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企業のCSR活動が一般的になってきた現代では、環境への配慮という観点も重要であり、欧州を筆頭に「サーキュラーエコノミー」というワードも話題になってきている。そして、世界各地で顕在化する水問題を受け、企業の「水」に対する関心が高まっているのをご存知だろうか。
このような中、環境・建設コンサルタントである八千代エンジニヤリング株式会社は、近年企業が直面する「水リスク」に対し、企業の事業継続・拡大の支援のほか、水資源の有効活用や環境負荷低減活動に貢献するサービスに特化したチーム「水リスクラボ」を設立した。またこの度、そのサービス内容を広く紹介するため、「水リスクラボ」Webサイトをオープンした。
世界企業の68%が「水リスク」を感じている
水リスクとは、事業活動に必要不可欠な水資源が世界規模で生じる気候変動や自然災害、人口増加など、社会的な要請などにより、持続的な活用を行う上で抱えるさまざまなリスクのこと。
「世界の企業の68%が水不足や水質汚染など水に関連するリスクを感じている」(※1)、「日本企業の74%が水マネジメントをビジネス戦略に組み込んでいる」(※2)といったように、近年多くの企業がこの問題に直面している。
※1:出典:CDP,2014, From water risk to value creation
※2:CDPウォーターレポート2017:日本版3
水資源は地域の地形・地質・気象条件などによって、その地域特有の水環境を形成しており、事業継続に関わる水リスクの把握のためには、自然科学的な視点での調査・解析が必要不可欠だ。
戦略構築や水資源の調査・解析などのサービスを提供
「水リスクラボ」では、自然科学をベースとした各専門分野のエンジニアが実践する精緻な水リスク評価、課題の抽出、対策方針策定、実行プログラム構築、および実行支援までをトータルに、一貫した支援サービスを行う。このようなケースは日本初となるという。具体的には、以下のようなソリューションメニューを提供している。
- トータル・ソリューション
事業継続の観点で戦略構築から実行プログラム設計・プロジェクト運用を支援 - 水資源・水リスク評価
- 自社拠点や生産拠点の水資源の水量や水質の調査・解析、起源の特定
- 定量調査/定性調査
自社拠点や生産拠点で利用する水資源の起源・影響の調査 - CSR支援(広報/ブランディング支援)
水資源の保全や活用に関するブランディング方針について、CSR/広報/マーケティングの観点からのコンサルティングおよび業務支援
また、水リスクの評価に基づくリスクヘッジのほか、「コスト削減」、「サプライチェーンのレジリエンスの確保」、「財務およびリスク管理手順の改善」、「事業戦略指標の抽出」、「ブランド価値の向上」、「株主評価の向上」、「CDP-waterスコアの改善」、「ステークホルダーとの信頼関係構築」など、事業活動のうえで直面する課題を解消することが可能となる。
新しい概念「サーキュラーエコノミー」とは
冒頭でも述べたように、近年は環境への配慮という観点が重要になっている。そこで新しい概念として注目を集めているのが「サーキュラーエコノミー」だ。
これは、これまでのように資源を消費する一方の経済ではなく、「資源を循環させる経済」という考え方である。資源の無駄や捨てられている素材、まだ使用できるにもかかわらず破棄されている製品など、「無駄」を活用し、利益を生み出すことを目指すものだ。
欧州ではすでにこの考え方のもと、コンビニやスーパー、飲食店で出た「売れ残り」の食べ物や飲み物で、クリエイティブな創作料理をリーズナブルに提供するレストラン、マーケットで出た「廃材」を使って、暖かみのある木製のアクセサリーを制作し販売するセレクトショップなどが出始めている。
世界で注目の概念「サーキュラーエコノミー」とは? 経済を循環させる5つのアプローチ
持続可能で循環する経済圏の創出
さらに、食品だけでなく製造業などに利用される材料の削減・再利用・リサイクルを進め、域内に持続可能で循環する経済圏を創出しようとする狙いがある。
こうしてみると、今回の「水リスク」対策もまさにサーキュラーエコノミーの一環になるのではないだろうか。「水リスクラボ」がサーキュラーエコノミーの創出に影響を与えることができるかどうか、今後の動向に注目したい。