インターネットが普及する以前、「広告」といえば4マス(テレビ ・ラジオ ・新聞 ・雑誌)が主流だった。

現在では、ターゲティング性とインタラクティブ性の高さを背景に「Web広告」の利用が増加している。2016年の広告費に関する調査では、「Web広告」が1兆3,100億円で増加傾向、「マスコミ4媒体」は2兆8,596億円で減少傾向、といった状況だ。

「Web広告」にも、リスティング広告やディスプレイ広告など様々な形態がある。2018年、各企業のマーケティング担当者はどうったタイプの「Web広告」に関心を持っているのだろうか。

2018年「予算を増やしたいWeb広告」についての調査

2018年2月5日、ソウルドアウト株式会社は、Webマーケティングの実施状況についての調査結果を発表した。ソウルドアウトは、日本全国の中小企業やスタートアップの成長支援をWebマーケティング、テクノロジー、HR(ヒューマン・リレーションズ)の領域で展開する企業だ。

調査の対象は、現在の職種がマーケティング、広報、販売促進と答えた、20歳から60歳までの男女735名となっている。

現状の「Web広告」利用状況を見ると、「バナーなどの純広告」「ディスプレイ広告」「リスティング広告」が上位を占めている。「ディスプレイ広告」は、ポータルサイトやブログなどの、広告エリアに表示さているもの。「リスティング広告」は、Googleなどの検索結果に表示されるテキスト広告だ。

2018年に予算を増やしたいWeb広告の調査結果を見ると、BtoC企業では、「Instagram広告」「リスティング広告」「Twitter広告」がTOP3となっている。BtoB業界では、「比較サイト」「Instagram広告」「LINE広告」が、予算を増やしたいWeb広告上位、という結果が出た。

BtoC企業、BtoB企業ともにInstagram広告が上位に入っている。ソーシャルメディアを活用したマーケティング活動へ重心を移そうとする動きを読み取ることができる。

ソーシャルメディアとして挙げられている、「Instagram広告」「Twitter広告」「LINE広告」は、ユーザーのフィード上に、他のフォロー先の情報と並んで表示される広告だ。若年層の利用が多く、登録情報や利用状況から詳細なターゲティング設定できるのが特徴とされている。

グローバルにおけるインターネット広告の市場では、GoogleとFacebookが大半のシェアを占めているが、この分野においてもAmazon脅威として存在感を増している。

「広告出稿先」としてのAmazon

JPモルガンが推計する所によると、2017年における企業のインターネット広告収入は、Googleが730億ドル、Facebookが400億ドルで上位を占める。これはIT業界であればすでに常識の範囲内であろう。

一方、Amazonは上記の2社に比べて広告収入は28億ドルと少なく見えるが、米Twitter社の20億ドルを上回っているのだ。今後、Amazonの広告収入は、2018年は45億ドル、2019年には66億ドルに達するとの見方もあるようだ。

では、Amazonの広告とはどのようなものだろうか。

AmazonのECサイトを利用していると、「スポンサープロダクト」や「スポンサーリンク」といった広告を見つけることができる。Amazon内で商品を検索した結果や、商品詳細ページなどに現れるので、クリックしたことがある人も多いだろう。Amazonはこの広告により、スポンサーから広告料を受け取っている。

このAmazonの広告には、GoogleやFacebookなどにはない優位性が存在している。Amazonを優位にしているのは、独自のデータだ。「顧客がどの商品を検索したのか」「顧客がどの商品を購入したのか」といったデータに関しては、GoogleやFacebookに負けることはない。

Amazonの顧客はAmazonのECサイト内で、検索から買い物までを済ませることが多い。蓄積されたデータは、GoogleやFacebookからはアクセスすることができない。GoogleはユーザーのWeb閲覧履歴、Facebookは20億を超える利用者のデータをもとに広告を展開している。しかし商品の購買に結びつく広告のためのデータとしては、Amazonが独自に蓄積するデータに優位性があるといえるだろう。

また視点を変えると、スマートスピーカーの分野でGoogleとAmazonはそれぞれ独自のサービスを展開している。Amazonは、音声アシスタントサービス「Alexa」を利用した音声広告を導入し、広告収入を拡大するのではないか、という予測も存在する。

「Web広告」は今よりもっと受け手へ近付いてくる

インターネット以前、広告は、テレビ ・ラジオ ・新聞 ・雑誌という4大マスメディアがほとんどを占めていた。メディアに登場する商品やタレントは、手の届かない遠くに存在した。

「Web」広告の登場で、ターゲティング性とインタラクティブ性を高め、閲覧履歴からユーザーの関心に近づき、クリックすればその場で購入することが可能になっている。Amazonはその中でも、最に我々に近い場所で、広告を展開する。

2018年にマーケティング担当者が予算を増やしたい「Web広告」は、Instagram・LINE・Twitterといったソーシャルメディアを活用したものが上位を占めている。「Web広告」は、まるで隣りにいる友人のように、これ以上無いほど近くに存在するものとなる、といえるのではないだろうか。

img: PR TIMES