地方では高齢化と過疎化が進んでいる。さらに、交通弱者などの数も増えているということもあり、生活物資などの調達が難しくなってきている。その解決のために、注目されているのがドローンや自動運転などのテクノロジーを使った無人配送だ。
このような背景のもと、株式会社ローソンは、日本郵便株式会社と連携し、2017年12月21日に、自律で陸上を走行する配送用ロボットによる無人配送の実証実験を福島県南相馬市で実施すると発表している。
海外ではすでに実用化されている無人配送
配送ロボットやドローンによる無人配送は、海外ではすでに実用化に向けた準備が進められている。
Skypeの共同創業者Janus Friis氏とAhti Heinla氏が創業したイギリスのスタートアップStarship Technologies(スターシップテクノロジーズ)は、デリバリーロボット「Starship」を開発。
2016年7月に行われたロンドンでのテスト走行を皮切りに、実用化に向けた準備を着々と進めている。また、世界的なデリバリーピザチェーンのひとつドミノ・ピザは、ニュージーランドの一部の地域で実際にドローンによる配達サービスを開始している。
「ロボットのまち南相馬」で行う実験とは
今回、ローソンが行うのは、南相馬市のスポーツセンターのグランド敷地内に、ローソンと郵便局の仮想拠点を設置し、郵便物やローソン商品を仮想の配達先まで配送ロボットによって無人で配送する実験である。
実験は2017年12月21日、11時~12時に行われる。場所は南相馬スポーツセンター内「トリムコース」。南相馬市は、「福島ロボットテストフィールド」を核とした「ロボットのまち南相馬」として、ロボット産業の推進に取り組んでいる。今回の実験場所の提供のほか、配送ロボットの社会実装に向けた検討を行っている。
最新技術により生産性向上に取り組むローソン
ローソンは、2017年10月からすでに、配送分野でドローンを使った専用車両による移動販売と組み合わせた商品配送を試験的に開始している。試験場は今回と同じく南相馬市の「ローソン南相馬小高店」だ。
また、これまでにもAIを活用したセミオート発注や、店舗のワークスケジュールを管理するタブレットの導入など、最新のIT技術を活用した生産性向上に取り組んでいる。
ローソン商品と郵便物を一緒に配送する仕組みも検討
ローソンは、今回の実証実験を通じ、配送ロボットを活用して、ユーザーが注文したローソン商品と郵便物を一緒に配送する仕組みの構築を検討。また、従来からドローンや配送ロボットの新しい技術を物流に活用する検討を行っている連携先の日本郵便では、今回、初めて配送ロボットを用いた実験を実施することで、配送ロボットによる荷物などの輸配送実現に向けた取組みを進めていく方針だ。
いよいよロボットやドローンによる無人配送が目前に迫ってきた。配送ロボットが街を走り回り、空を見上げれば配送ドローンが飛び交う、そんな光景が目に浮かぶ。
果たして、高齢化や過疎化などによる配送問題が解決されるのか、また、他のコンビニや他の小売業のこれからの動向にも期待していきたい。