ここ最近、いたる分野において「シェア」という言葉が使われている。モノやサービスはすでに所有する時代から、共有する時代へと変化してきているのだろう。
さまざまなサービスが登場しているが、そのなかでもっとも競争が激化しているサービスの一つがシェアサイクルだろう。乗り捨てが可能という点が大きな魅力で、国内外のさまざまな企業が参入し、しのぎを削っている。
今回は株式会社メルカリのグループ会社である株式会社ソウゾウが、地域参加型で運営を行う新しいスタイルのシェアサイクルサービス「メルチャリ」を2月27日に福岡市で提供開始する。
専用のスマホアプリでレンタルから返却まで簡単に行える
メルチャリは個人と地域が参加型で運営を行う、新しいスタイルのシェアサイクルサービス。使い方はアプリ内のマップに記載されている専用ポートで自転車を借りて、目的地近くのポートに返すだけ。鍵の解除はメルチャリアプリ内で発行されるQRコードで行い、「借りる」から「返す」まで、スマートフォンひとつで完結することができる。
メルカリIDとの連携で簡単に登録することができ、料金は4円/分。乗った分だけ支払う料金システムだ。
メルチャリのポート(駐輪場)は、地域の民間企業に加えて個人宅・店舗の軒先など、地域の人が持っているスペースを大小問わず提供してもらうことで、街により多くのポートを設置し、いつでもどこでも、乗りたいときにすぐ自転車を利用できる体験の提供を目指す。
安心・安全面においては、自転車に内蔵されたGPSで常時自転車の駐輪場所を把握することに加え、カスタマーサポートによる監視と対応を365日実施。突然の故障やトラブル時にも安心してサービスを利用できる。
また地域の民間企業と連携し、サポートトラックが放置・違法駐輪の自転車や故障車を移動・回収することで、各ポートを常に最適な状態に保つ。
さらにユーザー自身にも運営に参加してもらい、放置・故障自転車の報告や移動などのアクションに応じてメルチャリ内で貯まるマイルや、メルカリポイントを付与する仕組みを導入する。
ユーザーのアクション履歴やマイルの累積状況はアプリ上で随時確認することができ、日常的にユーザー同士がメルチャリの運営を助け合うような仕組みを提供する。
第一弾は2月27日より福岡市で提供を開始し、今後展開地域を拡大していく。
福岡市の交通をシェアサイクルでスムーズに
福岡市では、博多・天神・ウォーターフロントのエリアを中心に、サービス開始時点でのポート数は50、自転車は400台以上の設置を予定している。夏頃までにエリアの拡大と2,000台程度の自転車の投入を予定しているという。
福岡市には2017年よりメルカリのカスタマーサポートの拠点があったことに加え、充実した都市機能がコンパクトに整っているかつ、フラットな都市であることから自転車で移動するのに適した立地だという。
一方で、野球やコンサートなどのイベント開催時にはバスやタクシーなどの公共交通機関が逼迫しやすいという顕在化した交通課題もある。
今回のメルチャリの提供を通じて、福岡市の交通をスムーズにするサービスを構築していくとしている。
多くのサービスが覇権を狙うシェアサイクル事業
冒頭でも述べたように、シェアサイクルは競争が激化している。NTTドコモの展開する「ドコモ ・バイクシェア スマートシェアリング」やソフトバンク C&Sと協業した「ofo」など、その覇権争いはますます激化の様相を呈している。
また、LINEとモバイク・ジャパン株式会社はスマートバイクシェアサービス「Mobike」の展開を拡大・加速させている。
これらの特徴は、NTTドコモやソフトバンクといった大手通信キャリアやITベンチャーが参入していることで、サービスの多くがスマホを使うため、協業しやすいのが理由の1つだ。
一方で、コンビニも参入している。NTTドコモやソフトバンクの事業の普及に弾みをつけると期待されるのが、コンビニエンスストア大手の「セブン‐イレブン・ジャパン」との協業だ。
同社は、2016年12月末よりドコモ・バイクシェアと提携し、店舗を利用した「自転車シェアリング」事業を進めている。東京都港区や新宿区、渋谷区を中心に設置店舗を増やしてきた。
2018年度末までには首都圏や地方都市の1,000店で5,000台に拡大する予定で、「来店客数の増加につなげる」予定だ。
地域参加型のメルチャリ。どこまで食い込めるか
これらのサービスは現在では、まだ大都市圏が中心だ。しかし今後市場が拡大し、インフラが整備されれば地方都市にまで及ぶだろう。
メルチャリの武器は地域参加型で運営するということ。この武器で果たしてどこまで食い込めるか、今後の展開に期待したい。
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