荷物タグが音声観光ガイドに変身?航空会社がIoTで飛行機を“降りた後“までサポート

飛行機に乗る際、荷物を預けると受け取る「荷物タグ」。目的地まで荷物を確実に運んでもらうために欠かせないものだが、その後は「ゴミ」となってしまうことが多い。正直、あまり見た目が良くないし、旅の記念に取っておくものでもない。

空港に降りたあとに荷物タグを外すのが手間で、付けっぱなしでそのまま観光に行く人もいるだろう。KLMオランダ航空は、そんな荷物タグに目をつけ、新しい活用方法を提案している。

アムステルダムの街中を案内してくれる「荷物タグ」

KLMオランダ航空は、荷物タグをアムステルダムの街中を観光案内してくれる音声ガイド「Care Tag」に進化させた。

荷物タグにはオフラインでも使えるGPS機能と、音声再生のためのスピーカーが付いており、観光する上で役立つ情報を教えてくれる。「Care Tag」は、9月にアムステルダム行きの飛行機に乗る人限定でプレゼントされたという。

乗客がオランダのアムステルダムにあるスキポール空港を出た後に、荷物タグは「音声ガイド」となり、観光案内が始まる。

荷物タグは、「空港から市内中心地までの平均的なタクシー運賃はおよそ45ユーロです」「運河が見えました?ここから2分ぐらいのところでボートを借りることができますよ」など、街の細かい情報を教えてくれる。

航空会社が旅のパートナーに変化する

航空会社の提供するサービスを考えると、飛行機の搭乗前、飛行中、降機後の3つのシーンが考えられる。

飛行機を乗る前には、空港でラウンジなどを提供し、飛行中は旅行客の体験を向上するための取り組みを行っている。だが、飛行機を降りた後、航空会社のことを思い出すことはほとんどない。

多くの人と接点を持つことができているのに、降機後にアプローチできていないのは、なんとももったいない。しかし、この荷物タグを活用すれば、航空会社はユーザーが空港を出た後にも継続してサービスを提供できる。

荷物タグによる観光案内サービスを始めることで、KLMオランダ航空は単なる移動手段から、旅行客の旅のパートナーに変化する。

KLMオランダ航空はテクノロジーを活用し、旅行における「不」を解消する

KLMオランダ航空は、これまでもテクノロジーを活用して、旅の体験向上や、旅に出かけられない人にその楽しさを届ける取り組みを行ってきた。

飛行機に乗る前に、搭乗ゲートで長蛇の列に並び、待たされた経験があるのではないだろうか。KLMオランダ航空はこの課題もテクノロジーで解決している。

KLMオランダ航空は、顔認証のみで搭乗ができるシステムを導入。事前にパスポートと搭乗券と顔を登録さえしておけば、長い列に並ぶことなく、搭乗券もパスポートも使わずに機内へ搭乗できるというものだ。

乗客全員がこのシステムを活用すれば、航空機内への搭乗がスムーズなものとなるだろう。顔認証システムは、アムステルダムのスキポール空港と協力し、実験的に取り入れたシステム。実験を経て、スムーズで簡単な搭乗が実現したとのことで、本格的な導入を目指している。

KLMオランダ航空は、VR旅行体験の取り組みも行っている。同社の就航都市の観光スポットをVRコンテンツ化し、闘病中の子供たちに、まるで本当に旅しているかのような経験をしてもらうキャンペーンだ。YouTubeの公式チャンネルに投稿された動画は40万回以上再生され、話題を呼んだ。

航空会社が提供するのは、“快適な空の旅“に留まらない。KLMオランダ航空は旅という体験をより良いものにしようと取り組んでいる。同社は、旅行者に寄り添うサービス提供者として、今後もユニークな取り組みを行っていくだろう。

Img : KLMオランダ航空

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