Amazonでは自社航空機も活躍。すべての配達を自前で完結させる日はすぐそこ

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世界数千万を超えるAmazonプライム会員を対象としたセール「Amazonプライムデー」が今年も実施された。Amazonの設立20周年を記念して2015年に始まったプライムデーは今年で第3回目を迎える。

「Amazon Echo」といった最新デバイスから日用品まで、幅広い商品が割引価格で提供された。リリースによるとAmazonでは史上最大の売上を記録したという。今年のプライムデーで注目するべきポイントは、売上だけではない。商品を届けるまでの“物流” においても、分岐点だったと言えるかもしれない。

プライムデー当日に発表されたリリースで、Amazonは自社の貨物航空機が配達に向けて準備万端であると述べ、昨年より進めてきた空輸ネットワークの拡大を強調したのだ。

Amazonの貨物航空機「Amazon One」

Amazonは昨年の8月に初の自社貨物航空機「Amazon One」を公開。同社ワールドワイド・オペレーション部門でVPを務めるDave Clarke氏は、貨物航空機の導入によって「プライム会員向けに配送速度向上の実現を目指す」と話していた。

旅客機ボーイング767を貨物用に修繕した機体には「Prime Air」の文字や同社のロゴが描かれている。また、Amazon Oneの機体番号「N1997A」は、設立年である1997に由来しており、素数(prime number)から構成されているという。

CNBCによると、AmazonはAtls Ait社とATSG社からそれぞれ20機ずつ機体をリースしており、稼働中の24機に加えて2018年半ばまでに16機が追加される予定だ。Twitterでは昨年頃から同社の貨物航空機に出会ったユーザーによって、写真や目撃情報がよくツイートされている。

米国で進む空輸ネットワークの拡大

AmazonのファウンダーであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は創業時からロジスティクスを重視しており、世界各地に自社の物流拠点を抱えている。ここ数年は増え続ける貨物を効率的に配達する方法として、空輸ネットワークの構築へ積極的に取り組んできた。

ドローン配送システム「Amazon Prime Air」も空輸を強化する施策のひとつだ。昨年12月にはイギリスのケンブリッジ州で一般ユーザー向けのテストに成功。現在もアメリカ、イギリス、オーストリア、フランス、イスラエルの施設で開発研究が行われている。

米国では、物流大手のFedexやUSPに宅配を頼っている。だが、空輸ネットワークが今後さらに拡大していけば、いずれは全ての配達を自社のみで完結させる日も近いのかもしれない。

日本国内におけるECサイトの自社配達ネットワーク

Amazonは、日本国内では1時間で届くサービス「Amazon Prime Now」のみ自社で配達を行っている。しかし、今年に入ってからはヤマト運輸が、荷物量や再配達の増加による労働環境の悪化を理由に即日配達から撤退。今後、Amazonは日本国内においても自前の配達サービスを拡大していくと予想される。

Amazon以外の国内ECサイトでも即時配送サービスにおいて自社で配達をしている例がある。物流コンサルタント角井 亮一氏は著書「物流大激突 アマゾンに挑む宅配ネット通販」において、ヨドバシカメラの即日配達サービス「ヨドバシエクストリーム」、楽天の即時配送サービス「楽びん!」を挙げていた。

即時配送サービスに関しては、自社で配送を行うプレイヤーが登場しているが、配送をカバーする面積の違いからか、国内では米国におけるAmazonのように大々的に物流事業に乗り出しているプレイヤーは未だいない。

すでにAmazonは自社の物流網を駆使して、提携店舗の代わりに商品の配送を行っている。引き続き、同社が自前の空輸ネットワークを拡充していけば、荷物から人間まで、あらゆる空の移動を担う日も近いのかもしれない。

img:Amazon

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