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デジタルネイティブとも呼ばれるミレニアル世代の層も、子供の頃にはインターネットはまだまだ整備されておらず、インターネットを介しての決済というものも当たり前ではなかった。
しかし、そのネット決済も今では生活インフラとなりつつあり、デジタルコマースは私たちにとってなくてはならないものとなった。
では、今後、デジタルコマースはどのように展開していくのだろうか。パフォーマンスマーケティングのテクノロジー企業である仏Criteo S.A.(Criteo)は、「2018年デジタルコマース&マーケティングの展望」レポートを発表した。それによると、2018のトレンドは8つあるという。今回は、この8つのトレンドをご紹介する。
2018年に注目すべき8つのコマースマーケティングトレンド
レポートでは、2018年に注目すべき8つのコマースマーケティングトレンドとして、
- 音声ショッピングの台頭
- ソーシャルコマースの相関性
- オフラインからオンラインへの販売の接続
- データコラボレーションの必要性の高まり
- 製品フィード最適化の力
- GDPRとデータ管理の理解
- “動画”の戦い
- 買収とパートナーシップの成長
の8つを現状分析・予測している。以下でそれぞれをみていく。
IoTデバイスを通じての音声ショッピングが増加
==音声ショッピングの台頭==
Google HomeやAmazon EchoなどのIoTデバイスを通じて、音声でさらにショッピングをするようになるという。
スマートスピーカー市場が飽和すると、GoogleとAmazonは、MicrosoftのHarman KardonやCortanaなどの企業が提供するデバイスと競合していく。 AppleのHomePod、GoogleのHome Max、そしてFacebookのAlohaがこの競争に加わる。
CriteoとKantar / Millward BrownのTransition Reportの貿易マーケティングの調査結果によると、企業のブランドマネージャーは、音声起動デバイスとパーソナルアシスタントが今後2年間で最大限に活用される技術になるとしている。
2018年のトレンド予測としては、音声広告は、「おすすめの商品」や広告コンテンツがパーソナライズして提供されるようになると予測している。 実際、Best BuyはAlexaと統合して「今日のおすすめ」を紹介している。
スマートスピーカーは、消費者の関心や好みに関する豊富なデータをもとに、既存のサービスや関連する新しいアドオン製品やサービスを提供することができるようになると予測している。
ソーシャルとコマースの境界線の希薄化進む
==ソーシャルコマースの相関性==
ソーシャルとコマースの境界線の希薄化が今後進んでいくとされている。FacebookのMarketplaceサービスは、米国、英国、オーストラリアなど多くの国でバイヤーと販売者に提供されており、最近では17の市場にまで拡大されている。
AmazonもAmazon Sparkの提供を通じてソーシャルの世界に乗り出している。SparkはInstagramやPinterestのように、製品イメージを紹介し、即時購入を可能にする。
Facebook MessengerやWhatsAppなどのソーシャル・メッセージング・サービスは、より多くの企業にチャットボットとして取り入れられる。
Amazonはまた、2018年に「Anytime」というソーシャル・メッセージング・プラットフォームを立ち上げる計画を立てている。これは、WhatsAppやSlackの機能と同様の機能を持ち、Alexaと統合されている。
2018年のトレンド予測としては、主要なソーシャルネットワークが顧客データの壁に囲まれた閉ざされた世界を造るにつれて、広告主と小売業者は顧客との関係を掌握する方法とそれに付随するデータを追求する必要があるとしている。
オフラインとオンラインのコンバージョン
==オフラインからオンラインへの販売の接続==
AmazonはWhole Foods社買収により、フルフィルメントと配送のサービスを提供するかたわら、購買習慣とアップセルの有効な方法を模索している。
主要な小売業者は、専用駐車場や店舗内のロッカーをはじめとする、オンラインで購入した商品を店舗から収集する便利な方法を提供し続けると予測している。
2018年のトレンド予測として、小売業者は、ターゲットとなる消費者をオンライン上で見つけてリーチすることを目的として事業展開する。そして、実店舗内のCRMデータを使いやすくするために、リエンゲージメントやアップセルのためのパーソナライズされたキャンペーンを実施する。
オフラインでの購買行動のデータをオンラインでの取引と連携することに重点が置かれるようになるとしている。
データ資産をどう活かすかがポイントに
==データコラボレーションの必要性の高まり==
ブランドや小売業者は、大手グローバル企業のデータの壁に囲まれた庭園(ウォールドガーデン)を懸念している。
ブランドと小売業者の5分の3がすでになんらかのデータ連携に参加しており、買い物客とのつながりを高めるために、個人を特定できないデータをプールして活用している。
2018年のトレンド予測として、小売業者とブランドは、データ資産を引き続きプールし、コンテンツをパーソナライズし、より良い顧客関係を構築すると予測。マーケティング部門の幹部の72%は、データ連携が収益の増加、利益の増加(65%)、顧客満足度の向上(56%)につながると考えているとしている。
データ管理がこれまで以上に重要に
==製品フィード最適化の力==
広告主は、商品説明や視覚的なイメージなど、商品フィード資産の管理を合理化する方法を模索している。
コンテクスト商品の写真、高解像度のクローズアップ、360度の画像、その他の製品の詳細は、買い物客に最高のオンラインショッピング体験を提供するために重要になるとしている。
2018年のトレンド予測としては、広告主は、店のデータをユーザーが作成したレビューなどのコンテンツと統合しつつ、ブランドや小売業者からの製品情報を関連付けていくため、データ管理はこれまで以上に重要になるとしている。
また、クレームなどに対応するための新しい技術が開発されていくにつれ、レビューのような製品情報までより良く管理していく必要性がでてくると予測している。
データ保護の新時代の到来
==GDPRとデータ管理の理解==
2018年5月25日に発効する欧州における一般データ保護規制(GDPR)は、5億人以上のEU市民にアプローチするマーケティング担当者や企業に影響を与えると予測。
GDPRは世界的にも影響力を持ち、分析とマーケティング目的でEU圏の消費者を追跡するすべての企業に適用される。
2018年のトレンド予測として、各個人のデータをより確実に保護することで、GDPRは消費者に安心と信頼を取り戻す。これは、企業にとっても有益であるとしている。
マーケティング担当者は、オーディエンスデータをより慎重に管理する必要がでてくるとしている。
消費者オンライン時間の割合は着実に増加
==“動画”の戦い==
より多くの動画コンテンツに広告が挿入されていくにつれ、新しいプログラマティック動画広告枠の可能性が広がるという。
Facebook、YouTube、Instagram、Snapchatなどのソーシャルプラットフォームは、より動画を優先するようになり、TVに匹敵する高品質のコンテンツを求めている。
また、Amazonは、ライブ・ストリーミング・ハブ・ツイッチやAmazon広告プラットフォームを通じ、Fire TVやAmazonのホームページなどのプロパティに自動的にビデオ広告を流す予定である。
2018年のトレンド予測として、動画に費やされる消費者オンライン時間の割合は着実に増加し、広告主、出版社、メディア企業は動画の再編成と集中を余儀なくされる。動画の消費量が増えるほど、広告が多くなり、広告主とそのパートナーにとって新たな戦いが起こるとしている。
戦略的買収やパートナーシップが積極的に行われる
==買収とパートナーシップの成長==
AmazonとWhole Foods、AmazonとKohl’s、Walmart、GoogleのExpressサービスなど、大規模な小売買収とパートナーシップが過去6カ月間に行われてきた。WalmartはModCloth、Bonobos、Shoes.comも買収した。
2018年には、他の多くの小売業者やブランドが競争力を維持し、事業を拡大し強化するための戦略的買収とパートナーシップを模索すると予測している。
2018年のトレンド予測として、小売業者は、オフラインとオンラインの世界を橋渡しし、そこから重要な価値を生み出す戦略的買収やパートナーシップの機会を積極的に探すと予測。多くの小売業者にとって、検討すべきは「購入」に関するものだとしている。
大きな変化が訪れる2018年
このように2018年にはデジタルコマースにとって、大きな変化の波が訪れる。今後、購買者のオンライン化はより進む。2018年はそのターニングポイントの年になりそうだ。
このため、消費者の購買は動画によるものが多くなり、小売業者にとって消費者のデータ管理や活かし方の重要性も高まる。いずれにしても今回挙げた8つのトレンドにどううまく対応するかが、販売サイドがデジタルコマースの変化を乗り切るための鍵となる。