トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、ペダル踏み間違い事故のさらなる抑止・被害軽減のため既存のシステムに加え、新たな「急アクセル時加速抑制」機能を開発したことを発表した。

また、新車向けとして「プラスサポート」を導入し、既販売車種向けの後付け装置に同機能を追加し「踏み間違い加速抑制システムⅡ」として7月1日に発売したという。

トヨタはこれまで、新車には2012年からインテリジェントクリアランスソナー「パーキングサポートブレーキ(静止物)」を導入している。さらに、既販売車種向けには、2018年から後付けの「踏み間違い加速抑制システム」を販売。

これら既存のシステムは、センサーで検知できる壁やガラスなどの障害物がある場合の踏み間違い事故に対応しており、同社が確認したデータではインテリジェントクリアランスソナーはペダル踏み間違い事故全体の約7割に対応しているが、一方で障害物がない場合を含む残りの事故を新たな技術開発によって減らしていく必要があったとのことだ。

今回の機能開発にあたり、実際の踏み間違い事故発生時に、アクセルペダルが全開で踏まれた状況を分析。

そして、その踏まれ方の特徴を、コネクティッドカーから得られたビッグデータと照合し、ドライバーが実際に急加速を必要とする状況を除くことによりアクセルの踏み間違い操作を特定したという。

これを踏まえ、追加された新機能では、障害物がなくても加速を抑制することで踏み間違い事故の低減を図る設定にしたとのことだ。

なお、急アクセル時加速抑制の機能を加えた、プラスサポートおよび踏み間違い加速抑制システムⅡの詳細は、以下の通り。

プラスサポート

  • 新車(インテリジェントクリアランスソナー装着車)向け
  • 7月1日発売のプリウスならびにプリウスPHVからシステムの搭載を開始し、今後、順次搭載車種を拡大

プラスサポート用スマートキー(運転に不安を持つ利用者向けの専用スマートキー)で解錠すると自動的にプラスサポートが起動。進行方向に障害物がない場合でも、ペダルの踏み間違い操作を検知した際、加速を抑制。

踏み間違い加速抑制システムⅡ

  • 既販売車種向け(後付け装置)
  • プリウスから対応、今後順次設定車種を拡大

従来の踏み間違い加速抑制システムに、急アクセル時加速抑制機能を追加。前方に障害物がない場合でもペダルの踏み間違い操作を検知した際、加速を抑制する。

同社は、自社製品の開発・販売だけでなく、国内の自動車メーカーに幅広く、「急アクセル時加速抑制」機能の考え方などを共有している。

また、モビリティ社会の究極の目標である「交通事故死傷者ゼロ」に向け取り組みを進め、同時に、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)にも貢献したいとのことだ。