風速・風向を正確に観測することができる「高精度風況観測」を提供。京都大学発ベンチャーがドローン事業で総額2.2億円の資金調達

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超高分解能ドップラー・ライダーを用いた「高精度風況観測」を提供する京都大学発ベンチャーのメトロウェザーは2018年11月19日、Drone Fund、リアルテックファンド、高松琴平電気鉄道代表取締役社長真鍋康正氏、を引受先とした第三者割当増資と、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による平成30年度「ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業」助成事業に採択され、総額2.2億円の資金調達を実施したと発表した。

メトロウェザーは今回の調達資金をもとに、ドップラー・ライダーの高精度化・小型化の開発を進めていく方針だという。

ドローンにとって最大の敵である風」を正確に捉え危険を回避

ドップラー・ライダーとは、大気中にレーザ光を発射し、大気中のエアロゾル(塵、微粒子)からの反射光を受信することによって風速・風向を観測することができる大気計測装置のことだ。ドローンにとって最大の敵といわれる「風」を、ドップラー・ライダーで正確に捉え、突風の可能性が高い飛行ルートを避けることを可能にするという。

ドップラー・ライダーは、数十km先のマイクロメートルスケールのエアロゾルを捉えるという。同社は、京都大学生存圏研究所において富士山レーダーに代表される、長距離・高精度の気象観測レーダー開発の知見を応用し、独自の信号処理を行うことで高い精度を実現したという。これは例えば東京駅から新大阪駅のホーム上にあるピンポン玉の動きを捉えられる精度に相当する。

これにより、ドローン運航時の突風などを検知可能とし、またゲリラ豪雨の前触れとなる上昇気流を正確にキャッチするとともに、気象災害による損害を抑えることにも効果があるとのこと。

高層ビルの立ち並ぶ都市にも風況観測データを提供

従来のドップラー・ライダーは軍事用途や空港での運用を想定しており、数mから10m以上のサイズが一般的で、ビルの屋上や基地局に設置することは到底困難だったという。同社は、信号処理の効率化や内部構造の適切な実装を行うことにより、大幅な小型化を実現したという。

製品化時には1m^3以下のサイズに小型化し基地局などに設置し、高層ビルの立ち並ぶ都市においても、3次元風況マップ(風況観測データ)を提供し、安全なドローン社会の実現を支える技術の開発を目指す方針だ。

想定しているユースケースは以下のとおり。

同社の技術は、ゲリラ豪雨の検知や、洋上風力発電用の風況モニタリング等の広範な分野への応用が可能であり、ドップラー・ライダーをとおして「空の安全」の提供を目指すという。

img:PR TIMES

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