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2008年のリーマンショック以降、その余波を受けて日本経済のデフレは継続し、就職活動は氷河期を迎えた。就職活動で100社も受けたが内定がもらえない、などの話題がニュースになることもあった。
しかし、そんな時代とはうって変わって、現在は稀にみる売り手市場となっており、どの企業でも人材不足を嘆いている状況だ。
その状況や採用プロセスの変化、テクノロジーの進化に伴い、採用市場の人材獲得方法も今までにない形へと進化を遂げている。
今回、「学生と企業」のどちらも「時間とコストと労力」を最小限に抑えることのできるストレスの少ないサービスと銘打ったサービスが登場した。
学生に特化したクラウドソーシングプラットフォームの開発、運営を行う株式会社ikkaiは、完全自社開発のDjango(ジャンゴ)によるプラットフォームのリニューアルを完了したと発表した。
学生の採用がすべてワンストップで完結
今回のリニューアルの目的は、理想のプラットフォームを作るためにCMSでは実現できない複雑な機能の実装を目指すことである。
そして社内でもこれまで点在していた学生のアルバイト、インターンシップ、新卒採用のチャネルを1つに統合し、学生の採用がすべてワンストップで完結するオンラインプラットフォームとしてリリースすることだ。
点在していたプラットフォームを統一するというのは日本初の試みのようで、これによって「学生と企業」どちらにおいても、「時間とコストと労力」の削減を支援していく。
約半年間でプラットフォームの完全リニューアルを完了
サービス公開から今回のリリースまで使用していたプラットフォームは、CMSを独自の仕様に変更し活用したもので、ikkaiの目指す理想のプラットフォームを作るためには、CMSを利用せず、ゼロから作り直す必要があった。
そこで、Python(パイソン:プログラミング言語)で実装されたWebアプリケーションプラットフォームであるDjangoを用いて、社内で開発することにより、約半年間という短期間でプラットフォームの完全リニューアルを完了したとしている。
Djangoのプラットフォームを開発することで、より複雑な機能の実装が可能となるだけでなく、ウェブサイトの軽量化・高速化、セキュリティの向上といったユーザビリティーにも配慮が可能であり、これまでよりも多くのユーザの獲得を見込んでいる。
また開発言語であるPythonは、大規模なデータ分析を得意としており、ikkaiの目指す「データを活用した学生の採用」の実現上でとても相性が良いとされている。
今後、ikkaiとしてはAI (人工知能)を用いたサービスのリリースも検討しているそうだ。そこで、AIの多くがPythonを主流とした開発であることから、今回のリニューアルのタイミングで開発言語のマイグレーション(データ移行)を行い、Python開発へ移行することが「エンジニアの採用」という点においても、ikkaiの将来にとって最適な時期であると考えたという。
3つのカテゴリに採用を区別しながらも同じ画面内で検索可能
これまでアルバイトはアルバイト情報誌、インターンシップはインターンシップナビサイト、新卒採用は新卒採用ナビサイトを通じて採用を行い、それぞれ時期もチャネルも別々でそれぞれに時間とお金、そして労力を掛ける必要があった。
しかしikkaiにより、学生に特化することですべてをひとつのプラットフォームで完結することができるようになった。
新しいプラットフォームではアルバイトを探すマッチングサービスの「マーケットプレイス」、「インターンシップ」、「新卒採用」の3つのカテゴリに採用を区別しながらも、同じ画面内で検索できる機能を実装している。
マーケットプレイスは、プロジェクト型の仕事のマッチングプラットフォームだ。掲載費用は完全無料で、かつ依頼者の希望の金額で学生に仕事を依頼することができる。
またikkaiは、本当の「就労体験」ができるインターンシップを推奨していくという。今日、新卒採用を行っている企業の約6割が取り入れているインターンシップだが、その8割が1日で完結するインターンシップだ。
これによる採用のミスマッチを減らすため、ikkaiでは中長期に渡る就労体験型のインターンシップ専門の案件を紹介する。さらに、学生と企業が直接出会うことのできる新卒採用のあり方を目指す。
ikkaiでは学生の能力や関心、性格といったデータから、マーケットプレイスやインターンシップで学生がどのような活動をしてきたのか、また活動に対する評価データを収集、分析した採用支援を行う。
採用のミスマッチを解消する新しいサービス
ikkaiが懸念する採用のミスマッチに対応するサービスは他にも登場している。
たとえば、総合人材サービスのパーソルグループで人材派遣・アウトソーシング事業を手掛けるパーソルテンプスタッフ株式会社の派遣就業サービス「はたまな」がある。
これは就職活動を控えた学生が派遣スタッフとして企業で働き、実践的な就業体験を積むことができるというもの。パーソルテンプスタッフの派遣スタッフとして登録した学生に対し、志向性や勤務条件に応じた仕事を紹介する。紹介をされた学生は派遣先企業の指示のもと、実際の職場でより実践的な仕事を体験することができる。
就業前には専門コンサルタントがビジネスマナーや業界・職種を理解するための研修を実施。また、就業中のフォローや就業後の評価など、派遣サービスのノウハウを生かし学生の就職活動を支援するのが狙いだという。
インターシップをどう理想に近づけるか
2016年に文部科学省が設置した「インターンシップの推進等に関する調査研究協力者会議」によると、インターンシップ実施は拡大傾向にあり、実施率は7年間で約5.3倍に拡大したという。
しかし、それに伴い採用のミスマッチという課題も出てきた。特に今後はこれまでと違った新しい価値感を持ったミレニアル世代・Z世代をどううまく採用し、活用していくかが企業に問われるだろう。
ikkaiは中長期に渡る就労体験型のインターンシップ専門の案件を紹介するという。これが、単なる企業の業務説明の場で終わること多かったこれまでのインターンシップをどう変えるのか。
Ikkaiが学生、企業ともに利用しやすい「採用」のプラットフォームになれるかどうかは、そのマッチングの精度の高さが鍵になりそうだ。しかし、競合他社もそこは重要視する部分であるため、AIなどを利用したその差別化ポイントがどこになってくるのか期待していきたい。
img; PR TIMES