いまや映画やドラマ、ドキュメンタリーなどさまざまな撮影で必要不可欠となったドローン空撮。ヘリコプターやクレーンでの撮影ができない場所での撮影を可能にし、映像表現の可能性を広げている。

世界のクリエイターたちはドローンをフル活用し、これまでにないような斬新な作品を世に放っている。そのような作品は、さらなるインスピレーションを呼び起こし次の作品が生まれる土台となっている。

今回は進化を続けるドローン空撮の世界から、インスピレーションを呼び起こしてくれるクリエイティブな5作品を紹介したい。

ドローン空撮でゲームのような平面世界をつくりだす『2D RUN−MMP3』


『2D RUN-MMP3』

この作品はブルガリアのフリーランナー、イルコ・イリエフさんがドローンで自身がフリーランニングする姿を真上から空撮し、2次元世界を進むキャラクターを表現したものだ。フリーランニングの達人であるイリエフさんが、忍者のようにさまざまなステージを進みクリアしていく様はまるで昔の2次元ゲーム。途中CGによる効果も加え、見る人を飽きさせない。

ドローン代を除く製作予算はほぼゼロ。アイデア次第で、低コストでここまで斬新な映像をつくれることを示す作品。ニューヨークシティ・ドローン・フィルムフェスティバル(NYCDFF)2017で受賞している。

レースドローンで『スターウォーズ』を実写再現


空中戦を実写再現した『Drone Star Wars』

映像製作会社Corridor Digitalがドローンパイロットチームとタッグを組んで製作したのがこの作品。こちらもNYCDFF2017の受賞作品。映画『スターウォーズ』で見られる空中戦を見事に実写再現しているが、空撮で使用されているのは小型のレース用ドローンとアクションカメラGoProのみ。

ドローン操縦のエキスパートたちが、森や橋を縦横無尽に飛ばし、その映像にCGでレーザーなどを付け加えた。この作品では簡易なアクションカメラが使用されているが、テクノロジーの発展にともないカメラは年々小型化しており、数年後には本格的なシネマカメラを搭載することも可能になるかもしれない。

どうやって撮影した? 世界最小HDドローンでしか撮れない映像


世界最小HDドローンで撮影した作品『Muscle-UP』

映像スペシャリストのロバート・マッキントッシュさんの作品は独特のスタイルで人気を集めている。そのスタイルはドローンで撮影した映像を逆再生するだけのシンプルなものだが、ドローンと逆再生の組み合わせだから可能にする驚きの効果を生み出している。

「こんなところ、どうやって撮ったの?」と思うようなシーンがいくつも出てくるのだ。その秘密はマッキントッシュさん自作の世界最小HDドローンだ。自作小型ドローンに、アクションカメラGoProを搭載して撮影している。ドローン、カメラともにどこでも入手できるものなので、興味を持ったのならこのスタイルに挑戦してみてもよいかもしれない。

景色・街並みを新しい視点でダイナミックに捉える「ドローンラプス」


「ドローンラプス」技法を活用した作品『Minsk 2016』

カメラでお馴染みの技法であるタイムラプスをドローンで行うこともできる。これまでは地上から撮影したタイムラプス作品が多かったが、最近になりドローンによる空撮タイムラプス作品も増えてきている。一部ではドローンとタイムラプスを合わせた造語「ドローンラプス」という名称で呼ばれているようだ。

タイムラプスの特徴の1つは、雲や広角での映像など通常ではゆっくりした動きの被写体をダイナミックに表現できること。ドローンラプス技法を使えば、新しい視点のダイナミックな表現が可能だ。

これから期待の分野、360度VRドローン空撮


ドローンが見えない360度空撮映像

最後に、いま盛り上がりつつあるVR分野のドローン空撮を紹介したい。VR市場が拡大しているいま、ドローンによる360度空撮の需要も高まっている。テクノロジーの発展にともない360度カメラも進化しており、小型ながら高性能な機種が続々登場している。ドローンに搭載できるほどに小型化されたものも増えている。

現在クリエイターたちが試行錯誤しながら、その用途を模索している段階。今後360度空撮によるあっと驚く作品が増えてくるはずだ。

ドローンによるクリエイティブな作品は、2015年から毎年開催されているNYCDFFでも多く出展されている。クリエイターたちがドローンの使い方に慣れてきたということもあり、年々作品の斬新さが上がっている印象を受ける。このほかにもVimeoやYouTubeでも、さまざまなドローン空撮作品を楽しむことができるので、ぜひチェックしてみてほしい。

img : amanaimages

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