ポルシェ、BMW、日産、フォードなど世界を代表する自動車メーカーがこぞってドローンをフィーチャーしたプロモーション映像を配信している。フィーチャーされているのは空撮ドローンではなく「レースドローン」だ。
世界の自動車メーカーがプロモーション映像に使うレースドローン
斬新でダイナミックな映像が印象的だが、マーケティング的な観点から見ると、市場の変化や自動車メーカーの狙いが見えておもしろい。今回はドローンをフィーチャーした自動車メーカーのプロモーション映像を紹介するとともに、その狙いを探ってみたい。
ポルシェ718ケイマン、BMW M140i 、レースドローンと対決
これは2016年末にポルシェがYoutubeで公開した映像。レースドローンとポルシェ718ケイマンがデッドヒートを繰り広げるゲーム感覚の映像で、これまでに220万回以上再生されている。
映像の斬新さに加え、英国の有名ゲームYoutuber、Ali-Aさんが助手席からレースを解説していることも再生回数の伸びに貢献していると思われる。
BMW もモデル「M140i」のドイツ市場向けプロモーションで、レースドローンをフィーチャーした映像を公開。米国の有名ドローンパイロット 、スティール・デイビスさんを起用し、ドローンコミュニティへの訴求を狙った。狙い通りドローンコミュニティから強い反応を得ている。
またBMWは米国のドローンレース団体ドローンレーシングリーグ(DRL)とのコラボ映像を公開。ミュンヘンにあるBMWビルを貸し切ってドローンレースを行った映像だ。BMWビルをドローンでダイブするなど、見応えのある仕上がりになっている。
日産、フォード、マクラーレンも?ミレニアル・Z世代への訴求
このほかにも日産やフォードもレースドローンをフィーチャーした映像を公開。またレースドローンを直接的にフォーカスしたものではないが、マクラーレンが「720S」のプロモーション映像の一部に、有名ドローンレーサーの操縦による空撮映像を使うなどしている。
このように、自動車メーカーがこぞってドローンレースに焦点を当てたプロモーション映像を配信するのは、ドローンを入り口としたブランディングを行い、ミレニアル世代やZ世代のなかで特にテクノロジー、ゲーム、エクストリームスポーツに興味のある層に訴求させたいのではないかと考えられる。
その背景には、若い世代にとって自動車の目新しさがなくなってしまっていることがあるのかもしれない。日本でも若者の自動車離れが進んでいるといわれているように、若い世代にとって特に興味の対象として見られない傾向があるのだろう。
世に登場して数世紀が経ち、社会インフラの一部となった自動車に目新しさを求めるのは難しい。しかし、自動車、特にプロモーション映像に出てくるようなスポーツカーは先端テクノロジーの塊といえる。先端テクノロジーの代名詞の1つとして認識されつつあるドローンとスポーツカーを紐付けることで、自動車のテクノロジー要素や、ゲーム・スポーツ要素を若い世代に認識してもらおうということなのではないだろうか。
ちなみにマクラーレンのプロモーション映像で空撮を担当したドローンパイロット、ルーク・バニスターさんは16歳のZ世代だ。
マクラーレンのプロモーション映像で空撮を担当したルーク・バニスターさん
実際、ミレニアル世代より上の層でドローンにはまっている人の多くが、もともとスポーツカー・自動車好きというケースは非常に多い。筆者の友人にランボルギーニにはまっていた人物がいるが、彼もあっという間にドローンにはまってしまった。
この逆、つまりドローンにはまっている若い世代が、このような映像からスポーツカーに興味を持つという流れもこれから起こるのかもしれない。
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