先日、急遽大型の車が必要になり、初めてカーシェアリングサービスを利用した。
利用日の5日前であったが、カーシェアリングサービスのアプリ上から条件にマッチした車を検索し、アプリ上のチャットで持ち主とやり取りをするだけで、ストレスなく当日指定の場所で車を受け取ることができた。
より個が尊重される社会となったことにより、このような「CtoC」サービスは広がりをみせている。Uberやメルカリ、その他様々なシェアリングサービス、マッチングサービスを利用したことのある人も、きっと多いことだろう。
Airbnbで有名な「民泊」ももちろんそのひとつだ。2020年のオリンピック・パラリンピックに向け、そのサービス提供のスピードは更に加速していくことだろう。
民泊・宿泊の運用代行サービス
このような流れの中で、楽天グループの民泊事業会社である楽天LIFULL STAY株式会社(以下「楽天 LIFULL STAY」)は、アパートの賃貸事業と開発事業をコア事業とする株式会社レオパレス 21(以下「レオパレス 21」)向けに、民泊・宿泊運用に関わる一連の業務を一括して行う運用代行サービスを提供することを発表した。
楽天 LIFULL STAYは、民泊施設・簡易宿所オーナーおよび不動産事業者向けに「全部運用代行パッケージプラン」を提供するとのことで、今回のレオパレス 21 への提供が初めてとなる。
同プランは、集客、空室管理、問い合わせ対応、清掃など、宿泊運用に関わる一連の業務を楽天 LIFULL STAY が一括して行う運用代行サービスであり、民泊として空室等の遊休資産を運用したいものの方法が分からない方や、運用に時間を割くことのできない方が気軽に民泊を開始するために必要なサポートを全て提供するという。
また、マーケットに応じた提供価格の調整などを行い、オーナーの求める収益を最大限確保するサービスや、賠償責任保険、トラブル時のサポートなども行う。
レオパレス21は、「特区民泊」が可能な東京都大田区に所在する自社物件を対象に、楽天 LIFULL STAY と連携して「特区民泊」向けに改装を行っていく予定だ。
日本における民泊の需要
従来の“人を泊めるビジネス”というと、旅館やホテルがあげられる。しかし、旅館やホテルを営業するためには、旅館業法という法律の規制をクリアしなければならず、規制外で“人を泊めるビジネス”を行うことは、違法とされていた。
そうなると2019年ラグビーワールドカップや2020年オリンピック・パラリンピックなどの、多くの外国人が日本を訪れると予想される機会において、外国人が泊まる施設が足りなくなるのではという懸念が出てきたのだ。
そこで、法律の条件を緩くして、民泊として宿泊施設を増やそうという動きが出てきた。
特区民泊とは
宿泊施設を増やすとはいえ、民泊は新しいビジネスのため、すぐに全国でビジネスを展開することは、規制の問題から難しい。そこで必要になるのが、「国家戦略特別区域」だ。
「国家戦略特別区域」とは、民間企業が新しいビジネスを展開していく上で立ちはだかる規制を大きく改革してこうとするものであり、他の区域に先立ってビジネスを展開する、国が定めた区域のことである。
今回の例においても「国家戦略特別区域」に指定された自治体では、これまでより緩い条件で人を泊めてビジネスができるようになった。それが、特区民泊である。2016年1月末から東京都大田区では、全国に先駆けてこの特区民泊が開始され、現在では、東京都大田区の他、大阪府、大阪市、北九州市、新潟市で特区民泊の運用が開始されている。
今後、「特区民泊」を行うことのできるエリアは広がっていくはずだ。
それに向け、楽天 LIFULL STAY とレオパレス 21 は、全国の「特区民泊」向け物件の改装において連携し、多様な宿泊ニーズに応えるサービスの提供を目指していくとしている。
今後の民泊ビジネス
民泊の活用とその法規制を巡るもう一つの大きな動きが、「民泊新法」だ。民泊新法の対象となる施設はホテルや旅館などの宿泊施設ではなく、あくまで「住宅」という位置付けになっている。
これにより、Airbnbなどの宿泊マッチング―ビスは益々活性化し、民泊はより身近な存在となることだろう。
民泊が活性化することは旅行者にとっての宿泊コストの低減にもつながるため、ますます観光への需要が大きくなる可能性が高い。
ただし、ホテルや旅館は民泊が広がれば広がるほど価格競争に追い込まれる側面も持つだろう。そうなると、ブランディングの強化などに尽力せざるをえないため、観光産業の新たな付加価値が求められ、新たな価値が生まれていくはずだ。
民泊の今後の動向にも注目していきたい。
img; 楽天LIFUL STAY