【Drive Japan】ボルボ「V90クロスカントリー」で東北・北海道の幕末史跡をたどる旅

いいオンタイムを送るためには積極的な休養も必要。そこで、日本の名所をたどる【気ままなドライブ旅=Drive Japan】に出掛けることにした。目的地は北海道・函館。旅を共にするのは、ボルボの新しいプレミアムクロスオーバーワゴン「V90クロスカントリー」。

さて、出発の前にクルマについてについて簡単にご紹介しよう。V90クロスカントリーはボルボの新世代プラットフォームを採用したフラッグシップワゴン「V90」の車高をアップさせ、SUVらしいエレメントをプラスした特別なモデル。日本には、2017年春に上陸したばかりで、全長4940×全幅1905×全高1545mmというボディは、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなど、ドイツのライバルが手掛けるミドルクラスワゴンと変わらないサイズだ。その分、前後シートはもちろん、ラゲッジスペースも十分なスペースが確保されている。

搭載されるエンジンは排気量1968ccの直列4気筒。そこに、ターボとスーパーチャージャーのツイン過給で、最高出力320馬力を実現した「T6」モデルと、ターボ単体による過給で254馬力を発生する「T5」モデルが設定されている。

グレードは、T5、T6ともに、ベーシックな「モメンタム」と、より上質なインテリアや装備が与えられた「サマム」が用意される。V90クロスカントリーの駆動方式は、全モデルAWD(=4輪駆動)で、ギヤボックスは8速ATが組み合わされる。

スタートは午前11時。東京・芝公園でV90クロスカントリーをピックアップし、首都高速から、まずは東北自動車道を目指す。先行車を追従する“アダプティブクルーズコントロール”や、車線を認識して自車を走行車線の中央に維持してくれる“パイロットアシスト”といった運転支援システムを試しつつ、進路を北に取る。目的地である北海道・函館といえば、戊辰戦争の終結の地。今回のテーマは幕末の史跡・旧跡を巡るドライブに決める。

 

 【幕末の史跡をたどるべく会津若松へ】

東京を出発してから5時間。寄り道も含めると、走行距離は300kmを超えたけれど、全くの疲れ知らず。まさに長距離ドライブにぴったりのクルマだと感じる。

磐越道を会津若松インターチェンジで降りて、市内方面へと向かう。最初に訪れたのは1384年、葦名直盛により黒川城として築城された鶴ヶ城だ。ここは会津藩の砲術師範の子として生まれた山本八重の生涯を描いたドラマ『八重の桜』の舞台であり、戊辰戦争の激戦地ともなった場所。戊辰戦争、新撰組、白虎隊というキーワードから思い浮かぶのは、どこか悲劇的なストーリーだけれど、鶴ヶ城の荘厳なたたずまい、重厚な石垣、桜や紅葉といった木々といった風景を眺め、歴史に思いを馳せる。

その後、白虎隊士20名自刃の地として知られる飯盛山へ。ふもとには、会津藩の本陣となった旧滝沢本陣、中腹には白虎隊碑、太夫桜ほか、数々の史跡が残る。一気に山腹へと登り、会津若松市内を見下ろすと、遠くには御神楽岳、そして幾重にも連なる越後山脈の山々を望むことができる。なかなかの絶景であるのはもちろん、どこか懐かしさも感じる。

さて、歴史情緒あふれる会津若松の旧市街を抜け、猪苗代湖に向かうワインディングロードを走るが、そこで日没を迎えた。猪苗代磐梯高原インターチェンジから磐越道に上がり、ふたたび北へ。そろそろ今日の宿を決めなければという理性と、もっとどこまでも走らせたいという本音が葛藤する。「150km先の仙台じゃ物足りないな……」という思いが勝り、初日の目的地は猪苗代から300km先、盛岡に決める。

すっかり日も暮れた東北道を走りながら、“Bowers & Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステム”から流れる音楽に耳をかたむける。ドライブと音楽は切っても切れない関係だし、リラックスしたドライブには欠かせない。もちろん、安心して夜道を走ることできる、好きな音楽をじっくり楽しめるのは、V90クロスカントリーが備える最新の運転支援システムのサポートあってのこと。

たとえば、ステアリング操作に連動して進路方向を照らす“アクティブベンディング機能付LEDヘッドライト”、対向車や先行車の状況に合わせてハイビームを自動調整する“フルアクティブ・ハイビーム”といった、夜間ドライブをサポートする装備も心理的に大きな余裕を生み出している。また、何より心強いのは“パイロットアシスト(車線維持支援機能)”で、加速・走行・減速・停止を自動で行ってくれる“ACC(アダプティブクルーズコントロール)”がオンの状態で作動させれば、車線を認識し、自車を走行車線の中央で保持するようにステアリングを操作してくれる。

設定速度は0~140km/hまで対応しているから、高速道路上では半自動運転を体験することができる。何より感心させられたのは、他のクルマによる不意な割り込みや、前走車が本線を離脱した時の制御。加速、減速の極めて自然な動作を一度でも体験すると、V90クロスカントリーが備えるシステムが十分に信用できるレベルにあることが分かる。もちろん、手放し運転を推奨するわけではないけれど、不慣れな夜の高速道路を不安なく、リラックスして走ることができたのは、こうした先進テクノロジーによるところが大きいと感じた。

途中で休憩を挟みつつ、間もなく23時というところで盛岡市内に到着。1日にして約750kmを走破したが疲労感はなく、逆にドライビングの心地良さが充実感につながっていた。

 

【2日目はフェリーに乗り歴史の街、函館へ】

2日目は、朝8時に盛岡を出発。最初の目的地である青森の大間を目指すことにする。大間は本州最北の地であり、そこからは北海道・函館へとカーフェリーが運航している。快晴の下、雄々しくそびえる岩手山を眺めつつ東北道をひた走る。畑パーキングエリアを過ぎて、八戸自動車道へと進む。

三沢市内を過ぎると、下北半島の左岸を陸奥湾に沿って走る。ところどころ海岸に沿って走るが、視界もよく、遠くには津軽半島を望むことができる。対岸に見えるのは津軽山地の山々だ。

下北半島先端部に入り、ふたたび右岸側を本州最北の地を目指して走る。盛岡を出発してから約4時間半。経由地である大間へと到着する。「本州最北端後」の石碑が建つ大間崎から、はるか対岸には北海道が見えた。

津軽海峡フェリー大間・函館便の乗船手続きを済ませ、V90クロスカントリーを車両甲板へ。片道90分という、船旅としては短い区間だけど、同航路の任に就く大函丸(だいかんまる)は全長約90m、乗用車なら60台を積載可能というスペックからもお分かりのとおり、船体はなかなか堂々とした大きさだ。そして間もなく、ターミナルで見送りを受けつつ出航となった。短時間ではあるけれど、こうした演出もまたドライブ旅を盛り上げてくれる。

乗船した大函丸は、2012年就航の2世代目で、船室は数十分の船旅には十分すぎるほど快適。海況の厳しさで知られる津軽海峡だけれど、この日は波も穏やかで、揺れを感じることもなく、滑るように函館湾へと進んでゆく。気づけばデッキからまるで小島のように函館山が見える。函館港では、青森・函館航路に就く津軽海峡フェリーの僚船に迎えられ、ぴたり定刻に着岸。V90クロスカントリーは15時40分に下船となった。

函館に下りたその足で向かったのは、戊辰戦争最後の戦場となった函館五稜郭。国の特別史跡であり、今日では公園としても開放される五稜郭だが、元々は日米和親条約によって箱館開港が決まり、幕府の箱館奉行所として築かれた国内初の西洋式城郭。戊辰戦争においては、旧幕府脱走軍と新政府軍による激戦の舞台となり、新撰組副長であった土方歳三が銃弾に倒れた地としても知られている。

幕末の志士による悲劇もまた、函館の歴史を語る上では欠かせないが、その一方、五稜郭は春になると、約1600本ものソメイヨシノが咲き誇る道内屈指の桜の名所としても知られている。また、隣接する五稜郭タワーは、星型の堀と堡塁はもちろん、函館市内を一望することができる観光スポットだ。

五稜郭だけでなく、函館は近代史を彩る名所、建築が多く残る街でもある。日が暮れる前に、V90クロスカントリーを走らせて名所を巡る。高台に建つ旧函館区公会堂もそのひとつ。1910年、すなわち明治維新から半世紀を迎えようという明治43年に建てられたコロニアルスタイルの建物で、端正な佇まいにふさわしく、皇族方の函館訪問時には休憩所として用いられている。

旧函館区公会堂の正面にある元町公園、そこから麓へと伸びる基坂、並行する八幡坂周辺は、西洋文化が早くから根付いた函館らしい異国情緒あふれる眺め。歴史を動かした偉人たちも同じように、東北を移動し、この景色を見たのかと思うと、自らのドライブでこの地に立つことができたことに、ちょっとした達成感を覚える。

西洋の文化をいち早く取り入れた函館。赤レンガ倉庫街をはじめ、江戸時代から明治維新、そして近代へと、時代の移り変わりを静かに見つめてきた街並みを早足に巡る。この時点でV90クロスオーバーのトリップメーターが指すのは約1100km。2日間にしてはなかなかの走行距離だと思うし、これだけ気ままに、たっぷりクルマを走らせると、頭の中もリフレッシュするから不思議だ。

今回のドライブ旅も間もなくゴール。郊外の農場脇にV90クロスカントリーを止め、クルマの回りをひとまわり。ふとV90クロスカントリーの横に目をやると、アブラナの花が…。

かつてのボルボは、愛らしい花とは縁遠い……、というと失礼かもれしれないけれど、個人的には“無骨”なイメージを持っていた。しかし、V90クロスカントリーの洗練されたエクステリアや心地よいインテリアは、ボルボが新しい時代を迎えていることを物語る。

ただそれは、ボルボにとって”維新”ではない。目に見える部分はもちろん、メカニズムにおいても進化を果たしているけれど、開発においては人を中心に据え、安全を最優先する姿勢に変わりはない。東京から函館まで1100km、不安を感じることなくドライブをしっかり満喫できたのは、やはりボルボならではの骨太な基本設計が生む信頼感、扱いやすさ、そしてゆとりある走りあってのこと。だけど、それに加えて、陰に日向にとドライバーを支えてくれた、半自動運転をはじめとした最新の電子デバイスも追い風となった。

さて、ボルボと過ごしたドライブ旅。走行距離の長さもあって、他の交通機関を使った旅とは異なる非日常感は満点。心身ともに大いにリフレッシュできた。

 

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