飛び込み、電話、メールマガジン。これまでの営業活動といえば、自らの手でリード顧客を見つけ出し、アプローチをかける——それが当たり前だった。
しかし、ここ数年で営業活動の“常識”も変わりつつある。今では自ら情報を探さずとも、リファラル(紹介)をもとに営業活動が行える。
そんな新時代の営業を可能にしているのが、リファラル営業プラットフォームの「Saleshub(セールスハブ)」だ。
顧客を紹介して欲しい企業、顧客を紹介できる個人をマッチング
Saleshubは、顧客を獲得したい企業と顧客を紹介できるサポーター(個人)をマッチングするプラットフォーム。
具体的な仕組みはこうだ。まず、企業側がどんな事業を行なっているのか、どんな人を紹介してほしいのかを投稿する。その投稿を見たサポーターが、「この人なら条件に合いそう」と思ったら、企業に対して提案を行う。その提案が成約すれば、サポーターに報酬が支払われる。
企業は完全成果報酬型でサービスを利用することができ、サポーターはアポイントのセッティング、ビジネスの成約に対して“お祝い金”がもらえる。ただし、全ての人がサポーターになれるわけではなく、Saleshubが設けた審査を通過した人のみがサポーターとして、企業に顧客を紹介できる。
企業はSaleshubを活用することで、アウトバウンドでの非効率な営業に終わりを告げ、新規開拓営業の効率化と、営業マンの負担軽減を実現できる。事前登録を行なった企業数は130社超え(2017年6月13日時点)。リファラルを軸にした営業活動に対する、期待度の高さが伺える。
採用領域を中心に盛り上がりを見せてきた「リファラル」
このようにリファラルを活用したサービス・ツールは、ここ数年で多く登場している。とりわけ、その動きが活発なのが採用領域だ。「リファラル採用」は大きなトレンドとなり、大企業、スタートアップ問わず、多くの企業がリファラル採用支援ツールを展開している。
例えば、大企業では株式会社リクルートキャリアが手がける「GLOVER HR(グラバーHR)」、パーソルキャリア株式会社が手がける「MyRefer(マイリファー)」などがある。スタートアップでは株式会社Combinatorが手がける「Refcome(リフカム)」が有名だろう。
また、海外ではFacebookが求人機能をアメリカとカナダでローンチ。ユーザーは求人票を見て、応募ボタンを押せば、Messengerを通じて担当者とやり取りができる。Facebookを媒介にして職探しもできるようになった、というわけだ。
人を媒介にするマッチングは確度が高い。そのため、採用領域でもリファラルのサービスは次々と登場してきている。リファラルが役立つのは、採用に限った話ではなく、Saleshubのように営業に活用することもできる。
リファラルで営業する——それによって得られる最大のメリットは、営業の効率が上がることにある。かつては、とにかく多くの企業に飛び込みや電話などでアプローチし、そこから受注確度の高そうな企業を見つけ出し、営業していくしかなかった。アポを獲得するまでに、とにかく時間とコストがかかっていた。インバウンドでのマーケティングなども行われるようになったが、それでもまだミスマッチは起こりうる。
しかし、リファラルを使えば紹介によって、受注確度の高そうな企業に対してアプローチすることができる。飛び込みやメールなどによる、アプローチは必要ない。無駄な時間をかけずに、効率よくアポ獲得、契約までを進められる。
“人”を媒介にして、情報に触れる
今でこそ、さまざまな場所で「リファラル、リファラル」と言われるようになっているが、この仕組み自体は昔から日本にあった。縁故(えんこ)とも言われ、親族や知人の紹介をもとに職を探すことは当たり前とされていた。
縁故はインターネットの普及で、一転した。今までは人に聞いた方が、早く自分の必要な情報にアクセスできたのだが、ネットで検索した方が圧倒的に早く情報にアクセスできる時代がやってきたのだ。そうした時代の変化とともに、“人”を媒介にして、情報に触れる文化が少しずつなくなっていった……。
しかし、最近になりスマートフォンが急速に普及。大量情報化社会に突入したことで、人はどの情報が正しく、どの情報が間違っているのか見分けがつかなくなってきたのだ。そうした状況の中、最も信頼できる情報のソース元はやっぱり人である、と。
その認識が少しずつ強まっていき、“人”を媒介にして、情報に触れる、いわゆるリファラルがここ数年で活発になってきているのだろう。
インターネットが普及した現代における縁故、リファラルはデータの活用という点で大きく異なる。誰が誰とつながっているのか、成約にいたるまでのステップのどこでつまづきやすいのか、誰からの紹介が成約しやすいのか、こうしたことが可視化され、分析可能になった。
分析ができるということは、効果測定ができ、改善ができるということ。効果が測定できれば、取り組むプレイヤーも増える。今後、リファラルをテーマにしたサービスを利用する人々は増えていくだろう。
img:Saleshub