の「さがみロボット産業特区」における重点プロジェクトにも位置づけられている。

数年後には自動運車が街を走りまわる時代に?

いよいよ夢の自動運転が目前に迫ってきた。両社では、このサービスについて、2020年代早期に本格的なサービス提供を目指す、としているが、実現すればあとたった数年である。

そうれなれば、高齢者や障がい者の方なども自動車を利用することができ、我々の生活はさらに豊かになっていき、交通弱者解消へと繋がっていくかもしれない。

img; 日本経済新聞 , Easy Ride