人々が旅しながら暮らす時代には、旅行のお供「スーツケース」も進化する

ここ2年ほど横浜と札幌の二拠点居住をしているので、多いと月に4回は飛行機に乗る。慣れというのは怖いもので、飛行機に乗ることが日常になればなるほど、空港では焦ることが多い。電車と違って、次の便に気軽に振り替えることはできないのに、なぜか余裕を持って行動できない…。MTGに合わせて飛行機を予約していることも多い。乗り遅れれば、すぐさま大ピンチになる。

こんなときに、スーツケースが乗り物になってくれれば…と思う。計画的に行動できない人なら、一度は想像したことがあるかもしれない。だが、動くスーツケースはすでに実現のものになっている。今回は旅を支えるスーツケースの進化系――移動型スーツケースの魅力をお伝えしたい。

スーツケースにまたがりハンドルを握る「Modobag」

Modobag」は、バイクとスーツケースが融合したプロダクトだ。スーツケースにまたがり、足を乗せるフットペグをセットする。ハンドルを引き上げ、右手にあるアクセルボタンを押し込めば、スーッと前に進んでいく。左手にはブレーキが備え付けられている。

82kgのドライバーが乗った場合、1回の充電で12kmの距離を進めるそうだ。1時間でフル充電が可能。最高速度は、野外では12.8km/h、屋内では8km/h。なかなか早い。走行装置も含めてスーツケース自体が9kgを少し超えるため、重さはそれなり。しかし、32リットル分の収容スペースは確保されており、スーツケースとしての機能には支障がない。

空港内で歩く人に比べると3倍のスピードで移動できるので、遅刻しがちな人にはぴったり。だが、これが増えすぎた空港は相当危険だ…。

キックボードで移動できるスーツケース「OLAF SCOOTER」

「Modobag」はスーツケースとバイクが融合したプロダクトだが、キックボードと融合したものもある。「OLAF SCOOTER」はスーツケースの下部にキックボードがついている。スーツケースとして使う場合は、キックボードの部分が立ち上がり、スーツケースのハンドルと一体になる。

OLAF Business」はビジネスとカジュアルの2つの目的に合わせてプロダクトを販売している。ビジネスユースの「OLAF Business」は、キックボード部分が小さく、スーツケースにすっぽりと収まる。収納スペースは35リットル。17インチのラップトップを収納できる大きさ。

カジュアルユースの「OLAF Urban」は、キックボード部分が大きく、安定感がある。収納スペースは26リットルで、バックパックとしても使える点が魅力だ。

自動追尾、AI、GPS、スマホ連動…未来のスーツケース「Travelmate」

スーツケースを持たなくていいだけで、移動はだいぶ楽になるだろう。スーツケースを持たなくていい状態をつくるには、スーツケースが勝手に動いてくれればよい。そんなことは絵空事だと思うかもしれないが、今や現実になっている。

Travelmate」は、世界初の完全自走式のスーツケースだ。このスーツケースには、自動追尾機能とAIが搭載されており、ユーザーを自動追尾するだけでなく、障害物を避けながら移動してくれる。ユーザーの手の動きを読み取って指示に応えることもできる。

USBポート搭載のため、スマートフォンなどの充電も可能だ。GPS機能はロストバゲッジの際に役に立つだろう。スマートフォンのアプリでロック解除もでき、スマートフォンのアプリで重量を確認できる機能は利用者の支持を集めそうだ。誰だって規定の重量を超えたせいで追加料金を払うときの悔しさは味わいたくない。

多様なライフスタイルやワークスタイルが、スーツケースを進化させた

ライフスタイルが多様化するミレニアル世代や、いつでもどこでも仕事ができるノマドワーカーは、移動に対するハードルが高くない。これからも楽に効率的に移動したいというニーズは高まっていくだろう。

自動追尾や動力源のあるスーツケースが狭い場所を行き来するのであれば、空港内の導線の改良も必要だ。すでに世に出ているプロダクトには安全性と利便性のバランスが求められる。そもそも、荷物を持ち歩くことがなくなる社会になればいいのに…と思うが、それはもう少し先の未来だろうか。

img:chuttersnap, Oliver Wendel, Modobag, OLAF SCOOTER, Travelmate, Away

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