ドローン活用で爆発的に増えるデータ、どう活用するかがカギ

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ドローンの真価は、未知領域のデータ取得を可能にすることであると以前お伝えした。ドローンは、トンネル、鉱山、橋、ダム、山間部など、これまでデータ取得が難しかった場所で、コストをかけず、安全に、より精度の高いデータの取得を可能にする。

これは言い換えれば、ドローンを使えば誰でも未知領域のデータを取得できるようになったということでもある。この現状を踏まえ、ドローンビジネスのプレーヤーたちは、次のフェーズに注力し、差別化を図ろうとしている。

ドローンで収集した大量のデータから、どのようにして次のアクションにつながる意味あるデータに変換するのか。ビジネスや社会にインパクトをもたらすのは、データそのものではなく、そのデータから導き出される解だ。

今回は、具体事例を踏まえながら、ドローンによるデータ収集・分析に関して詳しく見ていきたい。どのような機器で、どのようなデータが集められているのか、そしてどのように処理され、意味あるデータに変換されてるのか。

ドローンが注目される背景、搭載機器の小型化

近年ドローンに注目が集まる背景には、ドローン自体の進化に加え、ドローンに搭載できる機器の進化があるといっていいだろう。

ドローン自体は、飛行安定性や衝突回避機能の向上など、この数年で急速な進化を遂げている。コア技術の進化は、消費者向けドローンにも応用されており、DJI社の小型ドローンMavicなどを見れば一目瞭然だ。

このドローン自体の進化に加え、搭載される機器の進化も目覚ましい。Mavicに搭載されている小さなカメラで4K映像の撮影ができることを考えるとイメージしやすいかもしれない。


DJI社の小型空撮ドローンMavic

いまやスマートフォンでも標準搭載されつつある4K撮影機能。もちろん4Kといっても、映像ファイル形式やセンサーサイズなどで画質は異なるが、それでも5年前を考えてみると、4K映像を撮影できるカメラは限られており、このような小さなカメラで撮影できると想像できたひとはほとんどいないはずだ。

近年小型化が進んでいるのはカメラだけではない。従来は大きく持ち運びが困難だった機器がどんどん小型化されている。そして、それはドローンに搭載するのに十分なほど小型で軽量なものになっている。

そんななかで、ドローンとの組み合わせで力を発揮しているのが「LIDAR」機器だ。
LIDAR(Light Detection and Ranging)は、光レーザーで物体の距離を測り、高い精度で対象となる空間を3次元データとして記録することができる。もともとは地質学や地震学などで用いられていたものだが、近年小型化が進み、自動運転車やドローンにも搭載されるようになってきている。


Phoenix Lidar System社のLIDARを搭載するドローン

LIDAR搭載ドローンのインパクト

LIDARを搭載したドローンを活用することで、詳細な3次元マップを迅速に作りだすことが可能だ。この3次元マップはさまざまな分野で応用できる。たとえば、山間部にある送電線の周囲に生えている木の状態を詳細に調べることができる。木が倒れて送電線が断線してしまうことも多く、米国などでは停電の主要な原因となっており、木の状態を詳細に知ることで、伐採や刈り込み、倒木対策など、事前に策を講じることができるようになる。


LIDARによるデータから3次元マップがつくられる過程

このほかには、鉱山において掘り返した分の土量を計ったり、植林プロジェクトの進捗度合いを計ったりと、大規模な土地での活用が多い。このようなシーンではドローンが登場する以前、人手で計測されたデータが使われていた。しかし、データの精度が低く、コストも高かった。このため、低コストで高精度データが取得できるLIDAR搭載ドローンの登場で一気に注目されるようになった。

LIDAR搭載ドローンが収集するデータの精度は高いがその分データ量は非常に大きくなる。データポイントは数億、ときに兆に上ることもあるいう。このようなビッグデータは、それだけでは意味をなさない。それを意味あるデータに変換する必要がある。

主要なドローンプレーヤーは、取得したデータを意味ある情報に変換するためのソフトウェアを開発し、ワンストップのサービスとして展開する形をとっている。

フィンランド発のSharper Shapeは、独自に開発したドローンとLIDAR機器、そしてソフトウェアを組み合わせたソリューションを提供している。ドローンを飛ばし、データを収集、ソフトウェアで解析し、クライアントがアクションを起こせる意味あるデータを生み出している。前述の山間部での送電線検査などが強みとする分野だ。

意味あるデータを生み出すには、トンネル工事ならトンネル工事の、送電線検査なら送電線検査の、という具合に分野ごとにデータ解析の方法をカスタマイズすることが必要だ。いま各プレーヤーたちは、分野ごとのソリューションを精緻化している段階とも見てとれる。

今後さらにデータが蓄積していけば、ディープラーニングなどの人工知能技術を使った解析が普及していく可能性もある。ドローンは、ビッグデータや人工知能など先端テクノロジーと融合しながら、さらなる進化を遂げていくだろう。

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