最近メディアを賑わしている「ビットコイン」。そのコア技術である「ブロックチェーン」をドローンに活用しようとしている組織がある。

ドローンとブロックチェーン、一見関連性の薄い2つのテクノロジーだが、ブロックチェーンはドローンが社会に広く普及するための必要不可欠な存在となる可能性がある。

今回はドローンとブロックチェーンがどのように融合しようとしているのか、その詳細に迫ってみたい。

「Distributed Sky」が取り組むドローンとブロックチェーンの融合

ドローンとブロックチェーンを融合させようとしているのは国際非営利組織「Distributed Sky」だ。オーストラリア、シンガポール、ロシア、ドイツ、米国の専門家らで構成されるチームで、ブロックチェーン技術を活用したドローン向けのセキュアな管制システムの構築を目指している。


「Distributed Sky」のメンバー(Distributed Skyウェブサイトより

米連邦航空局の推計では、2021年までに米国内でのドローンの台数がホビーと業務用合わせて500万台を超える可能性がある。また、ドローンパイロットの数も数十万人に増える見込みもあるという。

このように今後数年で爆発的に増えると予想されているドローン。しかし、Distributed Skyは、ドローン間やドローンとパイロット間、そしてドローンと自動飛行システム間のデータのやり取りが急増する一方で、データをセキュアに共有する仕組みができておらず、このままではドローン管制システムがうまく機能しない可能性を指摘している。この課題をブロックチェーンを活用することで解決しようとしているのだ。

ブロックチェーンとは「分散型台帳」とも呼ばれ、ネットワークにつながった複数のコンピューターに同じデータが保存される仕組みを持つ。1台のサーバーがデータを一元管理しないため、何か問題が起こっても複数のコンピューターでカバーすることが可能だ。

また、ブロックチェーンを使うと、データがブロックとなって1本のチェーンとしてつながっていくため、データの不変性(immutableであること)を保持することができる。

こうしたブロックチェーンの特徴を生かして、ドローン運行データやドローンIDデータをネットワーク間でシンクロさせ人間とドローンのP2Pコミュニケーションをセキュアかつスケーラブルに行おうという試みだ。

ブロックチェーンを活用したドローン管制システムは、ドローン普及のボトルネックを解消できる可能性を秘めている。

解消できるボトルネックとは

1つは国境を超えた運用を可能にする点だ。現在、NASAなどが国際的なドローン管制システムを検討しているといわれている。

ブロックチェーンベースのドローン管制システムであれば、データの不変性が保障されるため、各国は安全保障の問題を過度に心配することなく、管制システム導入を進めることができる。また、分散型ネットワークであるため、システムの拡張性は高く、ドローンが何百万台に増えたとしても対応することが可能だ。

さらには誰もが簡単にドローンを利用し、収入を得る仕組みを構築することもできる。Distributed Skyとの連携プロジェクトである「Drone Employee」は、スマートフォン1つでドローンを呼び出し、空撮やロジスティクスなどに利用できるソフトウェアだ。

ユーザーは自身で購入したドローンにDrone Employeeのソフトウェアをインストールする。あとは、スマートフォンで呼び出し、自動でドローンがタスクを完了するのを待つだけ。まさにドローンが従業員(employee)のように働いてくれて、売り上げに貢献してくれる仕組みだ。

このほかにもセキュリティー問題の改善や「ドローン・シェアリング」など、ブロックチェーンだから可能となるソリューションが考えられる。

ブロックチェーンはドローンに普及するか

Distributed Skyがドローンへのブロックチェーン活用の取り組みを始めたのはほんの2年前。ブロックチェーンがドローン普及にどのような影響を与えるのか、今後の動向に注目していきたい。