読書を習慣にしているビジネスパーソンは多いだろう。専門書や自己啓発本で仕事のためのインプットはもちろん、小説やエッセイを趣味で読む人もいるはずだ。

そんな、仕事にもプライベートにも役立つ読書。まだまだアナログな紙の本にこだわる人も多い。そして、紙で読むときに必需品となるのが「しおり」だ。

読書をしている時、手元にしおりがないので適当な紙を挟んだり、苦肉の策でページを軽く折ったりした経験はないだろうか。考えてみるとしおりは、落としやすい、無くしやすいと欠点もあり、まだまだ改善の余地がありそうなもの。にも関わらずあまりアップデートがされていない。

そんな不満を抱える人に紹介したい「しおり」をAMP編集部が見つけてきた。

落とさない、無くさない、ありそうでなかった”はさみ変え不要”のしおりだ。どうやらこのしおりには開発した職人の思いも隠されているようだ。

オフィスや通勤時にも使ってみたので、レビューを行う。

自動マーキングしおり「スワンタッチ」

昔ながらの文房具屋さんを彷彿とさせるパッケージデザイン。こちらは「スワンタッチ」という商品名。今時のオシャレなしおりとは一線を画して、非常にレトロな雰囲気も味わい深い。

裏面に両面テープが貼られているので、最終ページに貼り付ける。

あとはスワンのクチバシに当たる部分を読んでいるページにセットし、準備完了だ。

1ページめくるごとに、しおりが見事についてくる。

これなら、しおりを落とす、無くす心配もなければ、いちいちはさみ込む作業も必要ない。”はさみ変え不要”もっと言うと”自動マーキング”がアナログで実現されている。読書中に眠ってしまったり、何かの拍子に本を閉じてしまっても大丈夫だ。

”はさみ変え不要”は小さいことのようだが、体感してみるとその快適さは意外と大きい。しおりを挟むという読書の時に少しだけ感じていた面倒くささは、なくなってみると思いの外ストレスだったことに気付かされる。

電車など多少混雑している場所で本を読む時は、できる限り少ないアクションで完結させたい。そんな時にはこの小さなメリットの重みを感じるだろう。

懸念点は、めくるときにしおりと紙がぶつかる音がすることだ。音に敏感な人は多少気になるかもしれない。

また、300ページを越える本は、クチバシ部分が届かなくなるため使うのが難しい場合もある。

昔ながらのレトロデザインの秘密

デパートや文房具店などで幅広く売られているだけでなく、メディアでもすでに紹介されたこともあるこの「スワンタッチ」。客層を広げるためにデザインやパッケージをスタイリッシュにすることも可能に思える。なぜこのままなのか、それにはこんな背景があった。

「スワンタッチ」は金型職人の高橋健司さんによって開発されたものだ。読書好きの高橋さんは本の紙を傷めないために、使用素材であるプラスチックの柔らかさにこだわった。柔らかさを出すためには薄くしなければならない。しかし、当時の金型技術では実現が難しく、その開発には15-6年を要したようだ。(*)

生粋の職人が本への愛を持って作ったのがこの「スワンタッチ」なのだ。昔ながらのパッケージなのも頷ける上に、味があるこのレトロさをあえて残して欲しいと思うくらいだ。


「スワンタッチ」¥165(税込)

勿体ないのは、スワンタッチを本に両面テープで貼り付けなければならないこと。本の紙を痛めないように考慮して作られたにも関わらず、使い終わって剥がすときに紙を痛めかねない。その点は今後の改良を期待したい。

普段の生活で見逃していた小さなストレスを解消してくれる、そんな気の利く逸品だった。
電車の移動中やスキマ時間に本を読みたい人は1つ持っておいて損はないだろう。オフィスにいる時に大活躍するアイテムではないものの、日々奮闘して働くビジネスパーソンにこそストレス削減に活用してほしい。

職人技が詰まった小さなしおりの偉大さを、体感してみてはいかがだろうか。

文:清水佑紀

(*)参考URL:http://www.itabashi-life.com/backnumber/person13/index.php