旅行をする際に最近はホテルを取ろうという気持ちが薄れてきた。Airbnbを中心とする民泊サービスの広がりによって、ホテルや旅館以外の宿泊施設の選択肢が旅行者に対して広がっている。
また旅先でも、電車やタクシーなどの既存移動サービスに加え、Uberの登場によって移動の選択肢も増えた。
このようにシェアリングサービスの広がりは、私たちの生活をより便利で快適に、かつ効率化させている。その広がりは生活だけではなくスポーツビジネスの広がりにも寄与している。
ところで、スポーツと言えばサッカーが人気だが、サッカー観戦には、自動車で出かけるという人も多く、スタジアムや球場などでの駐車場の混雑が問題となっている。
その解消を目指し、駐車場予約アプリ「akippa」を運営するakippa株式会社は、サッカーJ1リーグの「V・ファーレン長崎」を運営する株式会社V・ファーレン長崎と提携を実施し、トランスコスモススタジアム長崎内にある駐車場約1,400台が、akippaにて予約可能となった。
スマホ・PCで簡単に“駐車場の貸し借り”ができるakippa
akippaは、駐車場をネット予約できるサービス。プロスポーツクラブでは、プロサッカーJ1リーグのセレッソ大阪、プロ野球NPBの日本ハムファイターズ、プロバスケットボールBリーグの西宮ストークスと連携し、スタジアム周辺における交通課題の解決に取り組んでいる。
スマホ・PCで駐車場を借りることができ、空いているスペースを有効活用するため、駐車場業界初の予約システムと格安料金での提供が可能だ。
また、akippaでは借りるだけでなく、駐車場を貸すこともできるのが特徴。空いているスペースがあれば、駐車場として登録して貸し出すことができる。もちろん、駐車場として貸し出すことで報酬が得られる。このため、akippaにより不動産業者などの様々な手続き不要で、簡単に駐車場オーナーになることもできるのだ。
現地で駐車場を探す必要なし。確実に車を駐められる
V・ファーレン長崎は、J1リーグ昇格を決めた昨年のJ2リーグホーム最終戦において、トランスコスモススタジアム長崎の収容能力20,246席を上回る22,407名の動員を記録した。
その内、約6割の入場者が自動車で来場しているため、トランスコスモススタジアム長崎周辺では駐車場が不足し、サポーターが駐車できない事態が発生しているという。
またそれに伴う交通渋滞が発生することで、スタジアムへ到着するまでに通常の約3倍もの時間がかかってしまう場合もあった。今回の提携により駐車場をインターネットで予約してから現地に向かうことになるため、現地で駐車場を探す必要がなく、確実に車を駐めることができる。
akippa上で駐車場が満車の場合は他の交通手段の利用を促進され、交通渋滞による周辺住民への影響を減らしていく。なお、スタジアム内駐車場の利用により発生するV・ファーレン長崎の収益は、無料シャトルバスの運行などでサポーターへ還元される予定となっている。
今回の提携に伴い、V・ファーレン長崎とakippaのコラボキャンペーンページも開設した。
対象駐車場は、「トランスコスモススタジアム長崎」内の各駐車場(第1駐車場、第2駐車場、第3駐車場、野球広場、ソフトボール場)。駐車可能台数は約1,400台を予定。
拡がるスマホを利用した「スマートスタジアム」
スマホとスポーツ観戦を融合した「スマートスタジアム」が、近年、スポーツ・ライブ等のイベントで導入されてはじめている。これは、来場者とイベント主が、スマホを介してつながることで、コンテンツやサービスをリアルタイムに受け取り、これまで以上にエキサイティングなイベント体験を実現しようとするものだ。
たとえば、西武ライオンズとplaygroundが取り組む「チャットベースのスマートスタジアム化」は、LINEを活用したものだ。まずは、LINEで電子チケットを発券することから始まる。複数枚チケットを購入した場合は、LINEを通じて同伴者にも渡すことも可能だ。
球団公式のLINE@アカウントから、「ご来場に対する“御礼”メッセージ」「試合情報や選手情報のアナウンス」「座席位置の情報」「キャンペーンに関するお得な情報」が届き、快適な観戦をサポートする。
利用の流れとしては、LINEで発券し、電子スタンプで入場。プレイ動画やプレイデータなどのデジタルコンテンツで、拡張されたイベント体験をユーザーに提供する。チャットで、クーポンや抽選、フードデリバリーなどの特別サービスを受ける。イベント終了後にはLINEを通じて体験をシェアする、といったイメージだ。
新しい形で広がるスポーツビジネス
このように、現在スポーツビジネスはテクノロジーの進化やシェアリングサービスの拡大により、広がりを見せており、今回の提携はその一つだ。
スポーツ観戦者にとって駐車場問題は切実な問題であるため、それを簡単に解決できるというこのビジネスのニーズは確実にあるだろう。観戦が楽になるということは、スポーツコンテンツの価値を高めるということにもつながり、ユーザーとスポーツの好循環を産むことができるだろう。
一見関係性の薄そうな部分をコラボレーションすることによって新しい価値提供ができるというのは素晴らしい可能性だ。他のシェアリングサービスでも、こういった取り組みはおそらく加速して行くことだろう。