昨年、日本に上陸したAmazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」。多くのユーザーが待ち望むなか、招待制によって順次販売が開始されている。
Amazon EchoがGoogleのスマートスピーカー「Google Home」や、Appleのスマートスピーカー「Home Pod」と大きく違う点は、「Alexa スキル」という企業や個人が開発できるアプリがあることだろう。それによってAlexaができることは他のスマートスピーカーに差をつけている。
Amazon.co.jpは、2017年11月に販売を開始したスマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズで利用できるAlexaスキルの2017年12月の人気ランキングを発表した。このランキングはAmazon Alexaアプリの「スキルストア」上で「有効にする」とされたスキル数のデータをもとに集計している。
日本の企業や開発者がAlexa向けに日本特有の知識で対応
Alexaスキルは、日本の企業や個人の開発者がAlexa向けに日本特有のそれぞれの知識を対応させ、さまざまな情報やサービスとして提供しているもの。
その数は現在も継続的に増えている。ユーザーは手持ちのPC、タブレット、スマートフォン上のAlexaアプリ内にある多種多様なスキルの中から、利用したいスキルを選んで有効にすることにより、Alexaで利用できる機能を自身のライフスタイルに合わせてカスタマイズできる。
ランキングトップはラジオ番組の聴取「radiko.jp」
上位3スキルは、
1位:radiko.jp(ラジオ番組の聴取)
2位:ピカチュウトーク(ピカチュウとのおしゃべり)
3位:豆しば(豆知識の伝授)
だった。
ピカチュウトーク、豆しばのほか、9位に入ったHey MIKU!(初音ミクとの会話)を含め、キャラクターとユーモアな会話を楽しめる「ノベルティ・ユーモア」カテゴリーのスキルが、トップ10中最多の3つランクインした。
他は、音楽、ゲーム、スマートホーム、教育、ニュース、フード・ドリンクなど、カテゴリーを偏ることなく、バラエティー豊かなスキルが上位に入っている。
アマゾンジャパン合同会社 Alexaエクスペリエンス&デバイス事業部 プロダクトマネジメント シニアマネージャー カレン・ルービン氏は
「日本では、Echoがすぐに利用できる機能として、ニュースや交通情報、天気予報、そして音楽などが頻繁に利用されている。一方、人気ランキングで「ノベルティ・ユーモア」や「ゲーム・トリビア・アクセサリ」が数多く上位に並んだことは、日本のユーザーがEchoと過ごす時間を楽しんでいる証だ。Echoとその頭脳であるAlexaの特長の一つは、既に多種多様なスキルを提供できていることであり、その数は昨年11月の販売開始時の265から、現時点では450を超えている。ユーザーの嗜好やニーズは多彩だ。」
と、述べている。
レシピ、美容、語学、金融などさまざまなスキルが登場
今回以外にも、さまざまなスキルが開発されている。
たとえば、dely株式会社は、同社が運営するレシピ動画サービス「kurashiru (クラシル)」 が、Amazonが提供するクラウドベースの音声サービスである「Amazon Alexa」に対応する「クラシルおすすめレシピ特集」の提供を始めている。クラシルは、専属料理人(クラシルシェフ)が考案した10,000件を超えるレシピをユーザーに届ける、日本最大のレシピ動画サービスだ。
また、資生堂がリリースする「資生堂スキル」は、「Alexa」に話しかけるだけで、さまざまな美容アドバイスをうけることができる。また、その日・その地域の紫外線情報を取得することも可能で、より快適なメイクを実現する。
語学教育のアルクは「キクタン」など、英語学習関連のスキルを提供する。今までは、テキストやイヤホンを準備してから学習を始めていたが、「アレクサ、キクタン開いて」「アレクサ、アルクの英語クイズ開いて」と話しかけるだけで、気軽にスタートできるようになる。
三菱東京UFJ銀行の「三菱東京UFJ銀行 Voice Banking(ボイス・バンキング)」は、スマートスピーカーに話しかけるだけで、口座残高と最新5件の入出金明細を確認することができる。
開発に欠かせない技術「VUIデザイン」とは
声で操作する「Amazon Echo」アプリの開発には「VUIデザイン」という技術が欠かせない。「VUI」とは「Voice User Interface(声というユーザーインターフェース)のデザイン」の略である。
声で操作するためには、自分の思うままに言葉を発すれば、それだけでアプリが応答してくれなければならない。これを実現するためにVUIのデザインプロセスは、大きく次の5つに分けられる。
- 目的とユーザーストーリーの定義
- 会話シナリオのサンプルを作る
- すべてのスキルをフローに書き起こす
- 会話のパターンを実際のセリフに落とし込んでいく
- 実装、テスト
このように「声」で操作するための特有の性質を徹底的に考え抜くことが必要だという。
Alexaスキルでスマートスピーカー市場を大きく先行するか
カレン・ルービン氏によると、日本語版スキルの数は現時点(2018年1月18日現在)で450を超えているという。この多彩なスキルで競合スピーカーをどこまで引き離せるか。
Amazonは、自分たちだけではスマートスピーカーを通してユーザーは本当に欲しているものを提供しきれないと思っているのだろう。それゆえ、ユーザー自身、またそれぞれに得意分野を持っている企業がSkill開発をできるようにすることで「Amazon Echoならば私のニーズを満たしてくれる」と思わせる戦略を立てているのだと予想できる。
しかし、他社のスピーカーももちろん進化し、市場を獲得するためのいくつもの施策を打って行くことだろう。これからどんどん身近になると思われるスマートスピーカーから目が離せない。
img; PR TIMES