近年、不動産業界では中古住宅に大規模な改修を加え、現代のライフスタイルにフィットさせて利用する、「リノベーション」が行われるようになった。
ただ古くなったものを補修するリフォームとは異なり、購入する住人の求めるライフスタイルに合った価値観を提供することが必要だ。

その一方で、人々のライフスタイルの提案に長けているのが、アパレル業界だ。セレクトショップを運営し、さまざまなコンセプトのストアブランドを展開することで新しいライフスタイルを提案してきた。今、アパレル企業が、事業ドメイン拡大戦略の一環として「リノベーション」とのコラボレーションを行う動きが始まっている。

今回、アパレルとリノベーションのコラボレーションを発表したのは、アパレルのユナイテッドアローズとリノベーションのグローバルベイスだ。

グローバルベイスとユナイテッドアローズ、フルオーダーのマンションリノベーション事業提供開始

2017年12月18日、グローバルベイス株式会社と株式会社ユナイテッドアローズが、アパレル業界初のマンションのフルオーダーリノベーションサービスである、「RE : Apartment UNITED ARROWS LTD.(リ アパートメント ユナイテッドアローズ)」の提供を、2018年1月6日から開始することを発表した。

都心の優良中古マンションの調達と施工をグローバルベイスのリノベーションワンストップ事業である「マイリノ」が行い、内装デザインから家具製作に至るまでのプロデュースをユナイテッドアローズが行う。

「マイリノbyグローバルベイス」は、「都市部に特化した、優良中古マンションの物件探しから、資金計画、デザイン設計、施工」までをワンストップで行うサービスだ。「お客様が住みたい都心エリアで、自分の理想の住まいをリーズナブルな価格」で提供することが可能だ。

ユナイテッドアローズは、セレクトショップを運営し、異なるコンセプトのストアブランドを複数展開。各ストアブランドコンセプトに最適な店舗空間を国内外に展開する中で、空間創造力当を培ってきた。東京都武蔵野市には「RE : Apartment UNITED ARROWS LTD.(リ アパートメント ユナイテッドアローズ)」のモデルルームを展開している。

住宅を、セレクトショップのコンセプトでプロデュースする動きは他にもある。

セレクトショップ「フリークス ストア」と住宅ブランド「ライフレーベル」のコラボ

セレクトショップ「フリークス ストア」を手がけるデイトナ・インターナショナルが、ベツダイが展開する住宅ブランド「ライフレーベル」と協業し、「フリークスハウス」を2017年7月にローンチ。アパレルの垣根を越えて住宅をプロデュースする。

フリークス ストア公式インスタグラムで告知したところ、3時間で3,000の“いいね!”がつくなど話題となった。

「フリークスハウス」は、フリークス ストアが提案するアメリカンライフスタイルをコンセプトに、アメリカンローカルハウスの平屋をイメージした開放的なリビングと、L字デッキで庭を囲むことで、室内と屋外の一体感を演出するなどの特徴を出す。

サーフやスケート、モーターサイクルといった一つのカルチャーに限定していない自由度の高さで、アメリカの魅力を伝える。

「フリークスハウス」を作ることで、フリークス ストアはこんな家に住んでこんな暮らし方を提案していて、その上でこういった服を売っている、という背景を伝え、ファンを増やしていくのが狙いだ。”服を売るために家を作る”という意図がある。

こうしたオープンイノベーションは、アパレルと住宅双方の価値を高めるようだ。

なぜフリークスストアは家を?「フリークスハウス」が挑むアパレルカンパニーの命題

アパレルの世界観がマンションリノベーションの付加価値を高める

近年盛んになってきたマンションリのノベーションは、単なるリフォームにとどまらず、住む人の求める新たなライフスタイルの実現が求められる。

セレクトショップの店舗空間や販売する服で、ユーザーにさまざまなライフスタイルを提案してきたアパレル企業は、リノベーションがコラボするパートナーとして最適といえる。

コラボレーションにより、リノベーション企業はマンションの価値を高め、アパレル企業は自らの提案するライフスタイルをさらに深く表現することができる。

こうした異なる業種のコラボによるオープンイノベーションの成功が、我々のライフスタイルをさらに充実させることになるのかもしれない。

img; @Press , GlobalBase