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昨今、労働の在り方に変化が求められている。この背景には、労働人口の減少によって求められる労働生産性の向上、また、労働者の健康問題がある。
なかでも、労働者の健康問題に対する意識は高くなっており、労働者が適切に休暇を取って心身をリフレッシュさせることが、労使ともに必要なこととなっている。これにともない、有給休暇を適切に取得することが重視されている。
これを受け政府も、2020年までに有給休暇消化率70%を掲げており、2019年4月1日に施行される働き方改革関連法内で、「10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする」とし、一部義務化することで有休休暇の確実な取得を求めている。
厚生労働省も10月1日~10月31日までを「年次有給休暇取得促進期間」とし、有給休暇を取得しやすい環境整備を推進している。
もちろん企業も社員の健康問題には積極的に取り組んでいる。医師人材総合サービス、産業医の選任を中心とした産業保健サービスを提供するエムステージは、社員の健康に対して支給する「健康増進達成手当」の目標項目に「有給休暇消化率50%以上」を2019年度より組み込むと発表した。
有給休暇消化率50%以上で年額5万円支給
この取り組みでは、有給休暇消化率50%以上、月平均45時間未満の残業時間、非喫煙、無遅刻・無欠勤、BMI標準値(18.5以上25.0未満)を年間で達成した場合、「健康増進達成手当」として年額5万円が支給される。
有給休暇は適切な休暇を取得するための労働者の権利であり、労働者が自主的に取得するための環境整備が第一だ。
エムステージではこれまでも、1時間単位でフレキシブルに取得できるなど、有休休暇を取得しやすい環境を整備してきたという。
しかし、今回の「健康増進達成手当」の制度変更は、有給休暇取得を推進することはもちろん、手当の指標にも組み込むことで、健康的な働き方への社員の自主性を高めることが狙いだという。
今回の「健康増進達成手当」の目標項目は「有給休暇消化率50%以上」であり、今後2020年に向けて目標消化率70%以上へ高めていく方針だ。
6時間以上の睡眠で会社から報酬ができる制度も
このような社員の健康問題に取り組むのは、エムステージだけではない。6時間以上の睡眠で会社から報酬ができるという例もある。
それが、社員の睡眠に対し報酬を支払うオーダーメイドのオリジナルウエディングをプロデュースする「CRAZY WEDDING」を運営するCRAZY(クレイジー)がスタートした「睡眠報酬制度」だ。
この制度は社員の睡眠量を可視化し決められた指標を達成した社員に対して報酬を支払う制度だ。
目的は、社員個人が自身の睡眠時間をマネジメントすることにより、結果として組織全体の業務生産性をあげること。対象は1週間のうち5日以上「6時間以上」の睡眠時間を確保できた社員とする。
エアウィーヴ社が開発したスマートフォンアプリ「airweave Sleep Analysis」(Android/iOS)を使用し睡眠時間を計測し、計測結果をCVS形式でダウンロードし、専用フォーマットを会社に提出するというシステムだ。そして、6時間以上の睡眠を達成した日数に応じてポイント付与されるというユニークな制度だ。
健康という人間の原点に帰った取り組み
ようやくわが国でも、働き手の健康に対する配慮に取り組みが始まったかというのが素直な感想だ。かつては、有給をとるという行為は、周囲からあまり良い印象を持たれなかった。有給をとる本人も「申し訳ない」という後ろめたさがあったように思う。
しかし、健康こそ人間の基本である。これまで、特に日本人はこの人間の原点ともいうべきものを忘れていたのではないだろうか。いずれにせよ、今後は働き手の健康を最優先した新しい働き方が主流となる時代となるだろう。
img:PR TIMES