誕生から30年を迎える「GIFアニメ」経済圏が成長中

2017年6月で、GIFは30歳を迎えた。長く生き残っているこのファイル形式は、近年そのニーズが増している。

モバイルとビジュアルコンテンツを使ったやりとりが増えた現代では、数秒間でイメージを伝えられるGIFは便利なツールとなった。

モバイルコミュニケーションに不可欠なGIF

GIFの広まりと、Giphyの活躍は切り離せない。

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Giphyは、2013年にGIFホスティングサービスとしてローンチした。GIFファイルを検索できるサービスとして成長し、2016年10月に7200万ドルを調達、これまでの累計調達額は1億5000万ドル、評価額は6億ドルにのぼると言われている。

「GIFのGoogle」とも呼ばれるGiphyが、ユーザーの身近な存在となったのは、SlackやFacebook Messengerといったチャットサービスと連携したことが大きい。

日々、膨大な人々が利用するFacebook Messengerのチャット画面にGIFボタンが導入され、トレンドに火がついた。ユーザーはMessengerの入力画面からGIFアニメを選び、相手に送ることができる。

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Facebook Messengerだけではなく、Twitter、WhatsApp、iMessageといった様々なサービスにGIFメッセージ機能が搭載された。GIFホスティングサイトTenorの共同創業者でCEOのDavid McIntosh氏の言葉を借りるなら、「モバイル界のビジュアルメッセージの新たなプロトコルへと進化した」のだ。

広告に活用されるGIFアニメーション

いまや、GiphyのDAUはAPI経由とウェブサイトを合わせて2億人に達しているという。このプラットフォームがマネタイズに取り掛かろうとしていると、TechCrunchが報じている

Giphyがメッセージアプリ内でのスポンサードGIFのテストを近々始め、メッセージアプリ内でGIFを検索した際に、スポンサー付きのGIFがヒットするようになる可能性がある。

仕組み自体は検索連動型の広告と近い。異なるのは、Giphyにおける主な検索ワードはブランド名などではなく、動作やリアクション、感情に関する単語である点だ。スポンサードGIFが導入されたとするなら、「がっかり」「うれしい」「おはよう」といった検索ワードに合ったGIFを用意する必要がある。映画やドラマのワンシーンを活用したGIFであれば、わかりやすいスポンサードGIFとなりそうだ。

Giphyにアクセスする人数がスポンサードのGIFを目にするとすれば、かなりのリーチにつながる。他のユーザーにGIFが送付されることで、さらにリーチは広がる。

モバイルコミュニケーションにおいてスタンプや絵文字などビジュアルコンテンツは重要であり、GIFも重要な役割を持つ。この先、GIFエコノミーが成長していくことは十分に考えられる。

テキストからビジュアルへ

GIFに限らないが、ビジュアルコミュニケーションの特徴は、思い描いているイメージを丁寧に言語化しなくとも相手に送ることができる点にある。雰囲気が合っているビジュアルコンテンツを送ることで、相手に伝えたいことは伝えられる。

テキスト化をする行為は、なくなりはしないが減少していくことも十分に考えられる。すでに、検索もビジュアルで行う動きが出てきている。

テキストではなくビジュアルを活用していくことが増えていくことも、GIFエコノミーの成長を後押しすることになりそうだ。

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