「若者の車離れ」が叫ばれるようになった。

国土交通省が発表しているレポートによれば、世代の免許保有人口は減少しているし、車を単に移動手段として捉えるようになったなど価値観も変わってきている。

月額制の自動車の乗り放題サービス

この領域に、新たな発想をもって取り組んでいるのが、IDOMが提供している月額制の自動車の乗り放題サービス「NOREL」だ。元々、中古車販売を行っていた同社が、市場の変化をいち早く捉え、適応していくためのアプローチのひとつ。

NORELを利用すると、ユーザーは累計800車種、常時250台以上の中から、スタイルに合わせて自由に自動車を乗り換えることができる。最短90日で乗り換え可能で、月額39,800円〜(税別)で利用できる。自身で所有するわけではないため、自動車税もかからないし、車検も必要ない。

NORELは、2016年8月より先行リリース。限定でユーザーを集めサービスの提供をスタートした。提供開始から1年弱が経過し、どのような反響が寄せられているのだろうか。IDOMの許直人氏は、サービスの反響について以下のようにコメントしている。

「『クルマのサブスクリプション』というコンセプトに、2000名を越えるお客さまが会員登録してくださっていること自体がすごいと受け止めています。扱っているハードウェア自体は一般に流通しているものと変わりませんし、料金も購入する場合と比較してやや高価。クルマを持ちたいだけなら、現金一括か、低金利でローンを組んだ方がNORELより安いですから」

経済性や合理性だけで判断しているユーザーも多そうだが、NORELに登録するユーザーが求めているのは、それだけではないようだ。

「アンケートやメールなどで寄せていただくお客さまの声を聞くと、色々なクルマに乗りたい、車にかかるコストをシンプルにしたい、という合理的な理由だけではなく、『新しいから』『おもしろそうだから』『これが未来のクルマとの向き合い方だ』という、直感的な理由が無視できないくらい多い。イノベーターの方々にコンセプトが受け入れられたと感じています」

NORELが提示した所有でも、レンタカーでもない「クルマのサブスクリプション」というコンセプトは、多くのユーザーが共感するものとなっているようだ。NORELは、サブスクリプションに加えて、最近新たな要素をサービスに加えた。

複数人でシェア可能な新たなプランを提供

NORELは、2017年6月より提供車両を、最大5名で利用できる機能を正式リリースした。最大5名での共同利用は、サービス申し込み時に有料オプションの「NORELケア」を付帯することにより利用可能になる。

サブスクリプションにシェアリングの要素が加わることで、若いユーザーにとって、NORELの利用ハードルは下がるのではないだろうか。今回のリリースの背景には、ユーザーからの要望があったという。

「最初に、NORELを検討中のご家族から声が挙がりました。『子どもが免許を取るので使わせたい、家族全員使えるようにしてほしい』というニーズです。若者はクルマに興味がないわけではなく、経済的な理由でクルマを持てないだけ。そう感じるとともに、同様のニーズは学生以外にもあるだろうと考え、検討を本格化させました」

検討を本格化させたNORELのチームは、事業部に所属していた新卒のメンバーが大学の後輩や新卒候補者など、若い世代に対してニーズ調査を行っていった。調査の結果は、「非常に興味がある」というものだった。

「学生はお金がないのでクルマを買うことはできませんが、割り勘することができれば大いに興味があることがわかりました。遠出の多いサークルや、長期休暇を友人同士で過ごす際、クルマがあればとても便利だと言うのです。適法性の課題や保険の問題など解決すべき課題が多かったため、これまでリーガルチェックや社員へのアンケート調査、特定のお客様への個別対応など、運用にのせるため準備は入念に行いました。3ヶ月程度行ったのち、ようやく一般にご案内できる段階になりました」

若い世代は、シェアハウスやソーシャルアパートメントに暮らすことも珍しいことではなくなってきた。今回リリースされた機能は、シェアして暮らしているクラスタとも相性がいい。サークル活動や長期休暇での利用などに加えて、活用を前向きに検討するユーザーも増えるのではないだろうか。

サービスとして改善すべき点等も出ているそうだが、対応を行いながら提供していくエリアを拡大していく方針だという。サービスリリース時は一都三県でのサービスの提供だったが、2017年6月にエリア拡大第一弾として静岡県への提供開始。同年7月には北関東・山梨へ利用エリアが拡大したことで首都圏全域にサービスの提供が実現している

「現状、お客さまのクレームにつながる故障対応を改善していきます。取り扱っているのが中古車なので、特に輸入車は一定割合で調子の悪いクルマが出てきてしまう。その場合に、素早く代替のクルマを提供する「NORELクイックリプレイス」というサービスをNORELケアご加入の方向けに準備しました。関東一円のサポートした後、関西・東海への展開を今年の秋以降を目処に進めていきます」