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飲食店を経営している友人が以前、「今のアルバイトの学生は、唐突にLINEで今日から行きませんという連絡をしてくる」という内容で嘆いていた。
もちろん今の学生全員がそうではないが、これは珍しい話ではないそうだ。正社員や契約社員などとは違ったアルバイトという「企業とのつながりが薄い、感じづらい」形態を、人間関係がデジタル化していることでさらに希薄化させているのかもしれない。
このような背景から事業者たちはアルバイトの定着に頭を悩ましていることが多い。これを受け、AIを使ったアルバイトの定着促進を目指したサービスが登場した。
ディップ株式会社の人事科学研究所は、マネジメントサポートツール「Wakattle(ワカットル)」の事前登録を3月1日(木)より開始した。
このサービスは、ディップの学生インターンを中心とした新規事業開発体験プログラム「UNIV.Accelerator」において企画・開発されたもの。リリースは2018年春を予定している。
学生アルバイトの3人に1人が辞める準備を
まず、ディップが学生を対象に実施したアルバイトの離職に関するインターネット調査の結果をみてみよう。
現在アルバイト就労をしている学生に、今の職場を辞める準備をしているかどうか尋ねたところ、「はい」35.6%、「いいえ」64.4%となり、3人に1人が辞める準備をしていることがわかった。
また、アルバイトを辞めた経験がある学生に、就労から退職までの最短期間を尋ねたところ、「1ヶ月未満」26.57%が最多となり、これらの調査結果をもとに、「UNIV.Accelerator」では、店長・経営層向けのマネジメントサポートツールの企画・開発に取り組んだという。
AIが自動解析し従業員にあわせたマネジメント方法を経営層へ提案
Wakattleは、アルバイトのマネジメントを担当する店長・管理者向けの、日報とAIを活用したマネジメントサポートツール。従業員が就業後にスマートフォンから1分程度で回答できる日報を提出すると、AIが自動で解析し、その従業員にあわせたマネジメント方法を店長・経営層へ提案する。
勤務シフトの都合や日々の忙しさから、一人ひとりに目が行き届かず、十分なマネジメントができない店長・経営層の課題を解決するため、「誰に」「いつ」「どんな風に」マネジメントすればよいかをご提案し、アルバイトの定着促進を手伝う。
2018年春に予定している正式リリースに先立ち、事前登録と無料モニター参加企業様を募集する。サービス開始に向けた施策段階のため、デモサイトにてモニター参加企業様の受付を開始した。
学生向け新規事業開発体験プログラムUNIV.Acceleratorとは
ディップでは2016年11月より、事業化・資金調達を積極支援する起業家相談窓口として「スタートアップカフェ」を、2017年4月よりAI・人工知能ベンチャー企業を対象とした新規事業創出を目指す日本初のアクセラレータープログラム「AI.Accelerator」を開始し、積極的に支援活動を行なってきた。
2012年の政府統計で、在学中の学生起業者は約4,000人。2007年の約9,000人弱に比べると、学生起業家は減少傾向となっているという。
そこでディップは学生起業家の育成・支援に着目し、より多くの大学生が事業創造の工程を学び、楽しさを実感してもらうため、学生インターンを中心に新規事業開発の体験プログラム「UNIV.Accelerator」を2017年4月より実施した。
プログラムでは、新規事業の企画工程を体験でき、最終プレゼンテーションで選ばれた企画にディップがサービス立ち上げの支援を行った。
アルバイトの稼働生産性を高めるサービスも
アルバイトに目を向けたサービスは他にもある。たとえば、総合人材サービス、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社は、店舗間のアルバイトスタッフシェアリングを実現するヘルプシフト管理サービス「Sync Up(シンク アップ)」をサービス提供開始した。
このサービスは、既存のアルバイトの稼働・生産性をどう向上させるかに着目しており、飲食、小売、物流をはじめとしたサービス系企業を対象にしたものだ。
人手が充足している店舗のアルバイトと、不足している店舗のアルバイトをスマートフォンアプリ(Sync Up)で結び、店舗間のスタッフシェアリングを実現するヘルプシフト管理サービスだ。
Sync Upを活用することにより、アルバイトはヘルプとして好きな時間、好きな店舗で働くことができるため、人手の足りていない店舗のシフト稼働を上げることができるという。
また融通の利くシフトを実現することで、アルバイトの離職防止、定着率の向上も目指す方針だ。
アルバイトにも必要な「働き方改革」
昨今、企業は慢性的な人材不足、採用難の状況が続いている。この対策としては「今いる既存のアルバイトの稼働・生産性を向上させる」ことが重要だろう。
そして、そのためにもアルバイトの定着率向上は欠かせない。働き方改革はなにも正社員に限ったことではない。アルバイトやパートタイムの人材においても例外ではないのだ。これからの企業にとって、アルバイトやパートの働き方についての改革も必要になってくるだろう。
AIを使ったWakattleは、この改革にどこまで寄与できるのだろうか。