自動運転技術を社会に実装する動きは世界各地で始まっている。

中でも、公共交通機関が自動運転に変わったとしたら、大きなインパクトが生まれるはずだ。

都市を周遊し続けるバスが生まれたとしたら、人の移動はどう変化するのだろうか。

パリでスタートした無人運転シャトルバスの試験運行

navya

自動運転の電動バスを開発するフランスのNavyaが、現地時間の6月29日にパリのビジネス街であるラ・デファンス地区において、無人運転シャトルバスの試験運行を開始した

同試験は、電気自動車タイプの小型バス「NAVYA ARMA」を3台使い、3つのコースで定期的なシャトルサービスとして運行される。試験に活用されるバス「NAVYA ARMA」は、最大15人を乗せて、運転手なしで走行させることが可能だという。

パリのラ・デファンス地区は、毎日50万人以上が訪れるほど人が集まるビジネス街。人が多く集まる場所で自動運転バスが走ることで、どのような結果がもたらされるのかに注目が集まっている。

試験は、少なくとも2017年末まで続ける計画だ。試験運行を実施し、数年後の実運用に向けた検討につなげていくという。

10年間、開発を継続してきたNavya

Navyaは、フラッグシップ機「Arma」の開発を10年かけて行ってきた。フラッグシップ機がリリースされたのは、2015年10月のことだ。Armaは、完全電動、無人で走行可能で、最大15人の乗客を乗せて最高時速45kmで走行する。

Navyaは、2016年に人員・テクノロジー・営業力を増強するために3400万ドルを調達している。公共交通運営企業のKeolis、自動車パーツを製造するValeoグループの2社が出資しており、カタールの投資会社Group8もラウンドに参加している。このことからも、自動運転バスへの注目度が高いことがわかる。

TechCrunchによれば、2016年の時点でArmaはリヨン市内の路上を走行しており、Group8とのパートナーシップを通じて中東向けにもArmaを製造していくことを予定しているという。

各地で試験が進む自動運転バス

ロンドンでの無人走行小型バス計画「GATEway」

自動運転バスの試験運行は各都市でスタートしている。

イギリスでは、「Greenwich Automated Transport Environment (GATEway)」と呼ばれる試験が行われており、ロンドンの王室特別区で無人走行バスを運用している。イギリスでは、ヒースロー空港でも無人運転方式のバス「Heathrow POD」の運用が行われており、無人運転式のバスに関する取り組みが進んでいる。

フィンランドの首都ヘルシンキでは、フランスのスタートアップEasyMileが開発した自動運転バス「EZ10」が試験走行を繰り返してきた。フィンランドでは公道を走るのに法律上、乗り物に必ずしも運転手が載っている必要がなく、実用化に向けたハードルが少ない。

自動運転バスの技術は、その土地に縛られない。EasyMileは、日本でもDeNAと連携して私有地における無人運転バスを使用した交通システム「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」を開発している

ロボットシャトルは、2016年8月に千葉市の公園敷地内で試験走行しており、同年11月には秋田県仙北市の田沢湖畔で、国内では初となる公道での走行実験を行っている。

DeNAは、自動運転車両を活用した新たな交通サービスプラットフォームの開発を行う方針を明らかにしている。2017年内に日産製の自動運転車両を用いた技術的な実証実験を日本国内で開始し、2020年までに無人運転による交通サービスプラットフォームのビジネスモデルなどを検証する。

自動運転バスにおける競争は、ハードの開発にとどまらず、交通インフラを支えるプラットフォームの開発競争でもある。この領域を巡る競争は、より激しくなっていきそうだ。

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