インターネットはそれまでのビジネスの可能性を一変させたといってもいいほどに、多くのイノベーションを起こしてきた。なかでもクラウドソーシングという仕事の形態が生まれたことは特筆すべきことだ。これにより、多くのビジネスチャンスが生み出されている。

現在、クラウドソーシングは様々な分野で取り入れられているが、買い手企業(スーパー・百貨店・通販・外食)のバイヤーと地方の食品製造工場を「商談」でつなぐWEBマッチングサービスが登場した。

株式会社リンクアンドシェアは、買い手企業のバイヤーがWEB上で商談会を開催し、全国の食品メーカーの商品や工場を探すことができるサービス「スマート商談会」をリリースした。

「商談」でつなぐWEBマッチングサービス

スマート商談会は、リンクアンドシェアが2015年にスタートした買い手企業のバイヤーと全国の食品製造工場をマッチングするWEBサービス「クラウドフード」の商談のセッティングに特化したサービス。

「100万回の商談をつくる」をテーマに、買い手企業(スーパー・百貨店・通販・外食)のバイヤーと地方の食品製造工場を「商談」でつなぐWEBマッチングサービスだ。

買い手企業のバイヤーは、探したい商品のキーワード・イメージ・温度帯などの詳細情報を入力し、オリジナル商談会を開催。

クラウドフードのデータベースから該当する商品が「瞬時」に提案され、気に入った複数の商品に対して商談会のオファーを一斉に送ることが可能。工場が商談OKをクリックすると商談が成立し、連絡先(電話・メール)が開示されて商談をスタートできる。

気に入った商品の商談オファーを一斉に送信

具体的な特徴としては、クラウドフードをスタートして2年間で製造工場により登録された全国のNB食品・PB工場・原材料の情報から提案を行う。

商品には「九州フェア」「ワインに合うおつまみ」「インスタ映え」など消費者のニーズから設定したイメージタグを付与。MDプランの立案時、フェア開催の商品探しの際に、イメージを入力設定するだけで商品が多数提案される。

一方、バイヤーは提案された商品の写真やデータを見て、気に入った商品があれば商談のオファーを一斉に送信。今まで1件1件電話やメールをしていた業務時間を短縮し、効率化を図ることができる。

買い手企業の利用はすべて無料。商談を行った工場からは直接仕入もできるので仕入れのコストを大幅に圧縮することができる。

料金はバイヤーは無料、食品メーカーは1商談3,000円。

商談例としては、

  1. 小田急系のスーパーマーケットと広島のドーナツ製造工場をマッチング(提案から3日で電話のみで取引成立)
  2. 東京のビジュアル系バンドのコンサートグッズを鹿児島の飴製造工場が受託

がある。

イベント特化型や転職特化型マッチングサービスも

現在、マッチングサービスによって様々なビジネスの機会が生み出されている。

たとえば、株式会社EventHub(イベントハブ)が運営するイベント特化型ネットワーキングサービス「EventHub」は「イベントでの繋がりを増やす」をコンセプトにつくられたサービス。

カンファレンスや展示会の参加者間のビジネスマッチング(ネットワーキング)や商談の機会を増やすことを目的としている。

EventHubを導入すると、参加者はスマホを使って、イベント会場でまわりにどのような参加者や出展社がいるのかを検索することができるようになる。「会いたい」申請を送り、申請が成立したら、ソフトウェアがお互いのスケジュールを自動的に照らし合わせ、面談時間を提案。面談室予約やダブルブッキング防止も自動的に行う。

また、世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」は、ビジネス上の採用やネットワーク構築に利用され、グローバルでは4億人のユーザーを持つという。

LinkedInは、個人や企業が利用するが、とくに採用面での活用が多いという。個人のビジネスマンは、キャリア・スキルなどを登録し、履歴書・レジュメ代わりの「自己紹介ツール」を作成。ビジネス上つながりのある企業や個人を、「コンタクト」として登録し、整理できる。

食品業界の課題情報のミスマッチ解決へ

リンクアンドシェアによると、食品業界の大きな特徴として、買い手企業と製造工場の「物理的な距離」の問題が存在するという。

買い手企業は人口の多い都市圏に集中する一方で、全国に50,000社存在する食品製造工場は地方に分散しているからだ。このため、情報のミスマッチが多いという課題がある。また、IT化も進んでいないため、消費者のニーズから商品を探すことが困難な状況だという。

スマート商談会は食品業界の課題を解決し、今後はどのようにイノベーションしていくのか期待したい。

img: @Press