スマートスピーカーの登場によって、おそらく私たちの身の回りのIoT促進の可能性は今まで以上に進むだろう。そしてIoTは私たちの身の回りの生活だけではなく、ホテルや不動産業界でも重要なキーワードになってきている。
こうした背景を受け、日本初のスマートホステルなどのIoT事業展開の実績を持つand factory株式会社は、特定非営利活動法人NEWVERYと協業し、IoT学生寮プロジェクトを2018年2月より開始した。
このプロジェクトは、学生寮における共同生活の課題をIoTによって解決するだけでなく、学生の共同体験を通じてIoT機能やその利用方法を洗練させ、次世代のビジネスを創出することを目的としているという。
学生だけでなく世の中全体にもインパクトを与えたい
and factoryは、最先端のIoTデバイスを集結させた日本初となるスマートホステル「&AND HOSTEL」や、横浜市・NTTドコモと3者で立ち上げたスマートホーム「未来の家プロジェクト」など、IoT分野において先進的な取り組みを展開している。
一方、NEWVERYは「若者たちが未来に希望を持てる社会づくり」を目的として活動しており、その一環として、学校外の共同生活における総合的な人間力の向上に主眼を置いた学生寮を運営している。
学生寮には「自分自身を高めたい」、「他人と切磋琢磨し学び合いたい」という意欲ある学生が多く集い、寮内外イベントや社会人メンターの存在を通じて、多様な価値観との関わりから学びを得る機会が設けられ、学生の人間的な成長を促進している。
今回、お互いの理念に親和性を感じ、それぞれの強みと人材を掛け合わせることで、居住する学生だけでなく世の中全体に対してもインパクトを与える事業が共創できると考え、プロジェクトをスタートさせることになった。
7種類のデバイス導入で共有部の混雑状況を可視化
プロジェクト第1弾として、NEWVERYが運営する学生寮「チェルシーハウス国分寺」にand factoryが提供するIoTシステムを導入する。
IoTシステムの導入によって、学生寮での共同生活で頻繁に起こる小さなトラブルを抑制するとともに学習や作業効率の向上を図り、学生自身が手がける地域住民向けのイベント開催などのより大きな共同課題に集中して取り組める環境づくりを目指す。
具体的には、7種類のデバイスを導入することを検討している。
共有部の混雑状況の可視化をはじめ、キッチンの洗い物忘れや洗濯機使用後の衣類回収忘れの防止の注意喚起や自動での問いかけなど、学生同士がわずらわしさを感じる様々なシーンでのIoT活用を想定しているという。
寮へのIoTシステムの実装は2018年6月の予定。今後は、大学などの研究機関やIoTメーカーなどの企業とともにハッカソンやアイディアソンを実施するなど、優秀な学生を育む実践教育の機会、革新的なIoT事業の創出を図る方針だ。
日本初のスマートホステル&AND HOSTEL
and factoryの&AND HOSTELは最先端のIoTデバイスを1カ所に集結させた日本初のスマートホステルブランドだ。
エンターテイメント性とホスピタリティを高め、進化した「IoT宿泊体験」を楽しむというコンセプトを持つ。
訪日外国人旅行者の急増を背景に、高稼働率を保ち、2018年内を目処に同ブランドで10店舗程度の開業を目指す。
2018年1月に東京の秋葉原と神田にオープンした「&AND HOSTEL AKIHABARA」「&AND HOSTEL KANDA」両店舗では、大崎電気工業株式会社が提供するスマートホーム向けIoTサービス「ホームウォッチ」と連携。またヤフー株式会社が提供するIoTプラットフォーム「myThings Developers」と連携し、スマートスピーカーも活用している。
「ホームウォッチ」は、遠隔からスマートフォンで家電製品を制御したり、室内の環境状態を確認したり、さらにはドア・窓開閉センサーにより外出時の異常を知らせるなど、スマートフォンから家の中を自由にコントロールすることができるサービス。
「myThings Developers」は、さまざまなIoT製品やWEBサービスのAPIを集めた事業者向けプラットフォームサービスだ。
学生54名が暮らすシェア型学生寮チェルシーハウス国分寺
チェルシーハウス国分寺は、NEWVERYが運営するシェア型男女共同学生寮。20以上の異なる大学に通う学生54名が暮らす。門限やハウスマスターはなく、学生たちが自治的に共同生活している。
また、社会人メンター制度、寮内外で行われる活動の企画運営など、多様な他人と学び合う機会を設けている。
共用部にはキッチン・リビングのほか、ゲストルーム、スタディールームなどを設置。フリースペースには多ジャンルにわたる3,000冊超の蔵書が置かれている。
学生生活にまで及ぶIoTの進化
現在の大学生はミレニアル世代とZ世代で構成されている。デジタルネイティブである彼らにとって、インターネットやスマホは生まれてきた時から身の回りにある当たり前のものだ。このため、彼らはそれ以前の世代とは違った新しい価値観を持っている。
その特徴とは「ものの所有より共有」という意識が高いということがよく言われる。
今回のプロジェクトは、まさにミレニアル世代のニーズに応えたものと言える。
共同生活はとかく、気を遣ったり、我慢したり、小さなトラブルが起こりやすい。IoTがこれらの問題を解決し、「共有」の意識が高い彼らの学生生活を心地良いものにしてくれるだろう。
img : PR TIMES